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Cinema 月明かりの映画館

櫻の園

The Cherry Orchard

1990映画日本

465作品の星図のなかで見る

ストーリー

結末まで書いています。

女子校の演劇部、開演前の2時間。初恋と噂。

名門女子校・桜華学園の演劇部では、毎年4月14日の創立記念日に、チェーホフの『桜の園』を上演するのが伝統になっている。映画は、その日の朝から開演までの2時間あまりを、ほぼ実際の時間に沿って描き、一度も校内から出ない。

その朝、これまで規則を守って大人しく過ごしてきた部長の志水由布子が、校則違反のパーマをかけて登校する。2年生で舞台監督の城丸香織は、朝早くから部室で恋人と過ごしていた。部員たちが集まっておしゃべりをするうちに、ヤーシャ役の杉山紀子が前の晩、他校の生徒たちとの喫煙で補導され、上演が中止になるかもしれないという知らせが広がる。職員会議のさなか、ひょっこり現れた紀子は由布子に、巻き添えで補導されただけで自分は吸っていないと話す。顧問の里美先生は職員会議で必死に訴え、泣いて頼んでいたと部員たちは噂する。上演は許される。

由布子に思いを寄せる紀子は、そのパーマは倉田知世子のためなのかと由布子に問う。背が高く、下級生にも人気のある知世子は、これまで男役ばかりを演じてきた。初めての女役であるラネフスカヤ夫人を前に、彼女は怯えている。女らしくない自分がなぜ女主人を演じなければならないのか、本当は中止になってほしかったと、知世子は由布子に打ち明ける。由布子は彼女を励ます。開演前、ふたりきりで台詞を合わせたあと、ふたりは記念の写真を撮る。由布子は知世子に思いを告げ、知世子はそれを受けとめる。その様子を、紀子が窓の外から見つめている。

開演のベルが鳴る。舞台袖で、今日が由布子の誕生日だと知った部員たちは、声をひそめてハッピーバースデーを歌う。幕が上がり、少女たちは舞台へと出ていく。

主な出演

  • 中島ひろ子志水由布子役

    演劇部の部長。規則を守ってきた少女が、校則違反のパーマで登校する。知世子に恋をしている。

    志水由布子の物語

    由布子はこれまで規則を守ってきたが、上演の朝、校則違反のパーマをかけて登校する。エスカレーターで短大に進むより、刺激のある別の大学に行きたいと香織に話す。紀子の補導で上演中止のうわさが広がるなか、ひとり部室に残っていた彼女の前に紀子が現れ、自分は吸っていないと打ち明ける。ふたりで進路指導室に呼ばれ、パーマは知世子のためなのかと紀子に問われる。開演前、初めての女役に怯える知世子とふたりきりになると、由布子は彼女を励まし、台詞を合わせ、記念の写真を撮って、思いを告げる。知世子はそれを受けとめる。舞台袖で、今日が誕生日だと知った部員たちに小声で祝われ、由布子は舞台へ出ていく。

  • つみきみほ杉山紀子役

    問題児と見られている少女。喫煙騒ぎに巻き込まれ、ひそかに由布子を慕っている。

    杉山紀子の物語

    紀子は問題児と見られていて、上演の前の晩、他校の生徒たちの喫煙の巻き添えで補導される。その朝の部室は、彼女のせいで上演が中止になるかもしれないという話でもちきりだ。ひょっこり現れた紀子は、自分は吸っていないと由布子に話し、部員たちには、ごめんなさいと謝る。由布子とともに進路指導室に呼ばれると、他校の生徒のほうが刺激があって面白いと言い、そのパーマは知世子のためなのかと問う。開演前、由布子と知世子が記念の写真を撮り、由布子が思いを告げるのを、紀子は窓の外から見つめている。舞台袖で、今日が誕生日ではないかと由布子に尋ね、部員たちは声をひそめてハッピーバースデーを歌う。

  • 白島靖代倉田知世子役

    男役ばかりを演じてきた背の高い人気者。初めての女役、ラネフスカヤ夫人を前に怯えている。

    倉田知世子の物語

    知世子は背が高く、下級生にも人気があり、これまでずっと男役を演じてきた。今年は初めての女役、ラネフスカヤ夫人を任され、緊張でうまく演じられなくなっている。職員会議が上演の可否を話し合っているあいだ、部室でひとり台詞の練習をする。教室で由布子とふたりになると、女らしくない自分がなぜ女主人を演じなければならないのかわからない、本当は中止になってほしかった、と本音をこぼす。由布子に励まされ、開演前にふたりで台詞を合わせ、記念の写真を撮る。由布子に思いを告げられた知世子は、笑顔でそれを受けとめる。開演のベルが鳴り、彼女はラネフスカヤとして舞台に出ていく。

  • 宮澤美保城丸香織役

    2年生の舞台監督。舞台への思いは人一倍で、朝早くから恋人と部室で過ごしている。

  • 岡本舞里美先生役

    演劇部の顧問。上演中止に傾く職員会議で、必死に上演を訴える。

この作品が問いかけるもの

『櫻の園』は、少女同士の初恋を、正されるべき一時の迷いとしても、暴かれるべき秘密としても扱わず、成長の一部として描く。起きる出来事はどれも小さい。校則違反のパーマ、半分は誤解の喫煙騒ぎ、ずっと男役ばかりだった背の高い少女が初めて女主人を演じる不安。由布子の告白は一枚の写真を撮るあいだに起こり、映画は紀子のより静かな失恋にも同じ重みを与える。行定勲はこの作品を、男性が思い描いた女子校の姿であり、男でなければ作れなかった男性目線の少女映画だと評しながら、少女たちの瞬く間に過ぎ去る時間を余すことなく捉えたと称えている。その両方が本当でありうる。1990年のキネマ旬報ベスト・テンで日本映画第1位に選ばれたこの映画は、少女たちが感じることを、罰することも説明することもなく、そのまま感じさせている。