恋する母たち
Mothers in Love
ストーリー
結末まで書いています。
同じ名門男子校に息子を通わせる40代の三人の母。それぞれが、許されないはずの恋に落ちていく。
四十代の三人の母は、息子を同じ名門の男子校に通わせている。そして、それぞれの結婚がそれぞれの形で壊れかけている。石渡杏は、十一年前に夫・慎吾が他人の妻と駆け落ちして姿を消して以来、息子の研をひとりで育ててきた。その駆け落ち相手の夫だった週刊誌記者の斉木巧が、与論島で慎吾らしい男を見たと杏に告げる。島で見つけた慎吾は、崖から落ちて記憶を失い、別の女性と暮らしていた。杏は島で離婚届を出し、その日に斉木から思いを打ち明けられて、ふたりは結婚する。斉木が誰なのかを知った研は、母を拒む。
林優子は食品会社の宣伝部課長だ。売れない小説家の夫・シゲオが家事を担い、成績優秀な息子の大介は引きこもっている。シゲオは、大介がほかの男の子だと知りながら優子と結婚した。優子は有望な部下の赤坂剛と関係を持ち、シゲオに知られて身を引く。蒲原まりは、タワーマンションの高層階で、部下と不倫しているエリート弁護士の夫・繁樹と暮らしている。慈善イベントで出会った三度の離婚歴がある落語家の今昔亭丸太郎は、まりにひと目惚れして猛然と口説く。解雇された元愛人に情報を流され、繁樹が業務停止処分を受けると、まりの暮らしは一変する。弁当屋のパートはクビになり、通販番組の仕事も、繁樹の妻だと知られて降板する。まりは妊娠するが、父親が繁樹か丸太郎かはわからない。やがて男の子を産む。
最終話。斉木との子を流産し、互いの気持ちを読めないまま、杏と斉木はすれ違っていく。鬱陶しいと言われ、杏は離婚を決める。まりは、公認会計士の試験に受かった繁樹に離婚を切り出すが、繁樹は応じない。下のふたりの子を連れて北海道の実家へ帰ろうとした空港で、丸太郎が待っていた。長男が父を説得し、まりは丸太郎と結婚して、通販番組の仕事をもう一度やりたいと申し出る。優子は会社の役員に就き、大介を連れて与論島へ移って、息子をモデルにした小説がヒットしたシゲオとは穏やかに離婚する。同僚との結婚式を抜け出して駆けつけた赤坂に、優子は、結婚はしないが一緒に暮らそうと告げる。2022年、大学生になった研は再び母と暮らしている。斉木との結婚はうまくいかなかったが、杏は彼が独立して開く建築事務所で、仕事のパートナーとして働き始める。
主な出演
木村佳乃石渡杏役
十一年前に夫が失踪し、ひとりで息子を育ててきた母。夫の駆け落ち相手の元夫と恋に落ちる。
石渡杏の物語
斉木から、与論島で慎吾らしい男を見たと聞かされた杏は島へ渡り、崖から落ちて記憶を失い、別の女性と暮らす夫を見つける。島で離婚届を出したその日に斉木から思いを告げられ、ふたりは結婚する。斉木が誰なのかを知った研は母を拒み、祖母の家で暮らすようになる。杏は斉木との子を流産し、コロナ禍ですれ違ううちに、鬱陶しいと言われてしまう。完璧すぎて息が詰まったと慎吾からも聞かされ、二度目の離婚を決める。2022年、大学生になった研は再び母と暮らしている。不動産の資格を持つ杏は、独立を控えた斉木に雇ってほしいと頼み、仕事の相棒として彼の事務所で働き始める。
吉田羊林優子役
食品会社の宣伝部課長。家事を担う小説家の夫がいながら、年下の部下と関係を持つ。
林優子の物語
優子の家では、売れない小説家の夫シゲオが家事を担い、息子の大介は引きこもっている。シゲオは、大介がほかの男の子だと知りながら優子と結婚した。優子がかけている眼鏡は、美人だから不倫すると言ったシゲオとの約束だ。大胆に迫る部下の赤坂と関係を持つが、シゲオに知られて身を引く。千葉支店の営業部長として単身で働くあいだに、シゲオは大介と与論島へ移り、息子をモデルにした小説がヒットして、ふたりは穏やかに離婚する。同僚との結婚式を抜け出し、タキシードのまま駆けつけた赤坂に、結婚はしないが一緒に暮らそうと告げる。2022年、優子は役員になっている。
仲里依紗蒲原まり役
タワーマンションに暮らす弁護士の妻。夫が転落していくなか、落語家に求愛される。
蒲原まりの物語
まりの夫でエリート弁護士の繁樹は、部下と不倫している。まりは、慈善イベントで出会った落語家の丸太郎を最初は疎ましく思う。繁樹が業務停止処分を受けると暮らしは一変し、弁当屋のパートはクビになり、通販番組の仕事も繁樹の妻だと知られて降板する。杏の結婚式の夜に繁樹と体を重ね、翌日には丸太郎のもとへ行く。どちらの子であっても、丸太郎の子として育てたいからだ。やがて次男を産む。公認会計士の試験に受かった繁樹に離婚を切り出すが拒まれ、下のふたりの子を連れて北海道の実家へ帰ろうとした空港で、丸太郎が待っていた。長男が父を説得し、まりは丸太郎と結婚して、通販番組の仕事をもう一度やりたいと申し出る。
小泉孝太郎斉木巧役
杏の夫の駆け落ち相手の元夫。杏を訪ね、やがて彼女と結婚する。
阿部サダヲ今昔亭丸太郎役
三度の離婚歴がある人気落語家。まりにひと目惚れし、猛烈に求愛する。
磯村勇斗赤坂剛役
優子の有望な若い部下。優子を慕い、最後は自分の結婚式を抜け出して彼女のもとへ向かう。
この作品が問いかけるもの
柴門ふみの漫画を原作とする『恋する母たち』は、四十代の三人の母の恋を、責めるよりも見つめる。柴門は、芸能人の不倫騒動があれほど騒がれるのは皆が関心を持っているからで、したくても我慢している人も多いのではと考え、溜まった感情を吐き出してほしいと語っている。それぞれの恋は、そこから抜け出そうとする結婚と並べて描かれる。姿を消した夫、家事を担い妻が稼ぐ夫、先に裏切り、いちばん深く転落した夫。作品は、彼女たちが母親でもあることを忘れない。息子たちは母の選択に気づき、反発し、ときに背中を押す。結末に、ひとつの正しい生き方はない。二度目の離婚と仕事の相棒という関係、恋人との再婚、年下の男と暮らしても結婚はしない選択。人生の半ばの欲望は危機なのか、それとも人生の一部にすぎないのか。その問いが残る。