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Cinema 月明かりの映画館

作りたい女と食べたい女

She Loves to Cook, and She Loves to Eat

2022–2024ドラマ・シリーズ日本

465作品の星図のなかで見る

ストーリー

結末まで書いています。

作る女と食べる女。夕食の時間がゆっくり恋になる。

野本ユキは料理が好きだ。東京でひとり暮らしをしていて少食のため、子どものころ絵本で見たような大盛りの料理を作るという憧れをかなえられずにいる。職場では、料理好きと知られると「いい奥さんになれる」と言われ、それがいやでたまらない。ある日、仕事のストレスからルーロー飯を大量に作ってしまった野本さんは、大量の食べ物を抱えて帰る姿を見かけた二軒隣の住人、春日十々子を思い出す。思い切って声をかけて料理をふるまうと、口数の少ないフリーのドライバーである春日さんは、見事な食べっぷりですべてを平らげた。その日から、ふたりは一緒に作り、一緒に食べるようになる。

春日さんは、男が一番いいものを食べ、女はその残り物を食べるのが当たり前という家で育った。定食屋では、頼みもしないのに、女性だからとご飯を少なめによそわれる。夕食はやがて餃子パーティーになり、海沿いのドライブになり、ふたりで計画するクリスマスになる。同僚の思いがけない言葉と、体調を崩して眠った夜に見た夢のあとで、野本さんは、自分がレズビアンであり、春日さんへの気持ちが恋だと気づく。第一シーズンは元日の朝に終わる。初日の出を見るつもりが寝過ごしたふたりは、高台の公園へ走る。長い階段の途中で息を切らした春日さんに、野本さんは迷わず手を差し出し、手をつないで駆け上がった先で、朝日が町を照らしていた。

2024年の第二シーズンでは、野本さんが交流サイトで知り合ったレズビアンの矢子さんが恋の相談相手になり、人前で食事ができない若い女性・南雲さんが同じマンションに越してきて、少しずつ自分と向き合っていく。春日さんは、住所を突き止めた父親から、介護のために帰ってこいと迫られる。バレンタインの夜、春日さんは引っ越すつもりだと打ち明ける。泣き出した野本さんが好きだと伝えると、春日さんは、一緒に住みませんかと言い、自分も同じ気持ちだと答える。部屋探しを始めたふたりは、「二人入居可」の多くが家族や結婚を前提とした人に限られていることを知り、矢子さんに同性カップルを歓迎する不動産会社を紹介してもらう。最終回、新居の審査が通ったふたりは、手の込んだカニクリームコロッケを作り、これまでの日々を振り返る。そして引っ越しの日がやってくる。

主な出演

  • 比嘉愛未野本ユキ役

    料理が好きなのに少食の会社員。隣人への思いが恋だと気づいていく。

    野本ユキの物語

    野本さんは、料理好きと知られるたびに「いい奥さんになれる」と言われることに疲れている。ルーロー飯を作りすぎた夜、二軒隣の春日さんの戸をたたき、その食べっぷりに作る喜びを思い出す。春日さんともっと一緒にいたいと思ううちに、同僚の思いがけない言葉と、熱を出した夜に見た夢をきっかけに、自分がレズビアンで、この気持ちが恋だと気づく。元日の朝、初日の出へ向かう長い階段で、息を切らした春日さんに手を差し出す。第二シーズンでは、交流サイトで知り合った矢子さんに恋の相談をする。春日さんが引っ越すと告げたバレンタインの夜、泣きながら好きだと伝えると、一緒に住みませんかと返される。矢子さんの紹介で部屋を見つけ、ふたりは引っ越しの日を迎える。

  • 西野恵未春日十々子役

    野本さんの二軒隣に住むフリーのドライバー。よく食べる。女は残り物を食べるという家で育った。

    春日十々子の物語

    口数の少ない春日さんは、野本さんのルーロー飯を見事に平らげ、それからふたりは一緒に作って食べるようになる。餃子パーティーから、大みそかの手巻き寿司まで。生理痛で動けない野本さんのもとへは、炊飯器を抱えて駆けつける。第二シーズン、遠ざけてきた父に住所を知られ、介護のために帰ってこいと迫られる。職場の先輩に背中を押されて父に電話をかけ、縁を切り、引っ越すと決める。隣人の南雲さんに付き合っているのかと聞かれて、自分の気持ちにも気づいていく。バレンタインの夜、泣きながら好きだと言う野本さんに、一緒に住みませんかと切り出し、同じ気持ちだと答える。ふたりで部屋を探し、引っ越しの日がやってくる。

  • 藤吉夏鈴南雲世奈役

    第二シーズンで同じマンションに越してくる若い女性。人前で食事ができない。

  • ともさかりえ矢子可菜芽役

    野本さんが交流サイトで知り合うレズビアンの女性。恋の相談相手になる。

  • 森田望智佐山千春役

    ドラマオリジナルの人物で、野本さんの職場の同僚。恋の難しさを打ち明けられる。

この作品が問いかけるもの

『作りたい女と食べたい女』は、ほとんど夕食だけで語られる女性ふたりの恋の物語で、その問いは盛りつけの量に宿っている。女性だからとご飯を少なめによそわれる人。男が先に食べ、女は残り物を食べる家で育った人。料理好きを「いい奥さんになれる」とほめられてしまう人。そのなかで、隣り合って暮らすふたりは、作りたいものを作り、食べたいだけ食べる。夜の十五分枠で二つのシーズンにわたって放送され、続編では、同性のふたりが部屋を借りようとすると、「二人入居可」が家族や結婚を前提にした人に限られがちだという現実にも踏み込む。観ていて伝わってくるのは、議論よりも静かなものだ。自分が何を望んでいるのかを、ゆっくり、ていねいに言葉にしていくふたり。そして、料理がただの料理では終わらないこと。