あなたがしてくれなくても
Even If You Don't Do It
Journalでの言及
Journal性欲の差は、量の差ではなく、文脈の差。ストーリー
結末まで書いています。
セックスレスの二組の夫婦。ゴールデンタイムが“セックスレス”を正面から扱った作品。
32歳の吉野みちは建設会社で働いている。カフェの店長をする夫の陽一とは結婚5年目で仲はいいが、夫はいつしか自分に触れなくなり、セックスレスになって2年がたつ。自分に魅力がないのかと、みちはひとり悩んでいた。社内で「奥様思い」と評判の上司・新名誠は、会社の花見の席で、自分もまたセックスレスだと打ち明ける。ファッション誌の副編集長を務める妻の楓は、仕事に生きていた。ふたりとも相手を愛しているからこそ苦しい。みちと新名は、セックスレスの「戦友」になる。
結婚記念日に楓に拒まれた新名と、みちの距離は縮まっていく。水族館の帰りにふたりは口づけを交わし、同じ夜、陽一はカフェの新人・三島結衣花と衝動的に体を重ねていた。研修旅行の夜、新名に抱き寄せられたみちは、身をゆだねかけて涙を流し、新名は体を離す。みちは夫と向き合うために新名に別れを告げるが、陽一から、みちとだけできないこと、そして一度だけ裏切ったことを打ち明けられる。新名のもとへ走ったみちだったが、新名はすでに楓とやり直すと決めていた。やがて楓がみちの前に現れ、問いただす。ようやく配偶者から求められたとき、みちも新名も、思わず拒んでしまう。楓は家を出る。陽一が買おうと言い出したマンションは寝室がひとつしかない間取りで、みちは夫がふたりの未来に子どもを思い描いていないことを知る。
新名が転職で会社を去る最後の夜、ふたりはバス停まで走り、そこで踏みとどまる。もう逃げたくなかった。新名が楓に離婚を切り出すと、楓はあっさり応じる。みちが離婚を切り出すと、陽一は子どもを作ってもいいと言う。その言葉に、みちはもうこれ以上自分をすり減らしたくないと告げる。二組はそれぞれ離婚する。新名はみちに想いを告げるが、みちは自分の力で生きていくと断る。
月日が流れ、ひとりの暮らしは思っていたより寂しかった。育児雑誌の編集長になった楓は、みちと「心のセックス」を続ける元夫に寒気がすると言い放ち、みちを「泥棒猫」と呼んだうえで飲みに連れ出し、陽一のカフェへ向かう。そこには、決着をつけに来た新名がいた。新名は、自分にはみちの心の穴を埋められなかったと言い、ふたりの幸せを願う。店を出たあと、みちは忘れ物をしたと言って引き返し、陽一ともう一度やり直すと決める。外では楓が新名に、戦友になってあげると声をかける。
主な出演
奈緒吉野みち役
夫に触れられなくなって2年になる32歳の会社員。子どもを望んでいる。
吉野みちの物語
みちは、夫に触れてもらうためにあらゆる努力をしてきた。同じくセックスレスに悩む上司の新名と、戦友になる。水族館の帰りに口づけを交わし、研修旅行の夜には抱き寄せられて涙を流し、新名は体を離す。夫と向き合うために別れを告げると、陽一から、みちとだけできないこと、一度だけ裏切ったことを打ち明けられる。ようやく夫に求められたとき、みちは思わず拒み、寝室がひとつしかない部屋を選んだ夫が、子どものいる未来を描いていないと知る。離婚し、新名の告白も断ってひとりで生きると決めるが、ひとりの暮らしは思ったより寂しい。楓に連れられて陽一のカフェへ行き、帰りかけて、忘れ物をしたと引き返す。ふたりはもう一度やり直す。
永山瑛太吉野陽一役
カフェの店長を務めるみちの夫。妻を愛しているのに、妻とだけは体を重ねられない。
吉野陽一の物語
陽一はコーヒーには強いこだわりがあるが、接客は苦手だ。みちが新名と口づけを交わした夜、店の新人・三島と衝動的に体を重ね、翌朝、罪の意識から引き返して、熱を出したみちを看病する。一度だけ裏切ったことを、みちに打ち明ける。ようやく妻を求めたとき、拒まれる。寝室がひとつの部屋を買おうと言い出し、やがて広い部屋も見に行く。離婚を切り出されると、子どもを作ってもいいと言い、これ以上すり減りたくないと返される。離婚後、みちが別の男と会う姿を見て、新名を呼び出していら立つ。忘れ物をしたと店に戻ってきたみちと、もう一度やり直す。
岩田剛典新名誠役
みちの職場の上司。「奥様思い」と評判だが、自身も妻とのセックスレスに悩んでいる。
新名誠の物語
新名はみちと胸の内を打ち明け合い、ふたりは戦友になる。結婚記念日に楓に拒まれると、みちとの距離が縮まる。水族館の帰りの口づけ、研修旅行の夜の抱擁。みちが涙を流すと、彼は体を離す。別れを告げられると楓と記念日をやり直すが、家に帰るとひとりで寝室へ行ってしまう。転職前の最後の夜、みちの手を取ってバス停まで走り、ふたりは踏みとどまる。楓に離婚を切り出すと、楓はあっさり応じる。みちに好きだと告げて断られ、ちゃんと振ってくれてありがとうと礼を言う。陽一のカフェで、自分にはみちの心の穴を埋められなかったと告げ、店を出ると、楓に戦友になってあげると声をかけられる。
田中みな実新名楓役
誠の妻で、ファッション誌の副編集長。仕事に打ち込むあまり、夫婦の時間を後回しにしてきた。
新名楓の物語
楓は結婚記念日に遅れて現れ、仕事で頭がいっぱいのまま夫を拒む。謝って料理を並べて待つが、夫は手をつけずに寝てしまう。みちの前に現れて問いただす。記念日をやり直した夜、心の準備はできていたのに、夫はひとりで寝室へ行く。ホテルに移って夫の気持ちを試すが、帰ってこいという連絡は来ない。離婚を切り出されると、あっさり応じる。数か月後、育児雑誌の編集長になった楓は、元夫に、いつまで心のセックスをしているのか、寒気がすると言い、みちを泥棒猫と呼んで飲みに連れ出し、陽一の店へ乗り込む。帰り道、新名に戦友になってあげると声をかける。
さとうほなみ三島結衣花役
陽一のカフェで働き始める謎めいた女性。過去の不倫で慰謝料を請求されている。
武田玲奈北原華役
みちの職場の後輩。みちの気持ちを見抜き、打ち明けても夫を傷つけるだけだと厳しく諭す。
この作品が問いかけるもの
『あなたがしてくれなくても』は、セックスレスを話題作の真ん中に置き、愛し合うふたりが、どちらも悪人でないまま陥りうるものとして描く。二組の夫婦はどちらも仲がよく、どちらも行き詰まっている。作品は、心の浮気と体の浮気の違い、欲望と恨みの違いを丁寧に描き分ける。拒まれてきた側は、ようやく求められたとき、自分から拒んでしまうのだ。その奥にある、もっと重い問いにも名前を与える。子どもを望むみちと、口にしない陽一のためらい。2014年の『昼顔』のスタッフが再集結した作品で、見逃し配信では数々の記録を打ち立てた一方、結末は多くの視聴者を困惑させた。みちは、自分を傷つけた夫のもとへ戻る。その選択こそが作品の主張だ。何を失ったかを互いに知った今だからこそ、結婚は直す価値があるのかもしれない、と。