白いドレスの女
Body Heat
ストーリー
結末まで書いています。
フロリダの熱波、弁護士と常に一手先を行く人妻。ファム・ファタールを復活させたネオ・ノワール。
南フロリダの蒸し暑い町。女好きで冴えない弁護士ネッド・ラシーンは、裕福でいかがわしい実業家エドマンド・ウォーカーの若い妻マティと関係を持つ。情事はふたりを呑み込むが、人目には隠し通す。夫と別れたくても婚前契約のせいで財産は何も手に入らない、とマティは言い、夫が死ねばいいと口にする。殺そうと言い出したのはネッドのほうだった。遺言書を偽造したいという彼女を、疑いを招くと彼は止める。三人で囲んだ夕食の席で、エドマンドは、妻と寝る男がいたら殺すと言う。
ネッドは放火を生業とする昔の依頼人テディ・ルイスの手を借り、マイアミのホテルに泊まったと見せかけて夜のうちに戻り、エドマンドを殺す。遺体はマティとともにエドマンド所有の空きビルへ運び、火を放って警察の目をくらます。遺産の手続きが済むまで会わないと約束して、ふたりは別れる。
ところがエドマンドの弁護士から、ネッドが作成したことになっている新しい遺言書の話が来る。立会人は、ネッドが一度ウォーカー家で会ったきり行方の知れない女、メアリー・アン・シンプソン。遺言書は法的な不備で無効とされ、全財産がマティのものになる。無効になると承知で彼女が偽造したのだと、ネッドは悟る。友人の検事ピーター・ローレンスティーンと刑事オスカー・グレイスはマティを疑い、近づくなと忠告する。ネッドのアリバイは崩れはじめる。偶然と思っていた出会いの何か月も前に、知人がマティに自分を紹介していたことも知る。テディは、ある女が扉に罠を仕掛ける方法を尋ねてきたと告げる。エドマンドの眼鏡を艇庫に取りに行ってほしいとマティに頼まれたネッドは、扉に張られた線に気づき、彼女に行かせる。何があっても愛している、と言い残して歩いていった先で、艇庫は爆発する。遺体はマティのものと確認される。
刑務所のネッドは、彼女は生きているとオスカーに訴える。取り寄せた高校の卒業アルバムがそれを裏づける。ネッドの知るマティは、実はメアリー・アン・シンプソンで、同級生マティ・タイラーの名を名乗っていたのだ。艇庫の遺体は本物のマティだった。メアリー・アンの写真の下には、将来の夢、金持ちになって異国で暮らすこと、とある。最後の場面で、彼女は南国の浜辺に寝そべっている。
主な出演
ウィリアム・ハートネッド・ラシーン役
女好きで冴えない田舎町の弁護士。マティに溺れ、彼女の夫を殺そうと自ら言い出す。
ネッド・ラシーンの物語
判事にも見くびられている弁護士ネッドは、南フロリダの夏、マティとの情事に溺れる。夫が死ねばいいと彼女が口にすると、殺そうと言い出すのは彼のほうだ。遺言書の偽造は疑いを招くと止め、昔の依頼人テディに発火装置を作らせ、マイアミにいたと見せかけてエドマンドを殺す。ところが彼の名で作られた遺言書が現れ、無効になると承知で彼女が偽造したのだと悟る。検事と刑事の疑いが迫り、出会いの何か月も前に自分が彼女に紹介されていたこと、扉で作動する爆弾を求めた女がいたことを知る。艇庫で線に気づいた彼は、彼女を中へ行かせる。刑務所で、卒業アルバムが彼女は生きているという読みを裏づけるが、エドマンドを殺したのはお前だと刑事に念を押される。
キャスリーン・ターナーマティ・ウォーカー役
資産家の若い妻。ネッドを情事と殺人に引き込み、つねに彼の一歩先を行く。
マティ・ウォーカーの物語
マティは、離婚しても婚前契約のせいで何も手に入らないとネッドに話し、夫が死ねばいいと口にする。殺そうと言ったのはネッドだった。遺言書の偽造は止められるが、殺人のあと、ネッドが作ったことになっている遺言書が現れる。立会人はメアリー・アン・シンプソン。判事が無効とし、全財産が彼女のものになる。許してほしい、愛しているとネッドに誓い、消えた眼鏡を艇庫に取りに行ってと頼む。何があっても愛していると言い残して自ら扉へ歩いていくと、艇庫が爆発する。遺体は彼女と確認されるが、そうではない。彼女こそ、同級生マティ・タイラーの名を名乗っていたメアリー・アン・シンプソンで、最後には、卒業アルバムに書いた夢のとおり、金持ちになって南国の浜辺にいる。
リチャード・クレンナエドマンド・ウォーカー役
マティの夫で、裕福だがいかがわしい実業家。妻と寝る男がいたら殺すと言い放つ。
テッド・ダンソンピーター・ローレンスティーン役
ネッドの友人の検事。マティを疑い、彼女に近づくなとネッドに忠告する。
ミッキー・ロークテディ・ルイス役
ネッドの昔の依頼人で、放火を生業とする男。彼に手を貸し、のちにある女の依頼を知らせる。
この作品が問いかけるもの
『白いドレスの女』は、フィルム・ノワールの古い問い、男は欲しい女のためにどこまでするのかを、裏返してみせる。最初からすべてを計画していたのは女のほうだった。これが監督第一作のローレンス・カスダンは『深夜の告白』を下敷きにしたことを隠さず、のちに、意識して作られた最初のネオ・ノワールとも評された。キャスリーン・ターナーはこの作品で世に出た。ロジャー・イーバートは、恋人が何でもしてしまうと信じられるほど自信に満ちた女だと、その演技を評した。残るものは、どちらの側から見ても居心地が悪い。ネッドは進んで人を殺しながら、自分を誘惑の被害者だと思うようになる。マティは物語でいちばん頭の切れる人物だが、映画はその知性を、獲物を狙うものとしてしか想像できない。最後の場面は、彼女が高校時代に書きつけた夢を、そのまま叶えてやる。