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Cinema 月明かりの映画館

Love Hotel(2014・ドキュメンタリー)

Love Hotel (2014 documentary)

2014ドキュメンタリーイギリス、フランス

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ストーリー

結末まで書いています。

2年半にわたって大阪のラブホテルを見つめる。新政権の規制に揺れる中、客たちの親密さを記録。

イギリスの映像作家フィリップ・コックスと、日本出身の戸田ひかるが共同で監督したドキュメンタリー。ネイティブ・ボイス・フィルムズとフランスのボンヌ・ピオッシュによる英仏の共同製作だ。2014年4月にトロントのドキュメンタリー映画祭で初上映され、2015年2月には英国放送協会のドキュメンタリー枠で放送された。資金もないまま大阪へ向かったふたりは、ラブホテルの扉を一軒ずつ叩き、ようやく受け入れてくれた「アンジェロ」で2年半にわたって撮影を続けた。カメラの後ろで何時間も待つことも多かった。日本のラブホテルの内部で撮られた初めての本格的なドキュメンタリーと評されている。大阪を選んだのは、人々が私生活について比較的開かれているからだと戸田は語る。

アンジェロには、テーマごとに飾られた部屋、ウォーターベッド、緊縛用の縄やラテックスの衣装がそろう。客たちの姿が、一人ずつの肖像になっていく。71歳の男やもめのヤマダさんは一人で来て、ポルノ映画を見ながら自分の過去を振り返る。若い会社員のユキは、妻のいる男性と会う。関係を隠すよう迫られている同性カップルの弁護士、カズとフミは、ここでなら気兼ねなく一緒にいられる。40代の夫婦は、役を演じる遊びで若い頃の情熱を取り戻そうとする。60代の離婚経験者のふたりは、毎週部屋を借りて一緒に踊る。孤独な会社員は、妻には打ち明けられない欲求を満たすために女王様を雇う。性行為をはっきり映す場面もいくつかある。

カメラは舞台裏の支配人と従業員たちも追う。2012年に保守的な政権が生まれると、ラブホテルへの規制が厳しくなり、アンジェロの行く末が脅かされる。映画は、人員の削減と改装で幕を閉じる。

主な出演

  • ヤマダさん本人

    71歳の男やもめ。一人でホテルに来てポルノ映画を見ながら、苦い思いで過去を振り返る。

  • ユキ本人

    若い会社員。妻のいる男性との関係のために、このホテルを使う。

  • カズとフミ本人

    関係を隠すよう迫られている同性カップルの弁護士。ここは、ふたりが気兼ねなく一緒にいられる場所だ。

この作品が問いかけるもの

『ラブホテル』は、日本でもっとも身近で、もっとも語られない場所のひとつを取り上げ、それが何のためにあるのかを問う。使う人たちから引き出された答えは、プライバシーだ。夫婦が何かをもう一度灯そうとする部屋。人前では恋人として振る舞えない男性ふたりが、ただ一緒にいられる部屋。男やもめが思い出とひとりきりになり、離婚したふたりが踊れる部屋。戸田は、個人の欲望の置き場が少ない集団的な社会についての映画だと語り、コックスは、どの産業社会にも空想と遊びの場が要るのだと語る。新しい政権がホテルへの規制を強めるさなかに撮られたこの映画は、親密さのための空間がいかに簡単に恥ずべきものとして扱われるかを映す。そして問いを残す。こうした部屋が売るプライバシーは避難所なのか。それとも、ほかのどこにもプライバシーがないことのしるしなのか。