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Cinema 月明かりの映画館

パッセージ

Passages

2023映画フランス

465作品の星図のなかで見る

ストーリー

結末まで書いています。

ゲイの映画監督が女性と関係を持ち、夫も手放そうとしない。NC-17指定に抗議し無指定で公開。

パリに暮らすドイツ人の映画監督トマスは、新作の撮影を終えたところだ。打ち上げの夜、夫でイギリス人の印刷工マーティンに踊るのを断られ、トマスは若い小学校教師のアガトと踊り、彼女の部屋へ行って一夜を共にする。翌朝、彼はほとんど浮かれた調子で、女性と寝て、久しく感じなかったものを感じたとマーティンに告げる。マーティンは、きっと乗り越えられると言う。トマスはアガトと会い続ける。田舎の家でふたりは言い争う。トマスは結婚生活が安全すぎると言い、マーティンは、君は彼女に恋をしているのだと言う。

パリに戻ったマーティンは小説家のアマドと知り合い、トマスは彼に無礼な態度をとる。トマスはふたたびアガトの部屋で夜を過ごし、子どものころの子守歌を歌ってくれた彼女に、愛していると告げる。彼はアガトの部屋へ移り住む。マーティンは田舎の家を売りに出し、アマドと付き合いはじめる。昔の鍵で部屋に入ったトマスはふたりに出くわして飛び出し、マーティンは鍵を返すよう求める。鍵を返しに来たトマスは、泊めてくれと言いくるめてマーティンのベッドに入る。翌朝、アガトが妊娠したと打ち明ける。

アガトの両親との夕食に遅れてきたトマスは、身構え、敵意をむき出しにする。そのあとマーティンのもとへ戻り、ふたりで家族として子どもを育てようと持ちかけ、男と一緒にいられないのが寂しいと言う。マーティンはアマドと別れる。アマドは、ふたりとも持たないだろうと言い残す。友人たちと過ごす田舎の週末、アガトは隣の部屋から聞こえるふたりの男の営みを聞きながら横たわり、あとからベッドにもぐりこんできたトマスに、泣きながら抱きしめられる。彼女はトマスとの連絡を断つ。マーティンとの昼食で、アガトは中絶したと告げる。家族は欲しい。でも3人の中では、自分は消えてしまうと気づいたのだと。マーティンはトマスと別れ、一緒にヴェネツィアへは行かない、二度と連絡しないでくれと告げる。トマスはアガトの教室を訪ねて代わりに来てほしいとすがるが、彼女も拒む。トマスは自転車で、あてもなく街を走っていく。

主な出演

  • フランツ・ロゴフスキトマス役

    パリで暮らすドイツ人の映画監督。若い女性と関係を持ちながら、夫も手放そうとしない。

    トマスの物語

    トマスは新作の撮影を終えたばかり。打ち上げの夜、夫マーティンに踊るのを断られると、アガトと踊り、彼女の部屋へ行く。翌朝、浮かれた調子で夫に告げ、ふたりの結婚は安全すぎると言う。アガトの部屋に移って愛していると告げながら、夫の新しい恋人アマドには我慢がならず、マーティンのベッドに戻ってアガトの妊娠を打ち明ける。彼女の両親との夕食には遅れて敵意をむき出しにし、マーティンには一緒に子どもを育てようと持ちかける。田舎の週末、アガトに聞こえる部屋でマーティンと体を重ね、そのあと泣く彼女を抱きしめる。アガトは連絡を断ち、中絶を知ったマーティンも彼と別れて、ヴェネツィア行きを断る。アガトにもすがるが拒まれ、自転車であてもなく街を走っていく。

  • ベン・ウィショーマーティン役

    トマスの夫で、イギリス人の印刷工。何度もトマスを受け入れるが、やがて限界を迎える。

    マーティンの物語

    マーティンは夫の打ち上げの夜に踊るのを断り、翌朝、トマスが女性と寝たと聞かされる。きっと乗り越えられると彼は言う。田舎の家では、トマスが認めようとしないことを口にする。君は彼女に恋をしているのだと。トマスが出ていくと家を売りに出し、小説家のアマドと付き合いはじめ、昔の鍵で入ってきたトマスに鍵を返すよう求める。それでもトマスに言いくるめられてベッドをともにし、アガトの妊娠を告げられる。のちに一緒に子どもを育てようと持ちかけられると、ふたりとも持たないだろうと言うアマドと別れる。中絶したと教えてくれたのは、昼食の席のアガトだった。彼は涙をこらえる。家に帰るとトマスと別れ、ヴェネツィアには行かない、二度と連絡しないでくれと告げる。

  • アデル・エグザルコプロスアガト役

    若い小学校教師。トマスに惹かれ、彼の子を身ごもる。

    アガトの物語

    アガトは打ち上げの夜にトマスと踊り、彼を自分の部屋へ連れて帰る。会い続け、子どものころの子守歌を歌ってやり、愛していると告げられて、彼を部屋に迎え入れる。やがて妊娠するが、両親との夕食に彼は遅れてきて敵意をむき出しにし、そのあとマーティンのもとへ戻って、3人で子どもを育てようと持ちかける。友人たちと過ごす田舎の週末、隣の部屋のふたりの男の営みを聞きながら横たわり、あとからベッドにもぐりこんできたトマスの腕の中で泣く。彼女はトマスとの連絡を断つ。昼食の席でマーティンに、中絶したと告げる。家族は欲しい、でも3人の中では自分は消えてしまう、と。教室まで訪ねてきて、ヴェネツィアに一緒に来てほしいとすがるトマスを、彼女は拒む。

  • エルヴァン・ケポア・ファレアマド役

    小説家。トマスが出ていったあと、マーティンと付き合いはじめる。

この作品が問いかけるもの

『パッセージ』は、欲しいものを手に入れ、それを感情と呼ぶ男の肖像だ。トマスは人を惹きつけ、同じくらい身勝手だ。映画は、その欲望が彼を愛するふたりに払わせる代償を見つめる。何度でも彼を受け入れてしまう夫。そして最後に、ふたりの結婚の中では自分が消えてしまうと悟る若い女性。描かれているのは、問題としての両性愛ではない。責任を伴わない欲望であり、あらゆる関係を自分が演出する場面のように扱う人間がもたらす傷だ。批評家たちはトマスをライナー・ヴェルナー・ファスビンダーになぞらえた。アメリカでは成人指定にあたる区分を受け、監督のアイラ・サックスは性的少数者の表現に対する文化的な検閲だと批判し、配給会社は区分なしで公開した。残る問いは、アガトが自分で答えを出したものだ。いつ、他人の物語の一部であることをやめるのか。