卒業
The Graduate
ストーリー
結末まで書いています。
ミセス・ロビンソン、ストッキング、行き先のないバス。今も固有名詞で呼ばれる“年上の女”の空想。
大学を卒業したベンジャミン・ブラドックは、将来の当てもないまま、パサデナの実家に戻る。卒業祝いのパーティーで、父の法律事務所の共同経営者の妻ミセス・ロビンソンに家まで送ってほしいと頼まれ、彼女は自分がアルコール依存だと明かして彼を誘惑しようとする。いったんは拒んだベンジャミンだが、のちに自分から彼女をタフト・ホテルに誘い、グラッドストンという偽名で部屋を取る。夏のあいだ、昼は実家のプールに漂い、夜はホテルで彼女と会う。彼女は、娘エレーンを身ごもったために夫と結婚したのだと打ち明け、エレーンを誘ってみようかという彼の冗談に激怒して、それを禁じる。
それでも両家の親に押され、ベンジャミンはエレーンを連れ出し、デートをぶち壊そうとする。無視し、乱暴に車を走らせ、ストリップ・クラブに連れて行く。泣いて駆け出す彼女を追いかけて謝り、キスをし、ドライブインでの食事で、ふたりは将来への同じ迷いを分かち合う。ホテルの従業員に「グラッドストンさん」と呼ばれたことから、エレーンは彼の情事を察する。もう終わったと彼は言うが、ミセス・ロビンソンが娘にすべてを話すと脅すので、自ら、相手はきみの母親だったと告げる。エレーンは彼を追い出し、バークレーの大学へ戻る。
ベンジャミンは後を追う。拒まれ、彼女は医学生のカールとつきあうが、母がベンジャミンに強姦されたと偽っていたと知って、彼と仲直りする。結婚しようと言い続ける彼に、彼女は迷う。妻と離婚することになったミスター・ロビンソンは、娘に近づけば刑務所送りにすると脅し、エレーンを退学させてカールと結婚させようとする。式がその日サンタバーバラで挙げられると知ったベンジャミンは車を飛ばし、教会の手前でガソリンが切れて走り出す。式が終わろうとするとき、彼はガラス張りの二階席からエレーンの名を叫ぶ。彼女は母に逆らって彼のもとへ駆け出す。ベンジャミンはミスター・ロビンソンを振り払い、参列者を押しとどめ、十字架で教会の扉をふさぐ。ふたりは通りかかったバスに飛び乗る。花嫁衣装のままのエレーンと並んで座り、乗客の視線の中で笑っていたふたりの顔から、やがて笑みが消え、不安が浮かんでいく。
主な出演
ダスティン・ホフマンベンジャミン・ブラドック役
大学を出たばかりで、パサデナの実家で行き場を見失っている青年。情事に流され、やがてエレーンに恋をする。
ベンジャミン・ブラドックの物語
大学では陸上部のスターで新聞部長も務めたベンジャミンは、帰郷しても、何をしたいのか言えない。ミセス・ロビンソンの誘惑を一度は拒みながら、自分からタフト・ホテルに部屋を取り、プールとホテルを行き来して夏を過ごす。押しつけられたエレーンとのデートをぶち壊すつもりが、彼女に恋をしてしまう。母親に脅されると、自分からエレーンに打ち明け、追い出される。バークレーまで追いかけ、結婚しようと言い続ける。ミスター・ロビンソンには刑務所送りにすると脅され、ミセス・ロビンソンには警察を呼ばれる。サンタバーバラへ車を飛ばし、最後は走り、二階席からエレーンの名を叫び、彼女を連れて逃げ、十字架で扉をふさぐ。バスで、その笑顔はやがて消えていく。
アン・バンクロフトミセス・ロビンソン役
ベンジャミンの父の共同経営者の妻。妊娠を機に結ばれた結婚に閉じこめられ、彼を誘惑する。
ミセス・ロビンソンの物語
ミセス・ロビンソンは卒業パーティーの帰りにベンジャミンに車で送らせ、自分はアルコール依存だと明かして、身を投げ出す。夏じゅう、タフト・ホテルで彼と会う。エレーンを身ごもったから結婚したのだと打ち明け、娘を誘おうかという彼の冗談には激しく怒って禁じる。それでも二人が会うと、二度目のデートの場所に娘の代わりに現れ、すべてを娘に話すと脅す。先に打ち明けられてしまうと、ベンジャミンに強姦されたと娘に嘘をつく。夫は離婚の手続きを始める。エレーンを探しに来たベンジャミンには、もう結婚は止められないと言って警察を呼ぶ。教会で、娘はその母に逆らってベンジャミンのもとへ走り、彼女は、十字架でふさがれた扉の内側に残される。
キャサリン・ロスエレーン・ロビンソン役
ミセス・ロビンソンの娘で、バークレーの学生。母との関係を知ったあとも、ベンジャミンに惹かれていく。
エレーン・ロビンソンの物語
バークレーから帰省したエレーンは、両家の親に押されたベンジャミンに連れ出され、わざと嫌われるようにストリップ・クラブへ連れて行かれる。泣いて駆け出すが、謝る彼とドライブインで話すうちに、将来への同じ迷いを分かち合う。やがて彼の情事を察し、その相手が自分の母だと知ると、彼を追い出して大学へ戻る。追ってきた彼を拒み、医学生のカールとつきあうが、母がベンジャミンに強姦されたと嘘をついていたと知って、彼と仲直りする。結婚しようと言い続ける彼に、決めきれない。父に大学をやめさせられ、カールとの式を挙げる。式が終わろうとするとき、ベンジャミンの叫ぶ声を聞き、母に逆らって彼のもとへ走る。花嫁衣装のまま乗り込んだバスで、その笑顔はやがて消えていく。
マーレイ・ハミルトンミスター・ロビンソン役
ベンジャミンの父の共同経営者。ベンジャミンを激しく拒み、エレーンをカールとの結婚へ急がせる。
ウィリアム・ダニエルズミスター・ブラドック役
ベンジャミンの父。妻やロビンソン夫妻とともに、エレーンを誘えと息子をせっつく。
この作品が問いかけるもの
『卒業』は誘惑の場面で記憶されているが、本当の主題は漂流だ。すべてに恵まれながら何を望めばいいのかわからない青年と、間違ったものを望んできたように見える大人たちの世界。年上の女の空想として語られがちなミセス・ロビンソンは、妊娠をきっかけに結ばれた結婚に閉じこめられ、アルコール依存を打ち明ける人物として描かれる。娘に向けた偽りの強姦の告発は、この映画で最も残酷な行為だ。アン・バンクロフトとダスティン・ホフマンの年の差は六歳に満たなかった。1967年の北米で最高の興行収入を上げ、マイク・ニコルズにアカデミー賞監督賞をもたらし、サイモン&ガーファンクルの歌を作品の意味の一部にした。最後のバスの場面が、作品の主張だ。笑顔が消えていくのは、ふたりの未来が明るいだけではないと示したかったからだと、ニコルズは語っている。