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Cinema 月明かりの映画館

きのう何食べた?

What Did You Eat Yesterday?

2019–2023ドラマ・シリーズ日本

465作品の星図のなかで見る

ストーリー

結末まで書いています。

40代のゲイカップルの夕食と暮らし。日常としての同性愛。

筧史朗は、東京の小さな法律事務所で働く几帳面な弁護士。ゲイであることを職場には明かしていない。恋人の矢吹賢二は町の美容室で働く美容師で、そのことを隠したことがない。ふたりは史朗の部屋で暮らし、史朗は毎晩定時に仕事を切り上げて、ふたり分で月2万5千円の食費をやりくりしながら夕食を作る。毎回、スーパーでの買い物から食卓までの一皿と、その周りの暮らしが描かれる。

第1シーズンは小さな出来事の積み重ねだ。史朗の携帯に届いた謎のメールに賢二はうろたえる。史朗はスーパーで知り合った主婦・富永佳代子と友だちになり、まとめ買いした食材を分け合う。芸能事務所のマネージャー小日向大策と、そのわがままな年下の恋人・航との食事会にも引き込まれる。回想では、ふたりが新宿のゲイバーで出会った日が描かれる。史朗の両親は息子がゲイだと知っているが、受け止めきれずにいて、母の久栄は理解しようとするあまり空回りする。正月、史朗は賢二を連れて実家へ帰る。ぎこちない空気の中、父は賢二に史朗の昔のアルバムを見せる。帰り道、恋人の親と一緒にごはんを食べる日が来るなんて思わなかったと賢二は泣き、史朗は肩を抱いて、油と糖分を控えて長生きしようと言う。シーズンは、家で賢二が史朗の髪を切り、史朗がこれからは賢二の好きなカフェにも付き合うと約束するところで終わる。

2020年に正月スペシャルが、2021年に劇場版が作られた。2023年の第2シーズンで、ふたりは50歳前後になっている。史朗は老眼鏡が必要になり、物価は上がり続け、史朗の昔の恋人も現れる。賢二は美容室の店長になり、史朗はついに賢二の母と姉たちに会い、鰻の食卓を囲む。史朗の両親は老人ホームへの入居を決め、母は息子に、自分の老いじたくを本気で考えなさいと告げる。最終回、史朗は賢二に、自分の遺産をすべて譲る遺言書を作りたいと話し、養子縁組のほうが手っ取り早いとも持ちかける。賢二は断る。親子になりたいわけではない。一度養子縁組をすれば、いつか男同士で結婚できる日が来ても、ふたりは結婚できなくなってしまう。死ぬまで一緒にいてくれるということかと問われた史朗は、約束はできないが、遺産を譲ろうと思う相手はお前ぐらいだと答える。賢二は遺言を受け入れる。翌朝、賢二は史朗に弁当を作り、その夜、史朗は賢二に誕生日の贈り物のエプロンを渡す。

主な出演

  • 西島秀俊筧史朗役

    倹約家で几帳面な弁護士。職場ではゲイであることを隠し、毎晩賢二のために夕食を作る。

    筧史朗の物語

    史朗は月2万5千円の食費で献立を組み、定時に事務所を出てそれを作る。両親は息子がゲイだと知っているが、受け止めきれずにいる。正月に賢二を実家へ連れて行くと決めた史朗は、涙ぐみながらわけを話す。両親はきっと自分をかわいそうな子だと思い、育て方を責めたはずだ。だから、思っているほど不幸ではないとわかってほしいのだと。ぎこちない帰省の帰り道、泣き出した賢二の肩を抱き、油と糖分を控えて長生きしようと言う。50歳を前に老眼鏡をかけ始め、事務所を継ぐ決意を伝え、賢二の母と姉たちと鰻の食卓を囲む。遺産を残すための養子縁組を賢二に断られると、遺言書を作ると決める。死ぬまで一緒にいるとは約束できない、遺産を譲りたい相手はお前ぐらいだ、と。

  • 内野聖陽矢吹賢二役

    史朗の恋人で、ゲイであることを隠さない美容師。人懐っこいロマンチストで、愛情を言葉にしてほしいと願う。

    矢吹賢二の物語

    賢二は史朗の部屋で暮らし、史朗がめったに口にしない愛情の言葉を待っている。史朗の携帯に届いた謎のメールにはうろたえ、ペアリングを見せびらかす。実家に連れて行くと史朗に言われると、泣きながら、絶対に行くと答える。正月の帰省の帰り道にもまた泣く。恋人の親と一緒にごはんを食べる日が来るなんて思わなかったのだ。史朗に背中を押されて美容室の店長になり、史朗を自分の母と姉たちに引き合わせる。遺産を残すために養子縁組をしようと言われると、親子になりたいわけじゃない、養子縁組をすれば、いつか男同士が結婚できる日が来ても結婚できなくなると断り、遺言書のほうを受け入れる。翌朝、史朗に弁当を作り、その夜、誕生日の贈り物にエプロンを受け取る。

  • 山本耕史小日向大策役

    芸能事務所のマネージャー。ふたりと親しくなるゲイの友人で、年下の恋人を溺愛している。

  • 磯村勇斗井上航役

    大策の年下の恋人。美しく気まぐれで口が悪いが、見せている以上に情がある。

  • 田中美佐子富永佳代子役

    史朗がスーパーで知り合った主婦。食材の分け合いや料理を通じて、よき相談相手になる。

  • 梶芽衣子筧久栄役

    史朗の母。息子を愛しながら、息子がゲイであることを受け止めようと、ときに不器用にもがく。

この作品が問いかけるもの

『きのう何食べた?』は、40代から50歳へと年を重ねていくふたりのゲイの男性の物語で、劇的なことはほとんど起こらない。月々の食費、スーパーで食材を分け合う友情、家での散髪。その平凡さこそが、作品の主張だ。問題は、人生で出会うのと同じ形でやってくる。職場に打ち明けていない弁護士。息子を愛しながら、なお身構えてしまう両親。どちらかが先に死んだら、残されたほうはどうなるのかという問い。第2シーズンの最終回は、存在しない法律をめぐって進む。男性同士が結婚できない日本で、史朗は遺産を残す方法として養子縁組を持ちかけ、賢二は拒む。いつか法律が変わったとき、結婚できなくなるからだ。放送時には『おっさんずラブ』と比べて、同性愛者の日常をよりリアルに描いたと評された。家族とは何かという問いを、作品は開いたまま残す。