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Cinema 月明かりの映画館

明日、私は誰かのカノジョ

Tomorrow, I'll Be Someone's Girlfriend

2022–2023ドラマ・シリーズ日本

465作品の星図のなかで見る

ストーリー

結末まで書いています。

レンタル彼女、パパ活、ホスト依存。東京で“ぬくもり”を貸し出す若い女性たち。

今、この東京でひとりで生きていくには、どれだけのお金が必要なのか。そんな語りから物語は始まる。十九歳の大学生・白井雪は、学費と生活費をまかなうため、お金と引き換えに誰かの彼女を演じる「レンタル彼女」として働いている。顔には、母親に虐げられていた幼いころの火傷の痕があり、専用のメイクで隠している。客のひとりで、温かい家庭に育った新人会社員の辻壮太は、素顔の雪と偶然出くわして痕を見てしまうが、自分の気持ちは変わらないと伝える。

章ごとに別のヒロインが立つ。雪の大学でただひとりの友人リナは、人気者なのに孤独で、その寂しさを、体の関係まで含むパパ活で埋めている。なじみの相手の飯田は雪にまで契約を持ちかけ、断られるとリナとの関係も切る。雪が仕事を隠していたことに傷ついたリナは雪を責めるが、やがてふたりは歩み寄る。三十五歳の彩は二十代と偽り、顔のほとんどを整形で作り変えてきた。さらなる整形の費用のためにレンタル彼女を続けているが、恋人に真実を知られて去られ、店も解雇される。それでも彼女は、生き方を変えないと決める。自分はほかの子とは違うと信じる大学生の萌は、担当ホストのハルヒに貢ぐため風俗で働く優愛に連れられて、ホストクラブへ行く。穏やかなホストの楓に恋をした萌は、彼のために自分も風俗で働き始め、大学をやめる。そして楓の誕生日の夜、黙って彼のもとを去り、行きつけのバーのマスターに、大恋愛してきたよと笑ってみせる。

最終回、壮太は雪を温泉旅行に連れ出し、好きだと告げる。雪はそれを断る。一年後、壮太は新しい恋人を両親に紹介しようとしている。リナは男に依存するのをやめ、モデルの道を歩んでいる。彩は相変わらず次の整形の資金を稼ぎ、優愛は新しいホストに夢中だ。萌は美容学校に進み、宣伝トラックに映る楓の顔を見ても笑っていられる。雪はいまもレンタル彼女を続けている。窮屈な世界で、少しでも生きたいように生きるために、自分の足で歩いていく。だから明日も、彼女は誰かのカノジョになる。

2023年のシーズン2は、ゆあの過去を描く特別編の二話で幕を開け、同じソープランドで働いていたふたりの女性を追う。大学生の留奈は、歌い手アイドルとの恋がファンに暴かれた末に終わり、店を辞めて大学に戻る。四十代の江美は、頼りきっていた占い師と決別し、自分で選んだ人生を生きると決める。最後は、久しぶりに再会したふたりの笑顔で終わる。

主な出演

  • 吉川愛白井雪役

    レンタル彼女として学費と生活費を稼ぐ十九歳の大学生。幼いころの火傷の痕をメイクで隠している。

    白井雪の物語

    雪は誰にも心を開かない。大学でただひとりの友人リナにさえ、お金のためにしている仕事を明かしていない。客の壮太と素顔で出くわし、傷痕を見られて思わず本音をぶつけるが、彼は何も変わらないと言う。仲たがいを終わらせようとリナに傷痕を見せたときには、哀れみのまなざしを向けられる。恋人も仕事も失った夜の彩に傘を差し出し、傷痕を打ち明けると、それはつらいわ、とさらりと受け止めてもらう。温泉旅行で壮太は、好きだ、守りたいと告げる。雪は彼が差し出す普通の人生を思い描き、それは私なのかと自問して、彼の思いを断る。一年後も彼女はレンタル彼女として、自分の足で歩いている。

  • 横田真悠リナ役

    雪の大学でただひとりの友人。人気者なのに孤独で、その寂しさをパパ活で埋めている。

    リナの物語

    リナは寂しさを男で埋めている。恋人が既婚者だとわかって別れた夜、声をかけてきた男子学生ふたりと夜の街に消え、一度はやめていたパパ活に戻る。なじみの飯田は、リナの誕生日を口実に雪を呼び出して契約を持ちかけ、断られるとリナとの関係も切る。雪が仕事を隠していたと知ったリナは裏切られたと責めるが、付き合い始めた雄大に、じゃあパパと体の関係があることは話しているのかと問われ、雪に謝りに行く。傷痕を見せた雪に、彼女は哀れみの目を向けてしまう。最後には誰かに寄りかかるのをやめ、一年後、モデルとして自分の道を歩いている。

  • 宇垣美里中谷彩役

    年齢を偽ってレンタル彼女として働く三十五歳。整形を重ねるための費用を稼いでいる。

    中谷彩の物語

    彩は顔のほとんどを整形で作り変え、結婚を望む恋人の光晴に、年齢も仕事も整形も隠している。結婚までにすべての手術を終えるつもりで、その費用を、店を通さずに客から引き出す。仕事を知られた彩は光晴にすべてを打ち明け、整形前の写真を見せる。光晴は彼女の顔を偽りと呼んで去り、店には苦情が殺到して、彩は解雇される。その夜、雨のなかで傘を差し出したのは雪だった。酒を飲みながら身の上を語り、雪の傷痕を憐れむことなく受け止める。いまさら生き方は変えられないと言い、望んでいた手術を受ける。一年後も、次の整形の費用を稼いでいる。

  • 箭内夢菜真矢萌役

    自分はほかの子とは違うと信じる大学生。ホストの楓に恋をし、のめり込んでいく。

    真矢萌の物語

    萌は、リナのような女の子たちを心のなかで見下している。行きつけのバーで出会った優愛にホストクラブへ連れて行かれ、話しやすいホストの楓にだけは弱みを見せられた。泣いていた夜に彼が駆けつけてくれてから、萌はのめり込んでいく。母に仕送りを頼み、奨学金を使い込み、やがて風俗で働き始めて、大学もやめる。ところが楓の誕生日の夜、貯めたお金を手にしながら、何も言わずに彼のもとを去る。そして行きつけのバーのマスターに、大恋愛してきたよと笑ってみせる。一年後、美容学校に通う彼女は、宣伝トラックに映る楓の顔を見ても笑っていられる。

  • 齊藤なぎさ高橋優愛役

    自由を求めて上京した若い女性。風俗で稼いだお金を担当ホストにつぎ込んでいる。

  • 茅島みずき留奈役

    シーズン2の主人公。自分で学費を稼ぐため高級ソープランドで働く大学生。歌い手アイドルとの恋は、ファンに暴かれた末に終わる。

この作品が問いかけるもの

『明日、私は誰かのカノジョ』が描くのは、ぬくもりの市場だ。レンタル彼女、パパ活、ホストクラブ、そこに注ぎ込むお金を稼ぐための風俗。若い女性がひとときの親密さを売り、あるいは買う経済である。メディアではとかく扇情的に取り上げられ、嘲笑の的にもなりやすい彼女たちを、口コミで広まった漫画を原作とするこのドラマは笑わない。お金、愛してくれた家族、受け入れられる顔、話を聞いてくれる誰か。それぞれに何が欠けているのかを見つめ、彼女が選んだことを選択として扱う。安全な選択だと言うわけでもない。初めてホストクラブに行った夜から、大学をやめて風俗で働くまでの萌の歩みは、一段ずつ描かれる。お金の向こう側にいる男たちも、怪物でも救い主でもない。残る問いは重い。親密さに値段がつくとき、買っているのは誰で、買われているのは誰なのか。