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Cinema 月明かりの映画館

ハピネス

Happiness

1998映画アメリカ

465作品の星図のなかで見る

ストーリー

結末まで書いています。

三姉妹と彼女たちを欲する人々。スタジオは配給を拒否した。

ニュージャージーの三姉妹と、そのまわりの人々。映画は彼らの物語のあいだを行き来し、互いにかすめ合わせながら、決してひとつにはまとめない。

末っ子のジョイは優しいが行き場がなく、誰からもそう言われている。恋人のアンディに別れを告げると、彼は彼女を浅はかだとなじり、ほどなく自ら命を絶つ。ジョイはストライキの列を越えて移民向けの英語教室の教師になり、生徒のロシア人タクシー運転手ヴラッドと関係を持つ。だが彼には一緒に暮らす女がいて、その部屋で、盗まれたはずのジョイのギターとステレオが見つかる。ヴラッドは、返してほしければ500ドルを「貸せ」と迫る。

次女のヘレンは成功した作家だが、称賛は自分にふさわしくないと感じ、誰も本当の自分を求めていないと思っている。隣人のアレンは孤独な会社員で、女性たちに卑猥な電話をかけている。ヘレンはその匿名の声に惹かれるが、実際に会っても何も起こらない。アレンは同じ階に住むクリスティーナと親しくなり、自分をレイプした建物のドアマンを殺したと打ち明けられる。

長女のトリッシュは、自分の家庭こそ完璧だと信じている。夫のビルは精神科医で、アレンもその患者だ。そしてビルは小児性愛者でもある。息子ビリーの同級生で11歳のジョニーが泊まりに来た夜、ビルは彼をレイプし、のちに別の少年もレイプする。ジョニーの件で警察が訪ねてくると、ビルは聞かれてもいない少年の名を口にしてしまう。ビリーに問われ、彼は自分のしたことを認める。トリッシュは子どもたちを連れ、フロリダの両親のもとへ向かう。

その両親、レニーとモナは結婚40年で別居したが、離婚はしていない。ひとりになりたいと言うレニーは隣人の女性と関係を持つが、もう何も感じられない自分に気づくだけだ。

最後の場面で、一家はフロリダの両親の家に集まる。トリッシュは何事もなかったように振る舞い、レニーとモナは食卓越しに皮肉を言い合い、ヘレンはクリスティーナの事件を耳にして、ようやく書く題材を見つける。締めくくりの言葉はビリーのものだ。彼は思春期のひとつの節目を迎えたことを、誇らしげに家族に告げる。

主な出演

  • ジェーン・アダムスジョイ・ジョーダン役

    三姉妹の末っ子。優しいが行き場がなく、仕事にも恋にも手を伸ばすたびに裏切られる。

    ジョイ・ジョーダンの物語

    ジョイは30歳を過ぎ、作曲家を夢見ながら芽が出ず、電話セールスで働いている。姉からは、みんなあなたを心配していると聞かされる。同僚で恋人のアンディに別れを告げると、彼は彼女を浅はかだとなじり、彼女のために作らせた贈り物を持ち帰る。数日後、アンディは自ら命を絶つ。ジョイは仕事を辞め、ストライキの列を越えて移民向けの英語教師になるが、生徒たちには好かれない。生徒のロシア人タクシー運転手ヴラッドに家まで送られて関係を持つが、彼は姿を消す。同居する女に学校で襲われ、彼の部屋で盗まれた自分のギターとステレオを見つけ、返してもらうのに500ドルを払わされる。彼女は教師も辞める。フロリダの両親の家の食卓で、「幸せに」と乾杯するのはジョイだ。

  • ディラン・ベイカービル・メイプルウッド役

    トリッシュの夫で精神科医。小児性愛者であることを隠して暮らし、ふたりの少年をレイプする。

    ビル・メイプルウッドの物語

    トリッシュにとって、精神科医のビル・メイプルウッドは家庭を完璧にしてくれる夫で、息子のビリーは悩みを父に打ち明ける。だがビルは、自分の分析医に、公園で見知らぬ人々を撃ち殺す夢を繰り返し見ると語る。彼は小児性愛者だ。ビリーの同級生で11歳のジョニーが泊まりに来た夜、ビルは彼をレイプする。別の同級生ロナルドが家にひとりでいると知ると、その少年もレイプする。ジョニーの件で警察が来ると、聞かれてもいないロナルドの名を口にしてしまう。家の壁には「連続レイプ犯」と落書きされる。保釈されたビルは、ビリーに問われて泣きながら答える。少年たちをレイプした、またやるだろう、と。トリッシュは子どもたちを連れて、フロリダの両親のもとへ去る。

  • フィリップ・シーモア・ホフマンアレン役

    ヘレンの隣人で、ビルの患者でもある孤独な会社員。面と向かえない女性たちに卑猥な電話をかけ続ける。

    アレンの物語

    アレンは孤独な会社員で、精神科医のビルに、自分がいかに退屈な人間かを語る。隣人のヘレンには話しかけることもできず、そのかわり女性たちに卑猥な電話をかける。ヘレンもそのひとりだ。ヘレンが電話をかけ返して部屋に招くと、彼は出かけていくが、想像していた人と違うと言われて引き下がる。同じ階のクリスティーナは、ずっと彼をデートに誘おうとしていた。ようやく実現したデートで、デザートを前に彼女は泣きながら、自分をレイプしたドアマンのペドロを殺したと打ち明ける。アレンは彼女の部屋を訪ね、その隣で眠りにつく。フロリダの実家の食卓では、ヘレンが妹のジョイに彼を紹介しようと考えている。

  • ララ・フリン・ボイルヘレン・ジョーダン役

    三姉妹の次女で成功した作家。誰からも羨まれながら、その成功を自分にふさわしくないと感じている。

    ヘレン・ジョーダンの物語

    ヘレンは姉妹が羨むものをすべて持っているが、どれも自分にふさわしいとは思えない。誰も本当の自分を求めていない。自分の書くものは嘘くさい。レイプされた経験があれば、もっと真に迫ったものが書けるのにとさえ考え始めている。匿名の男から卑猥な電話がかかってくると、彼女はその声に胸を高鳴らせ、電話をかけ返して部屋に招く。現れたのは、ろくに気にも留めていなかった隣人のアレンだった。想像していた人と違うと告げられ、彼は帰っていく。フロリダの両親の家の食卓で、ヘレンは建物のドアマンを殺した隣人クリスティーナの事件を話題にし、ようやく書く意欲を取り戻し、ジョイにアレンを紹介しようと考えている。

  • シンシア・スティーヴンソントリッシュ・メイプルウッド役

    三姉妹の長女。郊外の家で夫と三人の子に囲まれ、夫の正体を何も知らずに幸せを信じている。

  • カムリン・マンハイムクリスティーナ役

    アレンと同じ階に住む孤独な女性。建物のドアマンをめぐる秘密を抱えている。

この作品が問いかけるもの

『ハピネス』は孤独の映画であり、誰かに触れてもらうために人がどこまで行き、どこで立ちすくむのかを描いた映画だ。トッド・ソロンズは、卑猥な電話をかける男、誰にも本気にされない女、何も疑わない妻、そして子どもをレイプする父親を同じ地平に並べ、同じ辛抱強さで見つめる。その公平さこそが、この作品の行き場を難しくした。サンダンス映画祭は上映を見送り、出資していたオクトーバー・フィルムズは、親会社が小児性愛の筋に異を唱えたため配給から手を引いた。公開はグッドマシンが引き受け、1998年のカンヌ国際映画祭では国際批評家賞を受けた。観たあとに残る居心地の悪さは意図されたものだ。ビルは加害者であり、同時に、息子に問われれば真実を答える父親でもある。それが何を意味するのか、映画は答えを出さない。