ザ・ノンフィクション
The Nonfiction
ストーリー
結末まで書いています。
日曜午後のドキュメンタリー。風俗、ホスト、壊れた結婚。目を逸らしがちな人生を追う。
『ザ・ノンフィクション』は、1995年10月15日から日曜午後2時に、関東地区と一部の系列局で放送されているフジテレビのドキュメンタリー番組だ。毎回、市井の人々、ときには有名人の人生の一時期に、何か月、何年にもわたって密着する。反響の大きかった人物には、再び「その後」を取材しに行く。司会者もレギュラー出演者もいない。制作会社は回ごとに替わり、「語り」も毎回違う。俳優が務めることが多く、最も多く語りを担当してきたのは宮﨑あおいだ。番組の最後には、歴代の歌い手が歌い継いできたテーマ曲「サンサーラ」が流れる。
題材は幅広い。1997年の「借金地獄物語」は、いまも番組最高の視聴率を記録した回で、競売にかけられる家を失う家族や、父の借金を返すために風俗店で働く19歳の女性を追った。ほかにも、大阪のカリスマホストでクラブのオーナーだった男の栄光と転落、孤独死の部屋を片づける特殊清掃人、廃校を改装したシェアハウスで暮らす「山奥ニート」、東京の婚活アドバイザーのもとで結婚を目指す人々、自らの体に書道の筆を入れてもらいたいと願う女性たち、安楽死のない国で最期を選ぼうとする人々。2017年の「人殺しの息子と呼ばれて」は、北九州監禁殺人事件を起こした男女の息子へのインタビューで、反響の大きさから再編集版が全国放送された。
取材された人が、描かれ方に不満を訴えたこともある。2020年には、約12年続いたシリーズ「マキさんの老後」の二人が、けんかの場面はスタッフの指示によるものだった、ディレクターからセクハラを受けたと週刊誌で告発した。フジテレビは、そのような指示をした認識はないとしている。2021年4月に放送1000回、2025年10月に30周年を迎え、番組は続いている。
主な出演
この作品が問いかけるもの
『ザ・ノンフィクション』は30年にわたり、夜のニュースにはなかなか映らない暮らしを撮ってきた。借金、性を売る仕事、孤独、老い、結婚相手探し、自分の最期を選びたいという願い。最も多く見られたのは1997年、崩れていく経済の中の借金と、それに飲み込まれた家族の回だった。司会者が安心させてくれることのない、長い密着という方法は、人々に自分の言葉で、自分の間合いで語らせる。番組は海外の賞を重ね、2026年には橋田賞を受けた。だが同じ方法には危うさもある。戯画のように切り取られたと訴えた人もいて、番組はいま、取材の前にリスクを説明し、放送後も出演者を支えている。普通の人を撮るドキュメンタリーがいつも抱える問いを、この番組はより鋭く突きつける。見られているのは誰で、誰の日曜の午後のためで、その代償を払うのは誰なのか。