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Cinema 月明かりの映画館

セクシー田中さん

Sexy Tanaka-san

2023ドラマ・シリーズ日本

465作品の星図のなかで見る

ストーリー

結末まで書いています。

地味な経理の田中さんの夜の顔はベリーダンサー。原作者の死を経て、原作改変問題の象徴に。

田中京子は四十歳。会社の経理部で働き、地味な服装と人づきあいのなさから、社内では変わり者扱いされている。二十三歳の派遣社員・倉橋朱里は、若くてかわいいうちに結婚して、世間並みの幸せを手に入れようと合コンに通う日々だ。ある夜、ペルシャ料理店「サバラン」でベリーダンサーのサリの踊りを見た朱里は、目が離せなくなる。サリの正体は田中さんだった。誰にも言わないでと頼まれたことから、ひと回り以上年の離れたふたりの友情が始まる。

朱里はベリーダンス教室に通い始め、都合のいいときだけ部屋に来る古い友人・進吾との関係を見つめ直していく。田中さんは、サバランのマスターでダラブッカ奏者の三好に、既婚者と知りながら片思いをしている。三十七歳の商社マン・笙野浩介は、女性への偏見を隠さず、田中さんを面と向かって「おばさん」と呼ぶが、なぜか店に通い続ける。行方不明のハムスターを一緒に探し、モヒートを飲みすぎて彼女の部屋で目を覚ました朝も、下心は一ミリもないと言い切る。やがて彼は、田中さんの好きなものを知りたくてダラブッカを習い始める。笙野の同僚で女性の扱いに慣れた小西は、朱里に惹かれていく。

四十肩で踊れなくなる田中さん、故郷・松戸でのショー、踊る動画が広まって会社に知られてしまう騒ぎ、化粧を頑張りすぎた笙野との初デート。田中さんに似合うメイクを探すうちに、朱里は自分のやりたい仕事を見つける。母が倒れたことをきっかけに、笙野は母の勧める見合いに応じる。ついに三好がキスしようとしたとき、田中さんの頭に浮かんだのは笙野の顔で、彼女は三好を突き放す。

最終話、笙野は見合い相手との結婚話を白紙に戻し、サバランのクリスマスイベントで田中さんの踊りにダラブッカを合わせる。そのあと田中さんは、還暦を過ぎたダンサー・愛子と海外へダンス留学に旅立つ。小西は朱里に指輪を贈るが、朱里はまずメイクを仕事にしたいと考えている。二年後、朱里の親友・華の結婚式。メイクアシスタントになった朱里、結婚をお預けにされたままの小西、相変わらずひとりの笙野。笙野の伴奏でみんなが踊り出したところへ、一時帰国した田中さんが、飛行機の遅れで遅れながらも駆けつけ、輪に加わる。田中さんと笙野がどうなるのかは描かれないまま、物語は終わる。

主な出演

  • 木南晴夏田中京子役

    社内で変わり者扱いされる四十歳の経理部員。夜はベリーダンサー「サリ」として踊る。

    田中京子の物語

    田中さんには、友人も恋人もできたことがない。サバランで踊りながら、既婚者のマスター・三好にひそかに想いを寄せている。正体に気づいた朱里に口止めを頼んだことから、初めての友人ができる。「おばさん」と呼んだ笙野はなぜか店に通い続けるが、三好を悪く言われて、彼女は彼を追い返す。四十肩で踊れなくなり、動画が広まって会社に知られ、笙野との初デートでは化粧をやりすぎる。三好にキスされそうになった瞬間、浮かんだのは笙野の顔で、彼女は身を引く。しばらく踊れなくなるが、朱里に支えられて立ち直り、クリスマスのショーで笙野のダラブッカに合わせて踊る。そして愛子とともに海外へダンス留学に発つ。2年後、華の結婚式に遅れて駆けつけ、踊りの輪に加わる。

  • 生見愛瑠倉橋朱里役

    世間並みの結婚を目指して合コンに通う二十三歳の派遣社員。田中さんに憧れ、自分の道を見つけていく。

    倉橋朱里の物語

    朱里は、若くてかわいいうちに結婚しようと合コンに通いながら、そんな自分を好きになれずにいる。サリとして踊る田中さんを見て熱烈なファンになり、ベリーダンス教室に通い始め、田中さんを侮辱した笙野に仕返しをたくらむ。都合のいいときだけ現れる進吾に、もう振り回されないと告げるが、依存先を田中さんに変えただけだと言い返される。四十歳の田中さんに似合うメイクを探すうちに、やりたい仕事を見つける。メイクブラシを贈ってくれた小西には「大好き」と答える。最終話、誰を選んでも一生味方だと田中さんを励まし、小西に指輪を渡されても、まずは仕事を選ぶ。2年後、彼女はメイクアシスタントとして働いている。

  • 毎熊克哉笙野浩介役

    女性への偏見をそのまま口にしてしまう三十七歳の商社マン。田中さんと出会い、少しずつ変わっていく。

    笙野浩介の物語

    笙野は結婚願望が強いが、女性に求める条件が多く、偏見をそのまま口にする。サバランで田中さんを「おばさん」と呼び、同じベッドで目覚めた朝には、下心は一ミリもないと言い切る。それでも総菜を届けるようになるが、彼女の想い人が三好だと知ってけなし、追い返される。そして、田中さんの好きなものを知りたいと、三好本人にダラブッカを習い始める。初デートの帰りには、彼女を侮辱した男たちから守ろうとして靭帯を痛める。母の勧めるふみかと見合いをし、結婚を前提に付き合い始めて、クリスマスの練習にも顔を出さなくなる。手術を終えた母に、行きたい場所へ行きなさいと言われ、ふみかに別れを告げて、田中さんの踊りにダラブッカを合わせる。2年後も、彼はひとりのままだ。

  • 前田公輝小西一紀役

    笙野の同僚。人当たりがよく女性の扱いにも慣れているが、朱里には本気で惹かれていく。

  • 安田顕三好圭人役

    田中さんが踊るペルシャ料理店「サバラン」のマスターで、ダラブッカ奏者。既婚者で、田中さんの片思いの相手。

  • 川村壱馬仲原進吾役

    朱里の学生時代からの友人。気持ちをはっきりさせないまま、都合のいい関係を続けている。

この作品が問いかけるもの

『セクシー田中さん』は、ふたつの「見えなさ」を並べてみせる。誰にも見られない四十歳の会社員と、誰からも見られるのに、誰にも話を聞いてもらえない二十三歳。女性は他人の視線に何を差し出さなければならないのか。田中さんは、自分の頭で考え、地に足をつけて立ちたかったからベリーダンスを選んだと語る人だ。彼女が朱里に教える映画の台詞がある。恋はいらない、欲しいのは尊重されること。このドラマは、放送のあとに起きたことでも記憶されている。原作に忠実であることを求めていた漫画家の芦原妃名子は、最後の二話の脚本を自ら書いた。2024年1月、彼女は経緯を公表してまもなく取り下げ、数日後に亡くなった。自殺とみられている。日本テレビと小学館はそれぞれ調査報告書を公表し、映像化が原作者をどう扱うのかという問いが、社会に広く投げかけられた。