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Cinema 月明かりの映画館

パラダイス・キス

Paradise Kiss

2005アニメ日本

465作品の星図のなかで見る

ストーリー

結末まで書いています。

受験生がファッション科の学生たちと出会い、自分を選び直す。

進学校に通う高校3年生の早坂紫は、母の期待を背負って学校と塾と家を往復する毎日に、疑問を感じ始めていた。ある日、街で矢澤芸術学院の学生たちに呼び止められる。実和子、パンク風の嵐、イザベラ、そしてリーダーで才能ある孤高のデザイナー、ジョージ。「パラダイス・キス」と名乗る彼らは、学院の3年生のファッションショーで、ジョージのドレスを着るモデルになってほしいと言う。受験勉強を控えた紫は、その誘いを断る。

それでもアトリエに引き寄せられた紫は、好きなことのために生きる人たちを知り、引き受ける。塾をさぼってドレスにビーズを縫いつけ、ジョージとたちまち恋に落ちる。ジョージは優しい日もあれば冷たい日もあり、自分の足で立てない女を嫌う。紫が憧れていた同級生の徳森浩行は、実和子と嵐の疎遠になっていた幼なじみで、紫は三人の仲直りを手助けする。

母にすべてを禁じられた紫は家を出て学校もやめ、嵐の部屋に住みながら、実和子の姉のブランドでモデルの仕事をする。モデル事務所に誘われるが、親の同意がなければ契約できない。人に頼らずには生きられない元モデルのジョージの母に会い、紫は、彼がなぜ依存を嫌うのかを理解し始める。家に戻って母と和解し、高校を卒業することを条件に事務所に入ることを許され、受け損ねた試験を取り戻していく。

ショーで紫はジョージのドレスを着て歩くが、パラダイス・キスは2位に終わる。イギリスに留学中の学院の先輩で、ジョージが口説くことさえできない唯一の女性・香が帰国し、デザインを続けるよう彼を促す。紫は嫉妬する。卒業とともに仲間はそれぞれの道へ進む。パリへ渡ると決めたジョージは一緒に来てほしいと言うが、紫は自分の道を歩みたいと断り、ふたりは別れる。ジョージが船で旅立ったあと、紫のもとに鍵が届く。その鍵で開けた倉庫には、ジョージがそれまでに作った服のすべてが、ショーで紫が着たドレスとともに残されていた。10年後、名前の明かされない男性との結婚を控えた紫に、ジョージが衣装を手がけたブロードウェイのミュージカルの招待券が2枚届く。紫は新婚旅行で、それを観に行くつもりでいる。

主な出演

  • 山田優早坂紫役

    進学校で期待に縛られる高校3年生。モデルに誘われ、初めて自分の人生を自分で選ぶ。

    早坂紫の物語

    紫は、学校と塾と家を往復するうちに、何のためなのかわからなくなっていた。モデルの誘いを一度は断るが、塾をさぼってジョージのドレスにビーズを縫いつけるようになり、彼と恋に落ちる。母にすべてを禁じられると家も学校も捨て、実和子の姉のブランドでモデルをするが、事務所と契約するには親の同意が要ると知る。ジョージの母に会ったあと家に戻って母と和解し、高校を卒業することを条件にモデルの道を許される。ショーでジョージのドレスを着て歩くが、結果は2位。パリに一緒に来てほしいという彼に、自分の道を選んで別れる。彼の作った服を収めた倉庫の鍵が届く。10年後、結婚を控えた彼女は、彼が衣装を手がけたブロードウェイの舞台を新婚旅行で観るつもりでいる。

  • 浜田賢二小泉譲二(ジョージ)役

    才能ある享楽的な服飾科の学生で、パラダイス・キスのリーダー。紫を愛しながら、恋より自立を重んじる。

    小泉譲二(ジョージ)の物語

    ジョージは、距離を置く裕福な父の金で暮らしながら、パラダイス・キスを率いる才能あるデザイナーだ。卒業制作のドレスのモデルに街で見かけた紫を選び、自分の世界へ引き込む。優しい日もあれば冷たい日もあり、自分の足で立てない女を嫌って、紫に自分で決めることを求める。その嫌悪の根には、人に頼らずには生きられない元モデルの母がいる。ショーでドレスが2位に終わったあと進路に迷うが、口説くことさえできない先輩の香に、デザインを続けるよう促される。パリ行きを決めて紫に一緒に来てほしいと頼むが断られ、ひとりで旅立つ。紫のもとには、彼が作った服のすべてを収めた倉庫の鍵が残される。10年後、彼が衣装を手がけたブロードウェイの舞台の招待券が、紫に届く。

  • 松本まりか櫻田実和子役

    明るい服飾科の学生で嵐の恋人。人気ブランドを率いる実果子の妹。

  • 水谷俊介永瀬嵐役

    パンク風の服飾科の学生で実和子の恋人。幼なじみの浩行に嫉妬し、家出した紫に部屋を貸す。

  • 鈴鹿千春イザベラ役

    ジョージの幼なじみのトランスジェンダーの女性。仲間を支える母親のような存在で、紫の相談相手になる。

  • 内埜則之徳森浩行役

    紫の優秀な同級生で、かつての憧れの人。実和子と嵐の幼なじみで、ひそかに紫を気にかけている。

この作品が問いかけるもの

『パラダイス・キス』は、初めて自分の人生を選ぶ少女の物語であり、その代償から目をそらさない。紫の反抗は、華やかな変身物語ではない。家出し、学校をやめ、借りた部屋で眠り、それでも自由には親の署名が要ることを知る。いちばん興味深いのはジョージだ。彼の愛し方は、愛する女性を、失うことになっても自立へと押し出すことであり、人に依存する女性への嫌悪は母親を見て育ったことから来ている。2005年にフジテレビの「ノイタミナ」枠で放送されたアニメは、原作者の矢沢あいの同意のもと、ジョージの両性愛を台詞に残しつつ、原作の露骨な場面は描かなかった。海外の批評家は、安心できる現実逃避を求める人向けではない、成熟した物語だと評した。愛し合うふたりが別れることは、それでも正しいのか。結末はそう問いかける。