おっさんずラブ
Ossan's Love
ストーリー
結末まで書いています。
上司と同僚に同時に愛される会社員。BLをお茶の間に届けたコメディ。
春田創一は33歳。不動産会社の東京の営業所で働くお人好しの営業マンで、家事は何もできず、もう5年も恋人がいない。息子の面倒を見るのに疲れた母は家を出ていく。そんなとき春田は、部下に慕われる理想の上司、55歳の部長・黒澤武蔵が、自分の隠し撮り写真を携帯の待ち受けにしていることを知ってしまう。黒澤は、10年温めてきた恋心を春田に打ち明ける。一方、本社から異動してきたエリートの後輩・牧凌太は、春田の誘いで実家でのルームシェアを始め、料理も家事も引き受けていた。牧もまた春田に惹かれていて、黒澤の接近を知ると、自分も春田に告白する。黒澤は結婚30年の妻・蝶子に離婚を切り出す。夫の浮気を疑った蝶子は、相手探しを春田に頼むが、やがて夫から、相手は春田だと告げられる。
家を失った幼なじみのちずが春田の家に身を寄せると、ふたりの仲を見た牧は、元恋人で上司の武川政宗のもとへ行くと言って出ていこうとする。春田は思わず引き止め、改めて交際を申し込まれて受け入れる。だが春田は街中で人の目が気になり、牧は、春田には「普通の幸せ」がいちばんだと考えて、心にもない言葉で別れを告げる。ひとりになった春田の暮らしは荒れ、見かねた黒澤が世話を焼くうちに同居が始まる。春田は仕事でも成果をあげ、上海出向が決まる。黒澤に求婚され、流されるままに承諾した春田は、挙式のチャペルで誓いのキスができない。頭に浮かぶのは牧と過ごした日々ばかりだった。黒澤に諭されて街へ飛び出した春田は、牧を見つけてプロポーズし、牧はそれを受け入れる。春田は上海へ旅立つ。
2019年には劇場版が公開され、同じ年には、舞台を航空会社に移し、田中圭と吉田鋼太郎の役名だけを引き継いだ別の物語も放送された。2024年の第3シリーズは、元の物語の続きだ。結婚した春田と牧は、牧の3年半のシンガポール勤務を経て、ようやく一緒に暮らし始める。会社を早期退職した黒澤は、ふたりの家の家政夫として現れ、やがて姑のようにふたりを見守ると誓う。ふたりはバレンタインデーに結婚式を挙げる。最終回、牧は春田のために感謝の会を開き、仲間たちと撮った写真を見て、春田は家族写真みたいだと言う。三人の関係には、無理に名前をつけなくてもいい。春田と牧は、ふたりが出会った記念の日に、桜の下を歩く。
主な出演
田中圭春田創一役
家事のできないお人好しの営業マン。突然、上司と年下の同居人の両方から愛されることになる。
春田創一の物語
春田は33歳、5年も恋人がいない。そんなとき、上司の黒澤から10年分の恋心を打ち明けられ、同居を始めた後輩の牧にも告白される。言わないことは優しさではないと牧に言われ、黒澤に気持ちには応えられないと告げる。出ていこうとする牧を引き止めて交際を始めるが、街中で人の目が気になり、牧に別れを告げられる。荒れた暮らしを見かねた黒澤と同居し、流されるままに求婚を受け入れるが、チャペルで誓いのキスができず、牧を探しに走ってプロポーズし、上海へ旅立つ。2024年のシリーズでは、牧と結婚して一緒に暮らし始め、家政夫の黒澤を迎え、バレンタインデーに式を挙げる。みんなを幸せにしようと働きすぎる春田のために、牧は仲間を集めて感謝の会を開く。
吉田鋼太郎黒澤武蔵役
春田の上司で既婚の部長。理想の上司だが、10年間ひそかに春田を想い続け、ついに打ち明ける。
黒澤武蔵の物語
黒澤は55歳、営業所の誰もが慕う部長で、妻の蝶子とは結婚30年になる。その携帯には春田の隠し撮り写真がある。知られたと気づくと思いを打ち明け、蝶子に離婚を切り出す。春田にはっきり断られ、陰で見ていた蝶子はもらい泣きして怒りを収める。牧が去って荒れた春田の世話を焼くうちに同居を始めて求婚し、チャペルで春田の頭に牧しかいないと見て取ると、牧のもとへ行けと送り出す。年月がたち、会社を早期退職した黒澤は、家事代行の家政夫として春田と牧の家に派遣される。眠っていた恋心がうずいて牧と張り合うが、それは姑の感情だと蝶子に言われて納得し、姑としてふたりを見守ると誓う。春田のための会では、ふたりに出会えたことが幸せだったと語る。
林遣都牧凌太役
本社から来た有能な後輩。春田の家でルームシェアをして家事を担い、春田に恋をする。
牧凌太の物語
牧は10代のころから自分が同性愛者だと自覚している。春田の家でルームシェアを始めて彼に惹かれ、黒澤の告白を知ると自分も告白する。幼なじみのちずが越してくると、元恋人の武川のもとへ行くと言って家を出ようとするが、春田に引き止められ、交際を申し込む。だが人目を気にする春田を見て、春田には普通の幸せがいちばんだと考え、心にもない言葉で別れを告げる。挙式の日、自分を探し当てた春田をいったんは遠ざけるが、プロポーズを受け入れる。2024年、3年半のシンガポール勤務から戻って春田と暮らし始めるが、家事をめぐってぶつかり、家事代行を頼むと現れたのは黒澤だった。働きすぎる春田を心配して仲間を集め、春田さんがいないと俺の幸せはないと告げる。
内田理央荒井ちず役
何でも言い合える春田の幼なじみ。兄の居酒屋を手伝い、家を失って春田の家に身を寄せる。
眞島秀和武川政宗役
営業所の几帳面な主任で、牧の元恋人。牧への想いを断ち切れずにいる。
大塚寧々黒澤蝶子役
結婚30年になる黒澤の妻。突然離婚を切り出され、その理由を突き止めようとする。
この作品が問いかけるもの
『おっさんずラブ』は、三人の男性の三角関係を少女漫画の文法で描く。制作陣は、視聴者を傷つけかねないとして、性的少数者の悩みや葛藤の描写をあえて避けたと語っている。その選択こそが、この作品の問いだ。作品は男性同士の恋を、大勢の視聴者に当たり前で楽しいものとして届けた。題名は2018年の流行語大賞のトップテンに入り、そのヒットはボーイズラブ作品が表舞台に出るきっかけになったとされる。その代わり、外の世界はほとんど入り込んでこない。現実が顔を出すのは二度だけだ。街中で人の目が気になる春田と、春田には普通の幸せがいちばんだと身を引く牧。それが作品でいちばん切ない場面だ。2019年の続編が牧のいない別の物語になると反発が起き、牧の名がトレンド入りした。受け入れられる幻想が、現実の受容を連れてくるのか。その問いは残る。