凪のお暇
Nagi's Long Vacation
ストーリー
結末まで書いています。
空気を読むのをやめた凪の人生リセット。彼氏も仕事もストレートパーマも手放す。
大島凪は28歳。都内の会社で営業事務として働き、生まれつきのくせ毛を毎朝一時間かけてまっすぐに伸ばしている。いつも空気を読み、同僚に押しつけられた雑用も黙って引き受ける。心の支えは、営業部のエース我聞慎二との秘密の交際で、いつか彼と結婚することを夢見ていた。だがある日、慎二が同僚に、凪と会うのは体の相性がいいからだと話すのを聞いてしまい、過呼吸で倒れる。凪は会社を辞め、家財のほとんどを手放し、郊外の古いアパートの六畳一間に移って、人生の「お暇」を宣言する。
髪はもとのくせ毛に戻り、凪は周りの人々と知り合っていく。近所で陰口をたたかれながら、わずかな持ち物で暮らしを楽しんでいる階上の老女・吉永緑。隣の部屋でひとり留守番をする小学生のうららと、女手ひとつで娘を育てる母みすず。ハローワークで出会った、頭はいいのに人づきあいの苦手な坂本龍子。そして反対隣の部屋には、イベントのオーガナイザーをしている穏やかな青年、安良城ゴンが住んでいる。凪はゴンに惹かれて恋人になるが、目の前の誰にでも優しい彼には、ほかにも関係を持つ女性たちがいた。自分がすり減っていくのを感じた凪は、合鍵を返して別れる。ゴンはそのとき初めて、自分が本気で恋をしていたことに気づく。慎二は相変わらず憎まれ口をたたきながら凪の前に現れ続け、やがて泣き崩れて、ずっと好きだったと打ち明ける。
凪は龍子と、ふたりでコインランドリーを営む計画を立てる。だが北海道の実家が台風で被害を受け、母・夕に逆らえない凪は、開業のための貯金を差し出してしまい、計画は白紙になる。上京してきた夕に、慎二はその場の流れで凪の婚約者だと名乗り、嘘は両家の顔合わせにまで行き着く。その席でふたりは、それぞれの家族にずっと言えなかった思いをぶつけ、縁談は破談になる。
最終回、アパートの取り壊しが決まり、住人たちは散っていく。緑は何十年も会っていなかった妹のそばで暮らすために町を離れ、うららとみすずは小さな家に移る。一緒に暮らそうとゴンに言われた凪は、今の自分ではまた流されてしまうと断る。コインランドリーのチェーンに再就職が決まり、いつか自分の店を持つ夢も手放さない。お暇の最後の日、水族館で慎二は、お前はもうひとりで泳いでいる、お前は俺を卒業し、俺もお前を卒業すると告げる。凪は、好きになってくれてありがとうと言って別れる。どちらの男性も選ばないまま、凪は新しい職場へ向かう。
主な出演
黒木華大島凪役
空気を読み続けてきた28歳の会社員。すべてを手放し、ゼロから暮らしを始め直す。
大島凪の物語
凪は毎朝くせ毛をまっすぐに伸ばし、同僚の雑用を引き受け、母に逆らったことがない。慎二が同僚に、凪と会うのは体の相性がいいからだと話すのを聞いて過呼吸で倒れ、会社を辞めて郊外の古いアパートの一室に移る。隣のゴンに惹かれるが、大勢のうちのひとりだと知って合鍵を返す。龍子とコインランドリーを開く計画は、台風の被害を訴える母に貯金を渡して白紙になる。両家の顔合わせの席で、ずっと嫌いだった、お母さんのためには生きられないと母に告げ、慎二と席を立つ。一緒に暮らそうというゴンの誘いは、また流されてしまうと断り、水族館では慎二に、好きになってくれてありがとうと告げる。コインランドリーのチェーンで働き始め、自分の店を持つ夢も手放さない。
高橋一生我聞慎二役
営業部のエースで凪の元恋人。誰にでも愛想がいいのに、好きな相手にだけは見下す態度しかとれない。
我聞慎二の物語
慎二は職場の空気を誰よりも読み、相手の欲しい言葉を差し出せる男だが、凪にだけはそれができない。自分の陰口がもとで会社を辞めた凪の新しい部屋に通っては憎まれ口をたたき、ある夜、彼女の前で泣きじゃくって、ずっと好きだったと打ち明ける。同僚の円と付き合うが、自分のどこが好きだったのかと問われて答えられず、殴られる。夏休みをゴンの部屋で過ごし、上京してきた凪の母には、とっさに婚約者だと名乗る。両家の顔合わせでは、兄の慎一が家族の秘密をぶちまけ、慎二が取り繕ってきた理想の家庭は崩れる。凪と一緒に席を立ったふたりは、並んで泣く。お暇の最後の日、水族館で、お前はもうひとりで泳いでいる、お前は俺を卒業し、俺もお前を卒業すると告げて別れる。
中村倫也安良城ゴン役
凪の隣人でイベントのオーガナイザー。目の前の誰にでも優しく、誰のものにもならなかったが、凪に本気で恋をする。
安良城ゴンの物語
ゴンは凪の隣の部屋に住み、目の前の誰にでも優しく、部屋の合鍵を何人もの女性に渡している。凪と恋人になるが、自分が大勢のひとりだと気づいた凪に合鍵を返される。胸の痛みを緑に初恋だと言われて、ゴンは初めて自分の気持ちを知る。恋敵の慎二と親しくなり、北海道で泣いている凪を慎二と一緒に迎えに行く。両家の顔合わせが壊れた帰り道、渡していた鍵をすべて回収してきた、これからは凪ちゃんにだけ優しくすると告白する。最終回、引っ越し先の部屋に凪を連れて行き、ここで一緒に暮らそうと鍵を差し出すが、凪は受け取らない。ゴンは彼女を抱きしめて泣く。取り壊しの決まったアパートから住人たちが去っていく日、ふたりは手を振って別れる。
市川実日子坂本龍子役
ハローワークで出会った、高学歴だが人づきあいの不器用な女性。凪の友人となり、コインランドリーの夢を分かち合う。
片平なぎさ大島夕役
北海道で暮らす凪の母。女手ひとつで娘を育て、いまも娘を思いどおりに動かそうとする。凪が唯一逆らえない相手。
三田佳子吉永緑役
階上に住む老女。近所では笑いものにされているが、少ない持ち物で暮らしを楽しむ姿を凪に見せる。
この作品が問いかけるもの
『凪のお暇』は、人に合わせることを病むほど続けてきた女性が、その自分を少しずつほどいていく物語だ。描かれる圧力はどれもありふれている。おとなしい人に雑用が集まる職場。愛情が侮蔑の形でしか出てこない恋人。認められることが、あらゆる選択の代価だった母親。作品はそこからの離脱を、華やかな変身としてではなく、家計簿と、窓辺で育て直す豆苗と、ハローワークで出会った友人として描く。反対側の罠にも率直だ。誰にでも優しいから誰のものにもならない恋人。最終回で凪がどちらの男性も選ばないことこそが、この作品の結論になっている。欲しいものを口にできるようになった女性に、その証明として恋愛は要らない。放送時は原作が連載中で、終盤はドラマ独自の展開だったが、原作ものちに同じ結末にたどり着いた。