ヲタクに恋は難しい
Wotakoi: Love Is Hard for Otaku
ストーリー
結末まで書いています。
社会人オタク同士の恋。自分を偽らない恋愛。
26歳の桃瀬成海は、1年付き合った同僚に腐女子だと知られた途端ふられ、会社を移った。新しい職場ではふつうの女性として過ごすつもりだったが、そこで幼なじみの二藤宏嵩と再会する。容姿も仕事もよく、表情に乏しく、筋金入りのゲームオタク。成海が趣味を隠さずにいられる、ただひとりの男性だ。飲みの席で宏嵩は、難しいゲームを手伝うという特典つきで交際を申し込み、成海は受け入れる。
ところが恋人になるのは、友達でいるより難しい。どう振る舞えばいいかわからず、成海は職場で宏嵩を避けてしまう。男性キャラ専門の有名コスプレイヤーである先輩の小柳花子と、その長年の恋人で強面の上司、控えめなオタクの樺倉太郎は、ふたりを助けようとして自分たちが喧嘩になる。酒の席で花子は、オタク同士だから楽なだけで、樺倉は自分と付き合っているのではないかという不安を漏らす。宏嵩もまた、付き合う前と何も変わらないと悩み、遊園地のデートではオタク話を禁じてみるが、やがてその決まりをやめて肩の力を抜く。成海はピアスを贈り、ふたりは抱き合う。
ゲームが下手で明るい宏嵩の弟・尚哉は、同じ大学の極度に内気なゲーマー、桜城光と友達になるが、光を男だと思い込んでいる。全11話の最終話は休暇中の話だ。食事も睡眠も取らずにゲームを続けて倒れていた宏嵩に、成海は料理を作る。樺倉は花子の薦めるボーイズラブ漫画を読んでみて、意外にも楽しむ。成海は宏嵩をデートに連れ出し、最後は彼女の部屋で、好きな声優の出る番組を一緒に見る。
その後、短編のアニメが3本作られた。花子と樺倉が高校のバレー部の主将同士として張り合っていたころの話。光が女性だと知った尚哉が、恥ずかしさから大学に来なくなった光にオンラインゲームを通じて声を届け、ふたりが近づく話。そして2021年、原作の最終巻とともに届いた最後の一本では会社の温泉旅行が描かれ、成海が宏嵩に、次は自分が計画する旅行に一緒に来ないかと誘うところで終わる。
主な出演
伊達朱里紗桃瀬成海役
26歳の会社員で腐女子。趣味のせいで恋人を失って以来、職場ではそれを隠している。
桃瀬成海の物語
成海は、ふつうの女性としてやり直すつもりで会社を移り、そこで子どものころから秘密を知る幼なじみの宏嵩と再会する。飲みの席で交際を申し込まれ、受け入れる。恋人らしい振る舞いがわからず職場で彼を避けてしまうが、オタク同士で楽だから付き合うのではないという彼の言葉に安心する。即売会では売り子を手伝ってもらい、ゲームセンターにも連れ出す。付き合う前と何も変わらないと悩む彼と、オタク話を禁じて遊園地で一日を過ごし、やがてその決まりをやめて、ピアスを贈る。休みの間ゲームに没頭して倒れていた彼には、料理を作る。最後の短編では、次に自分が計画する旅行に一緒に来ないかと彼を誘う。
伊東健人二藤宏嵩役
成海の幼なじみ。仕事ができて表情の乏しい筋金入りのゲーマーで、ずっと成海を想ってきた。
二藤宏嵩の物語
宏嵩は、幼いころ成海に連れ回されて以来、彼女を想い続け、自分はゲームの世界にこもってきた。仕事はでき、表情は乏しい。転職してきた成海の秘密を守り、難しいゲームを手伝う特典つきで交際を申し込む。楽だから付き合うのではないと告げ、中学時代に一緒に遊んだカードを彼女が見つけた夜、口づけする。ふつうの恋人らしくないと悩んでデートに誘い、オタク話を禁じるが、やがてその決まりをやめる。成海はピアスを贈る。高校時代、彼女がピアスの男子といるのを見て、大人びようと自分で耳に穴を開けたことがあった。最後の短編の社員旅行では、同僚と打ち解けながらも成海とふたりの時間を求め、次は自分の計画する旅行に来ないかと誘われる。
沢城みゆき小柳花子役
成海の先輩社員。男性キャラ専門の有名コスプレイヤーで、恋人の樺倉とは喧嘩が絶えない。
杉田智和樺倉太郎役
強面だが面倒見のいい上司。趣味を周囲に隠す軽めのオタクで、高校時代から花子と付き合っている。
梶裕貴二藤尚哉役
宏嵩の弟で社交的な大学生。オタク趣味はなく、ゲームはからきし下手。
悠木碧桜城光役
極度に内気な大学生で腕利きのゲーマー。尚哉は彼女を男だと思い込んだまま友達になる。
この作品が問いかけるもの
『ヲタクに恋は難しい』は作者いわく「ギャグ8割、恋愛2割」のコメディだが、その設定は現実の何かに触れている。一度それが知られたせいで関係を失い、好きなものを職場でも恋愛でも隠すようになった大人たち。成海の前の恋人は彼女の趣味を理由に去り、花子は自分が楽だから選ばれただけなのではないかとおびえる。作品が示すのは、もっと穏やかな形だ。ふたりがそれぞれの熱中をそのまま持ち続け、相手の熱中のための場所を空けておく。立派に見えることより、知られていることのほうが大切な関係。原作は2016年版の『このマンガがすごい!』で1位となり、出版社によれば特に20代の女性に支持されている。関係を誠実と呼べるまでに、人は自分をどこまで見せなければならないのか。作品はその問いを、軽やかに開いたままにしている。