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Cinema 月明かりの映画館

ダウンタイム

Plastic Beauty

2026ドラマ・シリーズ日本

465作品の星図のなかで見る

ストーリー

結末まで書いています。

大学病院を追われた外科医が美容外科クリニックへ。美しさで救うと信じる院長と衝突する。

沼田文は大学病院の形成外科医だ。手術の腕は天才的で、美容整形を公然と見下している。ある夜、豊胸手術のダウンタイム中にボトックス注射を打ったインフルエンサー、かなぶんこと國分佳奈が救急搬送されてくる。シリコンの下には悪性腫瘍があり、文は命を救うためにシリコンを取り除く。胸を失ったことに絶望した佳奈は、自ら命を絶つ。豊胸手術をしたのは、「神の手」と呼ばれる遠山美容外科クリニックの院長・遠山凜だった。クリニックは責任を文に押しつけるように情報をネットに流す。職を失い、実家の借金も抱えた文は、業界の闇を探るつもりで凜の誘いに乗る。

回ごとに、新しい顔を求める患者がやってくる。声優を目指しながら、顔で選ばれるからとオーディションへの応募さえ止められた田中善子は、整形して役をつかむ。だが鼻を強く打ってプロテーゼが損傷し、元の顔に戻るくらいなら死ぬと言う彼女の鼻を、凜が作り直す。末期がんの高齢女性ゆり子は、テレビの密着取材のなかでフェイスリフトを望み、執刀した文の手で美しくなって、遺影を撮りに行く。再生数の落ちたチャンネルのために整形動画を撮りたいという小学生の動画配信者もえのを、凜は手術せずに帰す。

凜にも秘密がある。自分の手術で患者を失明させて以来、大きな手術になると手が震え、執刀をほかの医師に任せてきた。クリニックの創業者である父・新は、いまも陰から支配を続けている。スナックを営む文の母・妙子はくも膜下出血で倒れて亡くなり、娘の知らなかった過去の痕跡を残していく。文は凜の震えを世間に明かすが、仕組んだのが自分だと知られてクリニックを去る。だが都知事の手術の日には凜のもとへ駆けつけ、ふたりは手を組んで新に立ち向かう。やがて文は、新が自分の実の父であり、凜が新の養女であることを知る。美容外科を離れると凜に告げた文は、海へ向かう途中で交通事故に遭う。

命は助かったが、顔には後遺症が残るかもしれない。新は、遠山の血と「神の手」を継いでほしいと文に頼み、文はそれなら遠山の名を手放せと条件をつける。文は凜に、自分の顔の手術を頼む。クリニックをたたみ、フロリダへ発とうとしていた凜は一度は断るが、手術が始まると聞いて病院へ駆けつけ、執刀させてほしいと申し出る。時が流れ、文は母のスナックを改装して自分のクリニックを開いている。そこへ凜が現れる。文の顔を手術したのは、凜だった。凜はこのクリニックを2億円で買いたいと持ちかけ、文は笑みを浮かべる。その答えは描かれない。

主な出演

  • 松岡茉優沼田文役

    美容整形を嫌う天才的な形成外科医。大学病院を追われ、暴くつもりで凜のクリニックに入る。

    沼田文の物語

    文は、手術は命を救うためのものだと信じ、病気でない人にメスは入れられないと言い切る。佳奈の死でネットに名前がさらされると、責めを負うことを拒んで大学病院を辞め、家の借金もあって、クリニックが腫瘍を知っていた証拠をつかもうと凜のもとで働き始める。末期がんのゆり子には患者を見下していると言われ、二重まぶたを自分で作ろうとして傷を負った弟には、わけを聞いてから執刀する。凜の手の震えを暴いて職を失い、それでも都知事の手術では凜の隣に立つ。新が実の父だと知って美容外科を離れると告げた直後、事故で大けがを負い、顔の手術を凜に託す。やがて自分のクリニックを開いた文は、それを買いたいという凜の申し出に笑みを浮かべる。

  • 仲里依紗遠山凜役

    「美で人を救う」と信じる遠山クリニックの院長。大きな手術で手が震えることを隠している。

    遠山凜の物語

    凜は新の養女で、幼い頃に「神の手」の後継者として舞台で紹介された。手の震えは、パトロンの孫娘を自分の手術で失明させたときから始まった。以来、執刀はほかの医師に任せ、その孫娘の無理な頼みも断れずにいる。佳奈の死の責任を文に押しつけたうえで、彼女を雇う。文に手の震えを暴かれ、父が現役に戻って自分を追い落としにかかると、凜は佳奈と失明した患者の手術記録を文に渡し、会見で佳奈の死へのクリニックの責任を認める。患者との取り決めを終わらせ、クリニックを閉じる。顔の手術を頼む文を一度は断るが、フロリダへ発つ直前に引き返して執刀する。2年後、文のクリニックに現れた凜は、それを2億円で買いたいと持ちかける。

  • 渡部篤郎遠山新役

    クリニックの創業者で凜の養父。「神の手」の継承に執着し、文の実の父でもあった。

  • 永作博美沼田妙子役

    スナックを営む文の母。娘が美容外科で働くと知り、酔ってクリニックに乗り込む。

  • 間宮祥太朗小宮ルイ役

    遠山クリニックの副院長。容姿で患者を集める美容外科医で、凜を指名されると苛立つ。

この作品が問いかけるもの

『ダウンタイム』の配信にあたり、ネットフリックスはひとつの矛盾を挙げた。日本では「美の多様性」が善、ルッキズムが悪と語られるようになったのに、美容整形のブームは加速している。業界への取材から作られたこの作品は、その現場を画面に並べる。インフルエンサーの患者、テレビに撮られる末期がんの女性、配信のために整形したい子ども、腕より名前に値がつく医師。ふたりの外科医の対立に、作品は決着をつけない。文は医療を命を救うものと考え、凜は顔こそが人を生かすことがあると考える。その下には、養女と実の娘というふたりの娘を、同じ父が自分の名を継ぐ器として扱おうとする、もうひとつの物語が流れている。最後には文自身が患者になり、見慣れた自分の顔を失うことを恐れる。「美しくなりたい」は希望なのか、呪縛なのか。作品の問いは開かれたまま残る。