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Cinema 月明かりの映画館

大豆田とわ子と三人の元夫

Towako Omameda and Her Three Ex-Husbands

2021ドラマ・シリーズ日本

465作品の星図のなかで見る

ストーリー

結末まで書いています。

三度離婚した社長と離れない三人の元夫。ひとりでいることの豊かさを描く坂元裕二作。

大豆田とわ子は四十歳。設計部にいた建設会社「しろくまハウジング」の社長に就任したばかりで、中学生の娘・唄と暮らしている。離婚歴は三回。亡き母のパソコンにかかったパスワードを解くため、とわ子は三人の元夫に連絡を取らざるを得なくなる。唄の父でレストランを営む田中八作、ファッションカメラマンの佐藤鹿太郎、とわ子の会社の顧問でもある神経質な弁護士の中村慎森。以来、三人は八作の店で、とわ子の家で、何かとかち合う。鹿太郎と慎森はいまもとわ子に未練があり、それぞれ別の女性にも振り回されている。

とわ子の三十年来の親友・綿来かごめは、自由気ままで恋愛に興味がなく、とわ子にとっては家族同然の存在だ。とわ子が八作と別れたのは、彼が別の女性を想ったまま自分と結婚したと気づいたからだったが、その相手がかごめだったことを、とわ子はいま知る。三度の離婚を理由に彼女を見下す取引先の社長も現れる。そしてかごめが突然亡くなる。最期の電話に出られなかったとわ子は、友人として葬儀の花と音楽を選ぶ。

一年後。唄は家を出て、会社には買収の話が持ち上がっている。公園で出会い、かごめを失った悲しみを聞いてくれた小鳥遊大史は、交渉の席に買収側の法務部長として現れ、とわ子に退任を迫る。仕事と私生活を切り分けたまま、ふたりは惹かれ合い、小鳥遊はマレーシアで一緒に暮らそうとプロポーズする。慎森は、とわ子がいまも八作を想っていると指摘する。とわ子は会社の株を買い戻す手を打ち、小鳥遊の求婚を断り、八作に、ひとりでも幸せになれると思うと伝える。かごめと八作と自分、三人でこのまま生きていこう、と。

終盤、とわ子は亡き母が出せずにいた手紙を見つける。宛名は國村真。唄と訪ねると、真は女性だった。母が少女のころから愛し、結婚のために別れた人だ。母は一生それを悔やみ、それでも家族を愛していた、どちらも本当なのだと真は言う。唄は医者を目指す勉強を再開し、とわ子の父は娘を支えられなかったことを詫び、とわ子は感謝を伝える。三人の元夫がハワイ土産を手にやって来てホームパーティーを開き、恋愛とは違う「好き」の意味を伝え合う。とわ子が眠ったあと、いつまでもこのままではいられないだろうね、と三人は話す。そして、とわ子の毎日は続いていく。

主な出演

  • 松たか子大豆田とわ子役

    建設会社の新社長。三度の離婚歴があり、娘と暮らしながら、三人の元夫とも縁が切れない。

    大豆田とわ子の物語

    とわ子は設計部から社長に就いたばかりで、社員との距離に寂しさを覚えている。亡き母のパソコンのパスワードを探すうち、三人の元夫が何かと彼女の暮らしに戻ってくる。八作が自分と結婚したとき想っていた相手が親友のかごめだったと知り、そしてかごめが突然亡くなる。交渉を放り出して駆けつけたとわ子は、葬儀の花と音楽を選ぶ。一年後、会社の買収をめぐって出会った小鳥遊に惹かれ、マレーシア行きに心が傾くが、求婚を断って、八作に、ひとりでも幸せになれると思うと告げる。母が愛した女性に会い、父に感謝を伝え、もう一度求婚してきた元夫たちに、私の好きはその人が笑っていてくれることだと答える。

  • 松田龍平田中八作役

    とわ子の最初の夫で唄の父。レストランを営み、女性に好かれてしまう。ずっとかごめを想っている。

    田中八作の物語

    八作は誰にでも優しいために、その気がなくても女性に好かれてしまう。恋愛を求めないかごめを想ったままとわ子と結婚し、それに気づいたとわ子に別れを告げられた。親友の恋人・早良に迫られ、嫌われようと振る舞っても通じず、親友との仲がこじれる。とわ子の誕生日に贈った靴下から、想い人がかごめだったことを知られてしまう。かごめが突然亡くなると、病院へ駆けつける。一年後、店を訪れたとわ子から、求婚を断った、ひとりでも幸せになれると聞かされ、かごめへの想いを尋ねられて、ありえたかもしれない夫婦の暮らしをふたりで思い描く。最後はほかの二人とともにとわ子の家に集まり、もう一度彼女に求婚して、いつまでもこのままではいられないだろうと語り合う。

  • 角田晃広佐藤鹿太郎役

    とわ子の二番目の夫。ファッションカメラマンで、いまもとわ子に未練たっぷり。

    佐藤鹿太郎の物語

    鹿太郎は、潜入取材で訪れた社交ダンス教室でとわ子と出会い、スクープカメラマンからファッションカメラマンに転身した。別れたいまも彼女の写真を最高傑作としてスタジオに飾り、離婚の理由はしゃっくりを止めてあげられなかったからだと言う。女優の美怜に好意を寄せられて舞い上がるが、彼女の狙いは、自分と瓜二つの不倫相手の身代わりだった。懸命に応える鹿太郎の優しさに触れて、美怜は普通の恋がしたいと本気になるが、彼はその想いを受け入れられず、彼女は去っていく。とわ子の初恋の相手が現れれば、また嫉妬する。最後はほかの二人とともにとわ子の家に集まり、もう一度彼女に求婚して、いつまでもこのままではいられないだろうと語り合う。

  • 岡田将生中村慎森役

    とわ子の三番目の夫。神経質で皮肉屋の弁護士で、とわ子の会社の顧問も務める。

    中村慎森の物語

    慎森は人に弱みを見せられず、パンダの動画で自分を癒やし、離婚してから二年間、同じビジネスホテルに泊まり続けている。公園で出会った翼に、派遣切りとパワハラの弁護を頼まれるが、話は会うたびに食い違う。やがて翼が、二年前から顔を合わせてきたホテルの清掃員だったとわかる。気づきもしなかった彼に、あなたは私の大切なものを奪ったと言い残し、翼は実家の旅館を継ぐために故郷へ帰る。小鳥遊の求婚を知ると、とわ子に、いまも八作を想っていると指摘する。最後はハワイ帰りの日焼けした顔で、ほかの二人とともにとわ子の家に集まり、もう一度求婚して、いつまでもこのままではいられないだろうと語り合う。

  • 市川実日子綿来かごめ役

    とわ子の三十年来の親友。自由気ままで恋愛に興味がなく、とわ子にとっては家族同然の存在。

  • オダギリジョー小鳥遊大史役

    公園で知り合った男。とわ子の会社を買収しようとする側の法務部長で、やがて彼女に求婚する。

この作品が問いかけるもの

『大豆田とわ子と三人の元夫』は、離婚を失敗として扱わない離婚の喜劇だ。三度結婚したヒロインは、会社を率い、娘を育て、寂しくはない。別れた男たちは恨みではなく好意から、彼女のまわりを回り続ける。軽妙な会話の下にあるのは「別れ」と「不在」だ。プロデューサーの佐野亜裕美は、知人の突然の死や、コロナ禍でひとり亡くなる高齢者の報道に触れ、残された人の背中を押すドラマを作りたかったと語り、かごめの死は企画の段階から決まっていたという。登場人物の関係に名前をつけることも、意識して避けられている。女性を愛した母、恋愛を求めない親友、名前のない愛を抱く三人の男。ギャラクシー賞や東京ドラマアウォードの脚本賞などを受けた。残るのは孤独についての問いだ。ひとりでいる女性は、そばに大切な人たちがいれば、ただ元気でいられるのではないか。