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Cinema 月明かりの映画館

極悪女王

The Queen of Villains

2024ドラマ・シリーズ日本

465作品の星図のなかで見る

ストーリー

結末まで書いています。

ダンプ松本と80年代女子プロレス。女らしさ、醜さ、名声を演じるということ。

1974年。松本香は、貧しい家に育つ心優しい少女だ。父の五郎は酒に酔っては暴力をふるい、香の給食費を取り上げ、愛人との間に生まれた赤ん坊にまで「かおる」と名づけていた。香は父を殺したいと思うほど憎むようになる。そんな香に別の夢を与えたのが、女子プロレスの華やかさと、スターのジャッキー佐藤だった。高校を出た香は決まっていたパン屋への就職を断り、全日本女子プロレスのオーディションに合格する。同期には長与千種や北村智子がいた。香は落ちこぼれ組のひとりで、千種とは親友になる。

松永兄弟が率いる会社は、売れなくなった選手をあっさり切り捨てる。先輩にいじめられてプロレスを辞めると決めた千種は、最後のつもりで北村と戦い、ふたりは「クラッシュ・ギャルズ」を結成して国民的な人気者になる。デビューさせてもらえない香は、宣伝カーを運転する日々。ヒール軍団に入れられても、非情になりきれない。やがて香は、新人時代の孤独を救ってくれたのは飛鳥だったと語る千種の記事を読み、父が自分を通して手に入れたクラッシュのサインを悪用していたことも知る。姿を消した香は、「ダンプ松本」としてリングに戻ってくる。

ダンプは観客から罵声を浴びる悪役となり、会社にとって欠かせない稼ぎ頭になる。松永兄弟はクラッシュ・ギャルズとの試合を繰り返し組み、妹はダンプの妹だという理由で中傷を受ける。ダンプは自らのヒール軍団「極悪同盟」を結成し、気弱な後輩の髪を半分刈り上げて「ブル中野」にする。因縁はついに、長与との「敗者髪切りデスマッチ」にたどり着く。筋書きではダンプが負けるはずで、専務の松永俊国は大金を払ってそれを約束させていた。だがダンプはその約束を破り、長与を痛めつけて勝ち、リングの上で彼女の髪を刈る。

ほどなくダンプは引退を表明する。腕に「あばよ」と書いて臨んだ引退試合で、ダンプは試合を終わらせない。止めようとする俊国を振り切り、パートナーを入れ替えた試合が続けられ、ダンプ松本と長与千種が並んで戦う。会場の外では、チケットを買えなかった少女が扉の前にたたずんでいる。社長の松永高司は彼女を招き入れ、少女は光の方へ歩いていく。

主な出演

  • ゆりやんレトリィバァダンプ松本(松本香)役

    暴力と貧しさのなかで育った心優しい少女。80年代女子プロレスを代表する悪役になっていく。

    ダンプ松本(松本香)の物語

    妹と空き瓶を集めて小遣いを稼ぐ香は、酒に酔って暴力をふるい、給食費まで取り上げる父を殺したいほど憎むようになる。ジャッキー佐藤に憧れて、パン屋への就職を断り、全女に入る。落ちこぼれ組でデビューも遅れ、ヒール軍団に入っても非情になれない。だが親友の千種が孤独を救ってくれたのは飛鳥だと語る記事を読み、自分がもらってきたクラッシュのサインを父が悪用し、母と妹が父を迎え入れていたと知って、姿を消す。やがてダンプ松本として戻ってくる。リングの外でも悪役を貫き、善玉と親しくする仲間を追放する。負けるよう大金を渡された髪切りデスマッチで約束を破り、千種を痛めつけて勝ち、その髪を刈る。引退試合では、家族が見守るなか、千種と並んで戦うことになる。

  • 唐田えりか長与千種役

    香の同期の親友。両親に置き去りにされた過去を持ち、クラッシュ・ギャルズとして国民的人気を得る。

    長与千種の物語

    千種は、借金を抱えた両親が蒸発し、親戚の家を転々として育った。全女では香とともに落ちこぼれ組になる。練習で空手の技を使ったことから先輩にいじめられ、辞めると決めて、最後の相手に北村智子(のちのライオネス飛鳥)を選ぶ。その一戦で意気投合したふたりはクラッシュ・ギャルズとなり、歌も出して会場を満員にする。歌やテレビも仕事のうちと考える千種は、純粋にプロレスをしたい飛鳥と少しずつすれ違う。一方、香はダンプ松本となって戻り、会社はふたりの試合を何度も組む。千種が勝つはずだった髪切りデスマッチで、ダンプは約束を破って千種を痛めつけ、リングの上で髪を刈る。ダンプの引退試合では、パートナーを入れ替えたもう一試合で、千種は香と並んで戦う。

  • 剛力彩芽ライオネス飛鳥役

    本名は北村智子。身体能力に優れた同期で、長与とクラッシュ・ギャルズを組むが、アイドル的な活動には懐疑的。

  • 斎藤工松永俊国役

    団体を率いる松永兄弟の三男で専務。視聴率と金しか頭になく、選手を駒としか見ていない。

  • 村上淳松永高司役

    全日本女子プロレスの社長。会場で自ら焼きそばを売り、冷徹な判断を下す一方で情に厚い。

  • 野中隆光松本五郎役

    香の父。暴力と浪費と女性問題で家族を苦しめ、娘の怒りの源となる。

この作品が問いかけるもの

『極悪女王』は、80年代女子プロレスの大ヒール、ダンプ松本の半生をドラマにした作品で、悪役を代償を伴うひとつの仕事として描く。香がリングの上の怪物になるのは、若い女性の体の上に成り立つ興行がそれを必要とし、暴力的な父への怒りに行き場が必要だったからだ。作品はその興行を容赦なく見つめる。売れなくなったスターをあっさり引退させる経営者、あらかじめ決められた勝敗、姉の悪役ぶりのせいで中傷される妹。同時に、女性同士の友情を珍しいほど優しく描く。落ちこぼれ同士だったふたりが、髪切りデスマッチで向かい合うまでを。出演者は増量し、長与千種本人が率いるレスラーたちの指導でトレーニングを重ねた。配信開始後、ネットフリックスの国内週間ランキングで3週連続1位となった。