Fleabag フリーバッグ
Fleabag
Journalでの言及
Journal全部を抱えている女性は「大丈夫」なのではなく、上手いだけだ。ストーリー
結末まで書いています。
カメラに向かってセックスと亡き親友と、望んではいけない神父について語る女。
一度も本名で呼ばれない主人公フリーバッグは、ロンドンに暮らす若い女性だ。誰かが話している最中にも、彼女はカメラに向き直り、本当に思っていることをこちらに打ち明ける。親友ブーと開いたモルモットのカフェは、ブーが死んでから傾く一方だ。好きでもない男と寝て、銀行には融資を断られ、仕事のできる張りつめた姉クレアには眉をひそめられる。母はすでに亡く、父は姉妹の名付け親だった芸術家の女性と付き合っている。その甘い言葉にはいつも棘がある。フリーバッグは彼女のアトリエから、女性の胴体をかたどった小さな彫刻を盗み出す。クレアの誕生日の席で、酔った姉の夫マーティンがフリーバッグにキスしようとする。それを告げても、マーティンは迫ったのは妹のほうだと言いくるめ、クレアはフィンランドでの昇進を断って夫のもとにとどまる。
第1シーズンの終わり、カメラにさえ隠していた真実が明かされる。ブーは、浮気した恋人を懲らしめるための狂言の自殺がそのまま死につながってしまった。その恋人の浮気相手は、フリーバッグだったのだ。父にも背を向けられ、自ら命を絶とうとしかけたとき、融資を断った銀行員がたまたま通りかかる。彼は話に耳を傾け、もう一度機会をくれる。
一年後、カフェは繁盛している。父の婚約を祝う食事会でクレアが流産し、フリーバッグは姉が隠せるように自分の流産だということにして、マーティンにつかみかかる。父と名付け親の結婚式を執り行うカトリックの神父は、彼女がカメラに目をそらす瞬間に気づいた初めての人になる。ふたりは惹かれ合い、独身の誓いに揺れる神父と、やがて一夜を共にする。クレアは、フィンランド人の同僚への想いに気づいていく。
結婚式の日、フリーバッグは彫刻を返す。名付け親は、それが彼女の母をモデルにしたものだったと明かす。クレアはマーティンに流産の真実を告げて別れを求め、妹に背中を押されて同僚を追いかける。バス停で、神父とフリーバッグは互いに愛していると口にする。神なのね、と彼女が問うと、彼は神を選んだと答える。ふたりは穏やかに別れる。彼女は神父に一匹の狐を指さして見せ、ひとりで歩き去る。初めて、カメラはバス停に置き去りにされる。
主な出演
フィービー・ウォーラー=ブリッジフリーバッグ役
傾きかけたカフェを営むロンドンの若い女性。セックスと冗談で悲しみを遠ざけ、カメラに向かって語りかける。
フリーバッグの物語
フリーバッグは、傾いたカフェと行きずりの男たちと、秘密を打ち明けるカメラを相手に生きている。融資を断られ、名付け親の彫刻を盗み、ブーの恋人の浮気相手が自分だったことはカメラにさえ隠している。姉がマーティンの嘘を信じ、父にも拒まれた夜、自ら命を絶とうとしかけ、通りかかった銀行員にもう一度機会をもらう。一年後、カフェは繁盛している。姉の流産を自分のことにして、マーティンにつかみかかり、父の結婚式を執り行う神父に恋をする。彼女がカメラに目をそらす瞬間に初めて気づいた人だ。ふたりは一夜だけをともにする。式の日、彼女は彫刻を返してそれが母をモデルにしたものだと知り、姉を送り出し、神を選ぶ神父と別れて、カメラを置いてひとりで去る。
シアン・クリフォードクレア役
フリーバッグの姉。仕事では成功しているが張りつめていて、夫マーティンとの結婚に苦しんでいる。
クレアの物語
クレアは妹のすることのほとんどに眉をひそめ、自分の誕生日のサプライズパーティーまで自分で段取りする。沈黙の修養会で妹が名付け親の彫刻を盗んだと知ると、のちに自ら盗み返して妹に渡す。フィンランドでの昇進の話が来たころ、夫マーティンに迫られたと妹に打ち明けられるが、夫の言い分を信じ、昇進を断ってとどまる。一年後、父の婚約祝いの席で流産し、誰にも言おうとしない。妹がそれを自分のことにして、ふたりはタクシーで病院へ向かう。フィンランド人の同僚に心を寄せていく。結婚式の日、流産の真実をマーティンに告げて別れてほしいと頼み、神父の愛についての言葉に涙を流し、妹に背中を押されて空港へ、その人のもとへ向かう。
アンドリュー・スコット神父役
父と名付け親の結婚式を執り行うカトリックの神父。フリーバッグと恋に落ち、彼女がカメラに向ける視線に初めて気づく。
神父の物語
神父は、父の婚約祝いの席の外で、同じ煙草好きとしてフリーバッグと出会う。印をつけた聖書を渡し、独身の誓いについて語り合い、彼女がふとカメラのほうへ消える瞬間に気づき始める。ある夜更け、酔った彼は教会で彼女の告解を聞き、ふたりは求め合いかけるが、彼が踏みとどまる。家族には式を執り行えなくなったと告げ、彼女にはもう教会に来ないでくれと言うが、やがて彼女を訪ね、気持ちは体だけのものではないと打ち明けて、一夜をともにする。結局は父と名付け親の式を執り行い、愛の苦しさと、愛に要る希望について説く。式のあとのバス停で、ふたりは互いに愛していると口にし、彼は神を選んだと告げる。彼女が指さす狐を見てから、彼は穏やかに去っていく。
オリヴィア・コールマンゴッド・マザー役
姉妹の名付け親の芸術家。母の死後まもなく父と付き合い始め、その優しげな言葉にはいつも棘がある。
ビル・パターソンフリーバッグの父役
妻を亡くした姉妹の父。名付け親と結婚し、娘がいちばん助けを必要としたときに背を向けてしまう。
フリーバッグの親友でカフェの共同経営者。その死と、そこにフリーバッグが負う責任が、第1シーズンに影を落とす。
この作品が問いかけるもの
このドラマの主人公は、持てるものすべて、つまりセックスと冗談とカメラそのものを使って、ひとつの感情から逃げている。親友の死への罪悪感だ。フィービー・ウォーラー=ブリッジは2013年、エディンバラ・フリンジの一人芝居で初めてこの人物を演じた。ドラマも彼女に観客へ直接語りかけさせ、見る者を彼女のはぐらかしの共犯者にする。第2シーズンは、エミー賞でコメディ作品賞、主演女優賞、脚本賞を受けた。女性の欲望の描き方は率直だ。ここでのセックスは欲求であり、気晴らしであり、ときに自分への罰でもある。そして彼女を本当に見てくれるただひとりの男は、そばにいられない人だ。神父がカメラへの視線に気づいたとき、この仕掛けは作品の本当の問いに変わる。見られることには何がかかっているのか。最後の場面で、彼女はそのカメラからも歩き去る。