おひとりさま族
Aloners
ストーリー
結末まで書いています。
画面を点けたまま食べ、通い、眠るコールセンターの女性。隣人の孤独死が静かに壁を越える。
カード会社の顧客を受け持つコールセンターで、ジナは一番の成績を上げている。そして誰よりもひとりだ。昼食はひとりで取り、バスではイヤホンをつけ、テレビをつけたまま眠る。母を亡くしたばかりで、相続は放棄した。父からの電話には出ないが、かつて母を見守るために実家の居間に置いたカメラで、いまは父の様子を眺めている。
ある晩帰宅すると、隣の部屋に警察が来ている。部屋の持ち主は、住んでいた男性が数日前、成人雑誌の山の下敷きになってひとりで死んでいたと告げ、物音に気づかなかったジナを責める。ジナは動揺する。男性が死んだはずの日のあとに、廊下でマッチと煙草の手品を見せてもらった記憶があるのだ。
職場では、上司から新人スジンの教育を任される。不器用で人懐こく、昼食も一緒に取りたがる若い女性だ。ジナは距離を置き続け、やがてスジンは出社しなくなる。ジナは彼女の私物を捨てる。亡くなった男性の部屋には、脚を骨折した男性ソンフンが家族と越してくる。疲れ果てたジナにも、スジンと同じ兆しが表れはじめる。常連の客に怒鳴られて名前を名乗れと迫られた日、彼女は会社を飛び出し、父に電話して、自分と母に謝れと叫ぶ。父は電話を切り、彼女の番号を拒否する。
翌日、ジナは休職を願い出て、スジンに電話で冷たい態度を詫びる。スジンは泣き出す。ソンフンは、亡くなった前の住人のために料理と酒を供えてささやかな弔いをし、ジナは戸口からそれを見守る。あとで彼は、あの手品が本当にできることを見せてくれる。ジナは机を片づけ、これからどうするかはまだわからない、決まったら食事をしようと上司に言う。バスの中で、番号を拒否したことなどなかったかのように父から電話がかかってくる。彼女は父にカメラのことを話し、これからも見ているからと告げる。
主な出演
コン・スンヨンジナ役
コールセンターの一番の成績の持ち主。徹底してひとりで生き、母を悼みながら、父をカメラ越しにだけ見ている。
ジナの物語
ジナは誰とも距離を置いて暮らしている。昼食はひとり、イヤホンをつけ、テレビをつけたまま眠る。母を亡くしたばかりで、父の電話には出ないが、実家の居間のカメラで父の様子を見ている。隣の住人が誰にも気づかれずに数日間死んでいたと知り、彼女は揺らぐ。教育を任された新人スジンを遠ざけ、来なくなった彼女の私物を捨てる。やがて自分も追いつめられ、客に怒鳴られた日に会社を飛び出し、自分と母に謝れと父に叫ぶ。父は彼女の番号を拒否する。翌日、休職を願い出てスジンに電話で詫び、新しい隣人が前の住人のために開く弔いを戸口から見守り、会社の机を片づける。何事もなかったように電話してきた父に、カメラのことを話し、これからも見ているからと告げる。
チョン・ダウンスジン役
ジナが教育を任される新人。不器用で人懐こく、ひとりでいることに耐えられない。
スジンの物語
スジンは、お昼を一緒にいいですかと、教育係のジナにどこへでもついてまわる。初日から居眠りし、電話の応対にも手こずる。だが、タイムマシンで2002年に戻ってもカードが使えるかと尋ねてくる常連客に、彼女はマニュアルを離れて、戻って何をしたいのかと聞き、客は、やっと信じてもらえたと答える。ジナに避けられ続けたスジンは、やがて出社しなくなる。上司は、どのみち研修は通らなかっただろうと言い、ジナは彼女の私物を捨てる。しばらくして、冷たくしてすまなかったとジナから電話が来て、スジンは泣き出す。
ソ・ヒョヌソンフン役
脚を骨折した新しい隣人。亡くなった男性の部屋に越してきて、彼のために弔いをする。
パク・ジョンハクジナの父親役
妻を亡くしたばかりの父。ジナは彼を避けながら、新しい教会に通う日々をカメラで見ている。
この作品が問いかけるもの
『おひとりさま族』が描くのは、ありふれた一日に組み込まれた孤独だ。ひとりの昼食、イヤホン、言葉は交わしても会話のない仕事。監督のホン・ソンウンは、孤独死を扱ったドキュメンタリーを見て恐ろしくなり、泣いたことが出発点だったと語っている。数日間誰にも気づかれなかった隣人の死は、この映画の冷たい中心にある。コールセンターは感情労働の場として描かれ、女性は一日に何人の見知らぬ人の怒りを受け止められるかで評価される。韓国には、ひとりで働き、食べ、休む人々を指す言葉があり、邦題もそれに由来する。映画はその選択をあざ笑わず、孤立の代償と、それに誰が気づくのかを問う。コン・スンヨンは青龍映画賞の新人女優賞を受け、作品は2022年の大阪アジアン映画祭でグランプリに輝いた。画面越しでも誰かを見守ることは、すでに思いやりなのか。