ベティ・ブルー 愛と激情の日々
Betty Blue
ストーリー
結末まで書いています。
便利屋と、海辺の家を燃やす女。この映画のポスターは1987年、セザール賞のポスター賞を受けた。
南仏の海辺の町グリュイッサン。三十代のゾルグは、浜辺に並ぶ貸し別荘の修繕や雑用を請け負い、その一軒に暮らしている。そこへ勤め先に嫌気が差した十九歳のベティが転がり込み、ふたりは激しい恋に落ちる。家主が別荘すべてのペンキ塗りを命じると、ベティは家主に食ってかかる。喧嘩の末に家の中をめちゃくちゃにした彼女は、ゾルグがしまい込んでいた小説の原稿を見つけ、一気に読み通して、彼は天才だと思い込む。家主とまた言い争ったあと、ベティは家財を運び出し、別荘に火を放つ。
ふたりはパリ近郊に移り、ベティの親友リサのもとに身を寄せる。リサの新しい恋人エディが営むピザ店で働き、四人は酒を飲んでは夜更けまで笑い合う。ベティは原稿をタイプで打ち直し、出版社に送り続ける。店では、横柄な客に逆上して襲いかかる。ゾルグは届いた不採用の手紙を隠すが、ベティは一通を見つけ、出版社の男の家へ押しかけて怪我を負わせる。ゾルグは男を脅し、告訴を取り下げさせる。
エディの母が亡くなり、ふたりはロゼール県の町マルヴジョルにある彼女の家とピアノ店を任される。ゾルグは静かな田舎暮らしを気に入るが、ベティの感情の揺れは激しさを増していく。妊娠検査薬の結果に喜んだのもつかの間、病院の検査で妊娠していないと知らされる。彼女はふさぎ込み、頭の中で声がすると打ち明ける。ある日ゾルグが家に戻ると、彼女の姿がない。ベティは自らを深く傷つけ、病院に運ばれていた。その夜、ある出版社から小説を出したいという電話が入る。次に訪ねた病室で、彼女はベッドに縛られ、何にも反応しない。回復しないかもしれないと告げた医師に、薬のせいだとゾルグはつかみかかり、病院から放り出される。その夜、女装して病室に忍び込んだゾルグは、ベティに別れを告げ、自らの手で彼女の命を奪う。やがて家で机に向かう彼を、白い猫が見つめている。書いていたの、とベティの声がする。考えていたんだ、と彼は答える。
主な出演
ベアトリス・ダルベティ役
激しく衝動的な若い女性。ゾルグの才能を信じて出版を夢見るが、しだいに心の均衡を失っていく。
ベティの物語
ベティはウエイトレスの仕事をやめ、浜辺のゾルグの小屋に転がり込む。彼が別荘すべてのペンキ塗りを命じられると、家主に食ってかかる。原稿を見つけて一気に読み通し、この人は天才だと信じる。家主とまた衝突すると、小屋に火を放つ。パリ近郊では小説をタイプで打ち直して出版社に送り、横柄な客に襲いかかり、ゾルグが隠した不採用の手紙を見つけると、出版社の男の家に押しかけて傷を負わせる。マルヴジョルでは心の揺れが暗さを増す。妊娠検査薬に喜んだあと、病院の検査で否定され、ふさぎ込み、頭の中で声がすると打ち明ける。やがて自らを深く傷つけ、病院で薬を与えられ、ベッドに縛られて何にも反応しなくなる。その病室で、彼女はゾルグの手で命を奪われる。
ジャン=ユーグ・アングラードゾルグ役
海辺の貸し別荘で雑用係をする男。書くことをやめていたが、ベティに原稿を見出され、彼女の激情についていく。
ゾルグの物語
三十代のゾルグは、グリュイッサンの浜辺で貸し別荘の雑用をしている。そこへベティが転がり込む。彼が書くのをやめた小説を彼女は信じ込み、やがて小屋に火を放つ。彼は彼女と町を出る。パリ近郊では不採用の手紙を隠し、ベティが出版社の男を傷つけると、彼女は自分の人生で唯一のいいものだと男を脅して、告訴を取り下げさせる。マルヴジョルでは静かな暮らしを気に入るが、ベティは沈んでいく。彼女が病院に運ばれた日、出版社から小説を出したいと電話が入る。回復しないかもしれないと言われ、薬のせいだと医師につかみかかる。その夜、女装して病室に戻り、別れを告げて彼女の命を奪う。家で机に向かう彼に、書いていたの、とベティの声がする。考えていたんだ、と彼は答える。
ジェラール・ダルモンエディ役
リサの恋人で、パリ近郊でピザ店を営む。母の死後、その家とピアノ店をふたりに任せる。
ベティの親友。行き場をなくしてパリ近郊に来たふたりを迎え入れる。
この作品が問いかけるもの
『ベティ・ブルー 愛と激情の日々』は、肉体の熱に満ちた恋の物語として始まり、献身の調子を変えないまま、心の病の物語へと移っていく。ゾルグはベティを丸ごと愛する。けれど映画のほとんどのあいだ、彼が病に差し出せるのは愛だけだ。彼女の激昂は情熱として、才能を信じる証として、かばうべきものとして受けとめられ、彼女が自らを深く傷つけたとき、ようやく病院が引き取る。心が壊れていく相手に、愛する者は何を負うのか。結末の行為を物語は愛として差し出すが、それを、彼女に助けを届けられなかった最後の失敗と見ることもできる。1986年のフランスで360万人を超える観客を集めた、ジャン=ジャック・ベネックス最大のヒット作であり、アカデミー賞外国語映画賞の候補にもなった。