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Cinema 月明かりの映画館

金曜日の妻たちへ

Friday's Wives

1983–1985ドラマ・シリーズ日本

465作品の星図のなかで見る

ストーリー

結末まで書いています。

郊外の新興住宅地を舞台に、“よろめき”に代わって“不倫”という言葉を広めたドラマ。主婦の欲望をテレビに持ち込んだ。

1983年の第1作は、東京郊外のニュータウンに暮らす3組の夫婦の物語だ。商社に勤める中原宏と、念願のテラスハウスのローンのために訪問販売をする妻の久子。外車販売会社を経営する村越隆正と、元スチュワーデスで教育熱心な妻の英子。そして喧嘩の絶えない、子どものいない田村夫妻。10年来の友人である6人は、毎週のように集まっては家族のように飲み食いしてきた。だが村越が英子に離婚を切り出したことで、関係は変わり始める。村越は若いモデルの玲子を愛していた。仲間たちは玲子に冷たくあたるが、村越夫妻は離婚し、娘は父についていくことを選び、玲子は村越の子を身ごもる。鎌倉の実家に帰った英子は洋食屋で皿洗いを始め、孤独の中で、以前から英子に思いを寄せていた宏と関係を持ってしまう。宏に気のあったバーの常連・佳代がそれを久子に告げ、久子は子どもたちを連れて、結婚前に宏と訪れた伊東へ向かう。英子は関係を断つため、ボルドーの日本人シェフのもとで働くことを決めてひとり旅立つ。久子は家に戻り、中原家にはいつもの暮らしが戻る。

1984年の第2作は、別の物語だ。中央林間の丘に並ぶ真新しい白い家に4組の家族が越してきて、小山隼人は、隣人の佐野和子が、学生時代に突然自分の前から姿を消した年上の恋人だと気づく。ふたりはとっさに初対面のふりをするが、隼人の思いは募り、周囲も少しずつ気づき始める。隼人は家を出る。和子も最後には、不義の証拠をつかんだ姑に家を追い出される。最終回では、佐野家が去ったあとの家に、別の一家が越してくる。

1985年の第3作は、仙台の女子校で幼稚園から短大までを共にした4人の女性の物語だ。姑との同居に悩む良妻の彩子(タケ)、レストランを営む由子(おコマ)、夫が仙台に単身赴任中の法子(ノロ)、そして離婚して映画の字幕の仕事をしながらひとりで暮らす桐子。タケの夫・秋山圭一郎は、かつて桐子と暮らした恋人だった。桐子が身を引いたのは、秋山の母に、あなたは愛人にしかなれない女だと言われたからだった。再会したふたりの恋はよみがえり、ノロは桐子の職場の後輩で妻のある藤森に惹かれていく。タケに知られ、秋山は家を出る。ノロは藤森と別れることを決める。最終回、4人はホームパーティーを開く。秋山を返すと言うタケに、桐子は叫ぶ。秋山さんが私の帰る家なら遠慮なく取り返している、でもそうじゃなかった、と。タケは夫を迎えに行き、抱きしめ、ふたりは並んで家路につく。

主な出演

  • 古谷一行中原宏(第1作)/秋山圭一郎(第3作)役

    どちらの作品でも夫を演じる。第1作では妻の親友に惹かれる商社マン、第3作では昔の恋人と再会する設計課長。

  • いしだあゆみ中原久子(第1作)/岡田桐子(第3作)役

    第1作では親友に裏切られる働き者の妻。第3作では、昔の恋人が親友の夫になっていた、離婚後ひとりで暮らす桐子。

  • 小川知子村越英子(第1作)/山下由子(第3作)役

    第1作では夫に去られ、孤独から不倫に落ちる母親。第3作では、再婚してレストランを営み、仲間の中心にいるおコマ。

  • 篠ひろ子西村洋子(第2作)/秋山彩子(第3作)役

    第2作では5人の子を抱える主婦。第3作では、夫と親友の関係を知ることになる優等生の妻タケ。

  • 高橋惠子佐野和子役

    第2作の主人公。冷淡な夫と姑との暮らしに悩む校正者で、かつての年下の恋人が隣人として現れる。

    佐野和子の物語

    和子は31歳の校正者で、結婚後も自宅で都内の出版社の仕事を続けている。かつては名古屋の大学で野球をしていた7歳年下の隼人に会うため、毎週名古屋へ通ったが、手紙一通で別れを告げ、一朗と見合い結婚をした。いま、一朗と、口うるさく嫉妬深い姑とともに中央林間の白い家に越してきて、隣に隼人がいることを知る。ふたりは初対面のふりをし、和子によりを戻すつもりはない。だが偶然と近所の噂が、ふたりを少しずつ近づけていき、夫との暮らしへの疑問もふくらんでいく。家を出た隼人の連絡先を、妻のみどりが紙に書いて和子に手渡す。最後には、不義の証拠をつかんだ姑に家を追い出される。最終回、佐野家が去った白い家には、別の一家が越してくる。

  • 森山良子遠藤法子(ノロ)役

    第3作に登場する、のんびりした主婦。夫が単身赴任中で、妻のある年下の男性に惹かれていく。

この作品が問いかけるもの

『金曜日の妻たちへ』は、団塊の世代が郊外に描いた夢と、その夢に収まりきらなかったものの物語だ。新しい家、住宅ローン、毎週の集まり。どの作品も、誰かがほかの誰かを求めたとき何が起きるかを問う。それまでの「よろめき」に代わって「不倫」という言葉を広めた作品とされ、放送日の金曜夜10時には主婦が電話に出ないとまで言われた。脚本の鎌田敏夫は、切なさを描きたかったと語っている。愛してしまう気持ちも、家庭を守りたい気持ちもわかる、みんなわかると三すくみになる、と。男女雇用機会均等法が成立した1985年の第3作では、女性たちはそれぞれ自分の仕事を持つ。自分で選んだ恋なら相手を責められない、強くなったからこそ切なくなったのだと鎌田は言う。ひとつの家は、そこに暮らす人たちの望みをすべて抱えきれるのか。その問いが残る。