男と女
A Man and a Woman
ストーリー
結末まで書いています。
障がいのある子を持つ二人がフィンランドの雪の中で出会い、その関係を持ち帰れずにいる。
真冬のヘルシンキ。アパレル会社を経営する韓国人女性サンミンは、重い自閉症の息子を学校のキャンプに送り出すことになり、心配でたまらない。同じインターナショナルスクールに子どもを通わせるギホンが、タバコの火を貸したのをきっかけに、キャンプ場の近くまで車で送ると申し出る。彼の娘はうつ病を患っている。帰り道、大雪で道が閉ざされ、ふたりはロッジで別々の部屋に泊まる。翌朝、森を歩くうちに無人の小屋を見つけ、そこで関係を持つ。互いの名前も知らないまま、ふたりは別れる。
八か月後、ソウル。ギホンがサンミンの店の前を通りかかる。ふたりとも結婚している。転校先でも息子の問題行動は変わらず、サンミンは夫ジェソクと言い争うようになっている。ギホンの若い妻ムンジュは情緒が不安定で酒に頼り、自殺を図ったあと実家へ戻る。ギホンは夫というより保護者になっていた。サンミンとギホンは、終業後の事務所で、ホテルで、ふたりきりの旅先で、家族にも友人にも同僚にも隠れて会い続ける。
サンミンは本気で愛するようになり、結婚生活を終わらせる決心をする。約束の夜、ギホンはホテルまで行きながら、どうしても中に入れない。関係はそこで終わる。それでもサンミンの結婚は終わりを迎える。
しばらくのち、フィンランド。サンミンはレストランの窓越しに、妻と娘と笑い合うギホンを見かけ、そっと立ち去る。彼女に気づいたギホンは車であとを追いかけるが、途中で止まり、娘を振り返って、家族とともに走り去る。その目には涙がにじんでいる。フィンランド人の女性運転手がそっと気づかうタクシーの中で、サンミンは泣く。
主な出演
チョン・ドヨンイ・サンミン役
重い自閉症の息子を持つ、アパレル会社の経営者。フィンランドで始まった関係を、ソウルでも断ち切れない。
イ・サンミンの物語
サンミンはアパレル会社を経営し、その暮らしは重い自閉症の息子を中心に回っている。ヘルシンキの冬、キャンプに出す息子が心配でたまらず、同じ学校の親ギホンの車でキャンプ場の近くまで送ってもらう。大雪で足止めされた翌朝、森の無人の小屋で関係を持ち、名前も告げずに別れる。八か月後のソウルで、彼が店の前を通りかかる。転校先でも息子の問題は変わらず、夫ジェソクとは言い争いが絶えない。彼女はギホンと隠れて会い始め、本気で愛するようになって、結婚を終わらせる決心をする。だが約束の夜、彼はホテルに入ってこない。それでも結婚は終わる。しばらくのち、フィンランドのレストランの窓越しに家族と笑い合う彼を見かけ、そっと立ち去って、タクシーの中で泣く。
コン・ユキム・ギホン役
うつ病の娘と不安定な妻を抱える父親。サンミンに惹かれながら、家族を捨てられない。
キム・ギホンの物語
ギホンの娘はうつ病を患い、若い妻ムンジュは情緒が不安定で酒に頼っている。ヘルシンキの冬、見知らぬ女性にタバコの火を貸し、その息子のキャンプ場の近くまで車で送る。雪に閉ざされたロッジで一夜を明かしたあと、森の無人の小屋で関係を持ち、名前も知らないまま別れる。八か月後のソウルで、彼女の店の前を通りかかる。ムンジュが自ら命を絶とうとして実家に戻るころには、彼は夫というより保護者になっていて、サンミンと隠れて会い始める。彼女が結婚を終わらせる決心をした夜、約束のホテルまで行きながら、どうしても中に入れない。のちにフィンランドで家族と食事をしていた彼は、窓の外のサンミンに気づいて車で追うが、途中で止まって娘を振り返り、涙ぐんで走り去る。
パク・ビョンウンアン・ジェソク役
サンミンの夫。息子の育て方をめぐって妻と対立し、やがて彼女を疑い始める。
イ・ミソムンジュ役
ギホンの若い妻。情緒が不安定で酒に頼り、自ら命を絶とうとする。
この作品が問いかけるもの
『男と女』は、疲れ果てた人たちの不倫映画だ。恋人たちは退屈した夫婦ではなく、世話に擦り切れた親たちである。息子の自閉症に人生を覆われた母親と、うつ病の娘と、自ら命を絶とうとした妻を支える父親。イ・ユンギ監督はふたりの出会いを、誰も名前を知らないフィンランドの冬の静けさに置き、その後を、誰もが彼らに何かを求めるソウルに置く。映画は、愛がその重さへの答えになるとも、愛をあきらめることが気高いとも言わない。男は家族のもとへ戻り、女の結婚は終わり、ふたりは別々の車の中で泣く。誰かを守ることに毎日を費やす人の欲望はどこへ行くのか。映画はその問いに、たやすい出口を用意しない。