ホスト相続しちゃいました
My Host Club Inheritance
ストーリー
結末まで書いています。
ホストクラブを相続した女性が、女性に恋を売る商売を経営する。
34歳の本橋久美子は、コピーライターを夢見ていたはずが、広告代理店の営業として接待と新人指導に追われている。母を亡くして以来ただひとりの家族だった叔父・晃司が急死し、葬儀場に駆けつけた久美子が見たのは、棺に向かって涙ながらにシャンパンコールをするイケメンたちだった。晃司は歌舞伎町のホストクラブのオーナーで、遺書には店を久美子に相続させるとあった。女の子をだまして金をとるホストなんて無理だと拒む久美子に、晃司の部下で三幹部のひとり・直樹は言う。三人の誰がオーナーになっても揉める。接待力もハラスメント耐性もあるあなたこそ適任だ、と。
久美子は店を引き受ける。晃司は五千万円の借金を残しており、同じビルには大手ホストグループのライバル店が進出してくる。久美子は念願だったコピーライターの内示を断って会社を辞め、「楽しくなきゃ、ホストじゃない」、そして姫が苦しんでいるときは踏みとどまれ、という理念を掲げる。ホストたちにはそれぞれの過去がある。直樹は、相方の不祥事でコンビを解散した元芸人。俺様なナンバーワンのマサトには父親殺しのうわさがあるが、実際は、母に暴力をふるう義父を止めようとして自分も襲われ、もみ合ううちに相手に重傷を負わせて少年院に入っていた。神童ルイは、女性が好きで男装してホストになった女性。三幹部のもうひとり・如月武蔵は傷害事件のあと姿を消し、ライバル店で働いていた。久美子の後輩・莉奈はその如月にのめり込み、パパ活をしてまで彼に貢ぐようになる。
二つの店は売上対決に臨む。そのさなか、ライバル店の姫のひとりが自ら命を絶とうとし、久美子はホストという仕事の業に向き合わされる。罪悪感から如月に避けられた莉奈は、自ら命を絶つことをほのめかす。久美子は「私がいる」と寄り添い、莉奈は思いとどまる。如月は暴行を受けながらもライバル店を抜け、晃司からもらった名前で元の店に戻る。
花火の夜、マサトは久美子に想いを打ち明けるが、久美子には色恋営業だと思われてしまう。久美子は店の経営から身を引き、プレイヤーを引退する直樹にオーナーを託す。二か月後、久美子は大手が手を出さない夜の仕事の広告を専門にする会社を起こし、歌舞伎町でわけありの人生を送ってきた人々を雇って、昼の仕事と夜の仕事の橋渡しを始めていた。客として久しぶりに訪れた店では、ナンバーワンになったルイをはじめ、ホストたちが生き生きと働いている。見送りに出たマサトを振り返り、久美子は好きだと告げて、昼の仕事の側へ来ないかと誘い、ふたりは口づけを交わす。
主な出演
桜井ユキ本橋久美子役
コピーライターを夢見てきた34歳の広告代理店営業。亡き叔父の傾いたホストクラブを相続する。
本橋久美子の物語
叔父の死で天涯孤独になった久美子は、ホストは女をだますだけだと思いながら、叔父の遺した店に足を踏み入れる。やがて店に残ると決め、待ち望んだコピーライターの内示を断って会社を辞める。ホストたちは、やがて彼女の家族になる。ライバル店の姫が自ら命を絶とうとすると、ナンバー制こそが姫を苦しめるのではとためらい、後輩の莉奈が同じことをほのめかしたときには「私がいる」と寄り添う。店を直樹に託し、夜の仕事の広告を専門にする会社を起こして、歌舞伎町でわけありの人生を送ってきた人たちを雇う。見送りに出たマサトといったん別れかけ、振り返って好きだと告げ、ふたりは口づけを交わす。
三浦翔平直樹役
三幹部のひとりで、肩書は「社長」。晃司に拾われた元芸人で、久美子をホストの世界へ導く。
直樹の物語
直樹は晃司の葬儀で久美子に声をかけ、三幹部の誰がオーナーになっても揉める、あなたこそ適任だと告げる。半グレとのうわさもあるが、本当は相方の不祥事でコンビを解散していた。そして、幼い久美子と図書館で出会い、コピーライターになればいいと勧めた少年でもあった。対決イベントではマサトとともに太客を集めて奔走し、ナンバー制をためらう久美子には珍しく異を唱える。プレイヤーを引退する日、家族のように思っている、あなたこそオーナーにふさわしいと、久美子から相続の書類を託される。告白めいた言葉を口にした彼と久美子は、初恋が終わったことを静かに確かめ合う。
八木勇征マサト役
店のナンバーワンで、俺様な「代表」。父親殺しのうわさの陰に、別の過去を隠している。
マサトの物語
マサトは本当は、母を殴る義父を止めようとして自分も襲われ、相手に重傷を負わせて少年院に入った。その過去を承知で受け入れてくれた晃司への恩から、傾いた店にとどまっている。花火の夜、好きな女ができたらもうホストはできないと久美子に想いを告げ、店を譲ってほしいとも持ちかけるが、色恋営業だと思われて、冗談だとごまかす。2か月後、彼はナンバーワンを追うのをやめ、若いホストたちを見守っている。久美子を見送った帰り道、振り返った彼女に好きだと告げられ、昼の側へ来ないかと誘われて、ふたりは口づけを交わす。
兼近大樹如月武蔵役
三幹部のひとりで「総支配人」。傷害事件のあと姿を消し、ライバル店で働いていた。
志田彩良西野莉奈役
久美子の会社の後輩のコピーライター。ホストにのめり込み、パパ活をしてまで貢ぐようになる。
鈴木ゆうか神童ルイ役
女性が好きで、男装してホストになった女性。最後にはナンバーワンになる。
この作品が問いかけるもの
この深夜ドラマは、若い男性が女性を夢中にさせることで稼ぐ歌舞伎町のホストクラブの内側に、外から来た人の目で入っていく。ホストは女をだますだけだと思っていた久美子の見方を、作品は正しくもあり、足りなくもあるものとして描く。借金、自ら命を絶とうとする客、ホストのためにパパ活を始める後輩と、害ははっきり描かれる。同時に、少年院の過去、解散した芸人コンビ、拾ってくれた人からもらった名前と、男たちの事情も語られる。久美子の答えは、経営者のものであり、人としてのものでもある。姫が苦しいときには踏みとどまる店。そして、夜の仕事を仕事として扱う会社。求める気持ちの上に成り立つ商売で、その歯止めが本当に保てるのか。作品はその問いを投げかけ、答えを出しきれずにいる。