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Cinema 月明かりの映画館

ロニートとエスティ 彼女たちの選択

Disobedience

2017映画イギリス、アイルランド、アメリカ

465作品の星図のなかで見る

ストーリー

結末まで書いています。

写真家が父の葬儀のため正統派ユダヤ教徒のロンドンへ戻り、従兄と結婚した女性と再会する。

ニューヨークで写真家として働くロニートのもとに、父の死の知らせが届く。父はロンドン北部の正統派ユダヤ教コミュニティを率いてきたラビだった。故郷の家に集まった弔問客は、彼女が来るとは思っていなかった。幼なじみで父の愛弟子だったドヴィッドも驚きを隠せない。新聞の死亡記事には、ラビに子どもはいないと書かれていた。そしてロニートは、ドヴィッドがもうひとりの幼なじみエスティと結婚していたことを知る。ドヴィッドは彼女を自宅に泊める。叔父モーシェの家で開かれた安息日の夕食では、名前を変えたことを問いただされ、早く結婚すべきだと諭される。父は財産をすべてシナゴーグに遺していた。

地元のユダヤ人学校で教えるエスティは、ロニートに父の死を知らせるよう頼んだのは自分だと打ち明ける。もう一度会いたかったのだ。十代のころ、ふたりは一緒にいるところを見つかり、ロニートは町を去った。空き家になった父の家で、エスティはロニートに口づけする。ラビの勧めでドヴィッドと結婚したが、惹かれるのは女性だけだと彼女は言う。公園で再び口づけを交わしたところを信徒の夫婦に見られ、エスティは校長に呼び出される。ドヴィッドにはラビの務めを継ぐ話が持ちかけられる。ロニートが町を離れると告げると、ふたりはロンドン中心部のホテルに抜け出し、体を重ねる。

帰宅したエスティはドヴィッドを拒み、本当の気持ちを打ち明ける。彼は家を出ていく。やがてエスティは妊娠に気づく。翌日、姿を消した彼女をロニートとドヴィッドが探し回る。戻ってきたエスティは、自由にしてほしいとドヴィッドに頼む。生まれてくる子が、この共同体に属するかどうかを自分で選べるように。ラビの追悼の集いで、後継者として迎えられるはずだったドヴィッドは、人には選ぶ権利があると語り、会衆の前でエスティに「あなたは自由だ」と告げて、指導者の座を辞退する。外で彼はエスティを抱きしめ、ロニートを手招きする。翌日、ロニートを乗せたタクシーをエスティが追いかけ、ふたりは口づけを交わして、愛していると言い合う。どこへ行くか知らせるとエスティは約束する。空港へ向かう途中、ロニートは父の墓に立ち寄り、写真を一枚撮る。

主な出演

  • レイチェル・ワイズロニート・クルシュカ役

    父の葬儀のため、自分を締め出した正統派ユダヤ教の共同体へ戻ってきたニューヨークの写真家。

    ロニート・クルシュカの物語

    ロニートはニューヨークで撮影中に、父であるラビの死を知る。ロンドンに戻ると弔問客の視線は冷たく、新聞の死亡記事には、ラビに子どもはいないと書かれている。叔父の家の安息日の食卓では結婚を勧める声に言い返す。父が財産をすべてシナゴーグに遺したことも知る。空き家になった父の家でエスティに口づけされ、いったんは身を引くが、やがて応える。町を離れると告げ、その前にエスティをロンドン中心部のホテルへ連れ出す。エスティが姿を消すとドヴィッドと探し回り、追悼の集いのあと、彼に手招きされて三人で抱き合う。去っていくタクシーをエスティが追ってくると、いい母親になると告げ、ふたりは愛していると言い合う。空港へ向かう途中、父の墓を写真に収める。

  • レイチェル・マクアダムスエスティ・クパーマン役

    ロニートの初恋の相手。いまは教師としてドヴィッドの妻になり、女性への思いを共同体の中で押し殺してきた。

    エスティ・クパーマンの物語

    弔問客のなかで、エスティはロニートと再会する。ラビの死を知らせるよう頼んだのは、もう一度会いたかった彼女自身だった。空き家になったラビの家でロニートに口づけし、ラビの勧めでドヴィッドと結婚したこと、惹かれるのは女性だけだということを打ち明ける。公園での口づけを見られ、校長に呼び出される。ロニートとロンドンのホテルへ抜け出したあと、家では夫を拒み、本当のことを告げる。妊娠に気づくと一日姿を消し、戻ってきて、生まれてくる子がいつか自分で選べるように、自由にしてほしいとドヴィッドに頼む。夫は会衆の前でその願いに応える。翌日、ロニートのタクシーを追いかけて口づけし、愛していると告げ、どこへ行くか知らせると約束する。

  • アレッサンドロ・ニヴォラドヴィッド・クパーマン役

    ラビの愛弟子で、後継者と目される男。エスティの夫として、信仰と妻の自由のあいだで揺れる。

    ドヴィッド・クパーマンの物語

    喪中の家の玄関で、ドヴィッドは幼なじみのロニートの姿に驚きを隠せない。それでも彼女をエスティと暮らす自宅に泊め、やがてラビの務めを継ぐよう求められる。エスティに拒まれ、ロニートとのことを打ち明けられると、彼は家を出ていく。翌朝、エスティの姿が消えると、ロニートに電話をかけ、ふたりで彼女を探し回る。戻ってきたエスティは子を宿していて、生まれてくる子がいつか自分で選べるように、自由にしてほしいと彼に頼む。後継者として迎えられるはずの追悼の集いで、彼は会衆に、人には選ぶ権利があると語り、皆の前でエスティに、あなたは自由だと告げて、指導者の座を辞退する。外に出た彼はエスティを抱きしめ、ロニートを手招きする。

  • アントン・レッサークルシュカ役

    ロニートの父で、共同体に敬われてきたラビ。その死が、長く疎遠だった娘を故郷へ呼び戻す。

  • アラン・コーデュナーモーシェ役

    ロニートの叔父。安息日の夕食に彼女を迎え、父の財産がすべてシナゴーグに遺されたことを伝える。

この作品が問いかけるもの

『ロニートとエスティ 彼女たちの選択』の舞台は、閉じた世界だ。ロンドン北部の正統派ユダヤ教コミュニティ。若い女性がラビの助言で結婚を決め、女性どうしの欲望には行き場がない。それでも映画は、信仰を悪役にしない。祈りや儀式は丁寧に撮られ、いちばん多くを失う立場のドヴィッドこそが、人には選ぶ権利があると声に出して言う。この役でアレッサンドロ・ニヴォラは英国インディペンデント映画賞の助演男優賞を受けた。だからこの物語は単純ではない。エスティの人生は、彼女を愛する人々によって選ばれてきた。彼女の自由は、誠実な男から未来を、会衆から確かさを奪う。残るのは、共同体は引き留められない人に何を負うのか、そして去る人はなお共同体に何を負うのか、という問いだ。