マスクガール
Mask Girl
ストーリー
結末まで書いています。
顔に自信のないOLが夜は仮面で配信を行う。整形と犯罪を経て変わり続ける一人の女を、三人の女優が演じ継ぐ。
キム・モミは、幼い日に舞台で踊ったときからスターになりたかった。だが誰もが、あの顔では無理だと言う。2009年、会社員になった彼女は、夜になると仮面をつけ、「マスクガール」としてライブ配信で踊る。素顔を見ない見知らぬ人々に愛される時間だ。職場では既婚の上司に片想いしているが、彼と美人の同僚の関係を知ると噂を広め、同僚は異動になる。母親に縛られた孤独な同僚チュ・オナムは、手のほくろでマスクガールがモミだと気づき、執着を募らせる。配信の視聴者と会ったモミが性的暴行されかけて相手を殴り倒すと、駆けつけたオナムがその男を殺す。モミは会社を辞め、整形手術で顔を変える。オナムは彼女の部屋に押しかけて性的暴行を加え、モミは彼を殺す。マスクガールだと世間に知られ、殺人の容疑をかけられた彼女は、新しい顔と「アルム」という名前でクラブの踊り子として姿を消す。
貧しさのなかでひとり息子を育てたオナムの母キム・ギョンジャは、残りの人生を復讐に捧げる。追跡の末に行き着いたのは、モミの親友だと隠していた踊り子キム・チュネだった。モミは、チュネが暴力をふるう恋人を殺すのを手伝い、オナムの子を身ごもっていると打ち明ける。ギョンジャに追いつかれ、チュネは命を落とす。モミはふたりを乗せた車を湖に沈める。生まれた娘ミモを母に託し、彼女は刑務所に入る。
ミモは怒りを抱えた孤独な少女に育つ。母親が誰かをいつも言いふらされ、学校を転々とする。言いふらしていたのは、生き延びて顔を変え、学校の前の屋台からミモに近づいたギョンジャだった。彼女は、その少女が自分の孫だと最後まで知らない。獄中で事情を知った年老いたモミは脱獄に失敗し、刑務所を仕切る受刑者の娘に腎臓を提供すると申し出て、病院から逃げ出す。ミモは、自分を愛してくれる唯一の大人だと思ったギョンジャのもとに身を寄せていた。ギョンジャは迷った末に、ミモを殺そうとする。モミ、モミの母、ミモの友人イェチュンがそれぞれ家にたどり着く。ギョンジャはモミの母を殺し、警察が着いたところでミモを狙う。モミは娘をかばい、その腕のなかで息を引き取る。ギョンジャは警察の手で命を落とす。ミモはイェチュンの家族に引き取られる。彼女は、みんなに愛されたいと願って踊る幼い母の古い映像を見つめる。
主な出演
イ・ハンビョルキム・モミ(整形前)役
容姿を否定され続けてきた会社員。夜は仮面をつけ、マスクガールとして配信で踊る。
キム・モミ(整形前)の物語
幼い日に舞台で踊ってから、モミはみんなに愛されたいと願ってきた。仮面をつければ配信で愛され、素顔の彼女は既婚の上司に片想いして、美人の同僚との関係を噂で壊す。会った視聴者に性的暴行されかけ、同僚のオナムがその男を殺す。会社を辞めて顔を変えるが、オナムに部屋を突き止められて性的暴行を受け、彼を殺す。殺人の容疑で追われながら「アルム」の名でクラブで踊り、親友チュネをオナムの母ギョンジャに殺される。生まれた娘ミモを母に託し、刑務所に入る。長い年月ののち、ギョンジャが娘を狙っていると知ると、刑務所を仕切る受刑者の娘に腎臓を提供すると申し出て、病院から逃げ出す。そして娘をかばい、その腕のなかで息を引き取る。
ナナキム・モミ/アルム(整形後)役
新しい顔と名前を得たモミ。警察と復讐に燃える母親から逃れながら、クラブで踊る。
コ・ヒョンジョンキム・モミ(服役後)役
長い服役を続ける年を重ねたモミ。娘に危険が迫っていることを知る。
アン・ジェホンチュ・オナム役
モミの孤独な同僚。彼女がマスクガールだと知り、その執着を暴力に変えていく。
チュ・オナムの物語
母親に縛られた孤独な男オナムは、マスクガールの配信を欠かさず見て、手のほくろから、彼女が同僚のモミだと気づいている。だが想いは口にできない。常連の視聴者として彼女の打ち明け話の相手になる一方、現実では彼女のあとをつけ、秘密を知っているとメールを送る。モミが会った視聴者に性的暴行されかけた夜、駆けつけたオナムはその男を殺し、遺体の始末を引き受ける。モミは会社を辞めて姿を消す。彼は新しい部屋を突き止め、顔を変えた彼女に性的暴行を加え、彼女に殺される。のちにモミが産む娘ミモは彼の子であり、母ギョンジャは残りの人生を彼の復讐に捧げる。
ヨム・ヘランキム・ギョンジャ役
信心深く、息子を溺愛してきたオナムの母。息子を殺した女を何年も追い続ける。
キム・ギョンジャの物語
夫に去られたギョンジャは、貧しさのなかでひとり息子オナムを育て上げた。連絡の途絶えた息子の部屋を警察に開けさせ、まもなく息子の亡骸が見つかる。マスクガールとして正体の暴かれたモミが犯人だと確信した彼女は、パソコンを覚え、残りの人生を復讐に捧げる。モミの親友チュネを追いつめて殺し、車ごと湖に沈められながら生き延びる。顔を少し変えてミモの学校の前に屋台を出し、少女と親しくなりながら、転校先のたびに母親のことを言いふらし、獄中のモミにそれを告げる。ミモが自分を頼って家に来ると、迷った末に殺そうとする。モミの母を殺し、警察の手で命を落とす。ミモが自分の孫だとは、最後まで知らない。
シン・イェソキム・ミモ役
祖母に育てられたモミの娘。マスクガールの子だと知られては、学校を追われる。
この作品が問いかけるもの
『マスクガール』の出発点はルッキズム、つまり女性の顔がその人生の可能性を決めてしまうという思い込みであり、作品は整形が当たり前の社会をその前提として描く。モミが愛されるのは仮面をつけているときだけだ。全7話はそれぞれ別の人物の視点から、その前提を暴力的な結末までたどっていく。作品は男性の身勝手さから目をそらさない。会うことを性の約束だと思い込む視聴者、想いを寄せれば相手を支配できると信じる同僚。女性から女性へ受け渡される傷、モミの母からモミへ、モミからミモへと続く傷も、息子を失った母の悲しみが使命へと固まっていくさまも、同じように明確に描く。アン・ジェホンとヨム・ヘランは2024年の百想芸術大賞で助演賞をそろって受けた。見られることは、愛されることと同じなのか。幼い日からモミが抱えてきた問いが残る。