東京タラレバ娘
Tokyo Tarareba Musume
ストーリー
結末まで書いています。
「たられば」ばかり言う30歳の三人。結婚の時計をめぐる時代のコメディ。
鎌田倫子は30歳。独身で恋人もなく、脚本家としての仕事もぱっとしない。夜ごと、高校時代からの親友でネイリストの香、居酒屋「呑んべえ」の看板娘の小雪と集まっては、あのときああしていたら、こうだったらと、たらればの話ばかりしている。そんな三人に、ケイという名で活動する金髪の若いモデル、鍵谷春樹が「タラレバ女」と言い放つ。倫子は担当していたドラマの脚本を降ろされ、若い脚本家に仕事を奪われる。そしてある夜、酔いつぶれた倫子を部屋まで送った鍵谷は、そのまま彼女と関係を持つ。
三人それぞれの物語が進んでいく。香は、人気バンドのギタリストになった元恋人の涼と、割り切った関係に戻ってしまう。涼にはモデルの恋人がいる。妊娠したかもしれないと悩んだ末に違うとわかると、涼はほっとし、香は傷つく。小雪は、妻と別居中だと言うサラリーマンの丸井に恋をするが、妻が二人目を身ごもっていると知り、関係を終わらせる。倫子は優しくて見た目もいいバーテンダーと付き合うが、どうにもかみ合わずに別れる。8年前に「ダサい」という理由で振ったプロデューサーの早坂とは、伊豆の町の観光宣伝ドラマの仕事でキスを交わし、恋人同士になる。一方、鍵谷の毒舌の裏には喪失があった。病気になり、結婚しないまま死ぬことを嘆いた高校時代の恩師と、彼は結婚した。彼女の死後も、自分は愛されていたのかと問い続けている。亡き妻の父に、娘のことは忘れて自分の人生を歩けと言われた鍵谷を、倫子は抱きしめてしまう。
最終回、倫子と早坂は一緒に暮らす部屋を探している。酔いつぶれた鍵谷を泊めたことを隠した倫子は、やがて本当のことを打ち明ける。公園で鍵谷と話す倫子を見た早坂は、同棲をやめようと言い、自分はタラレバ男になりたくない、仕事仲間に戻ろうと告げる。小雪は子どもを連れた丸井と偶然会い、礼を言って別れる。涼は香に、恋人と別れたからちゃんと付き合ってほしいと言い、香は、考えとく、と答える。1か月後、同僚の結婚式で、倫子は鍵谷に、早坂さんとは別れた、あんたのことが好きだと告げる。鍵谷は、俺も好きかもって言ったらどうする、考えといて、と返す。三人は、3年後の東京オリンピックを、男がいてもいなくても三人で見ようと約束する。
主な出演
吉高由里子鎌田倫子役
30歳の脚本家。恋も仕事も停滞し、親友たちと「たられば」を語る夜を重ねている。
鎌田倫子の物語
倫子は書いていたドラマの脚本を降ろされ、三人を「タラレバ女」と切り捨てた金髪のモデル・鍵谷は、酔いつぶれた彼女を部屋まで送った夜に関係を持つ。伊豆の町の観光宣伝ドラマの脚本を徹夜で書き直したあと、8年前に振ったプロデューサーの早坂にキスをされ、恋人同士になる。亡き妻の父に娘のことは忘れてくれと言われて酔いつぶれた鍵谷を見つけ、思わず抱きしめる。早坂と一緒に暮らす部屋を探しながら、鍵谷を泊めたことを隠し、やがて打ち明ける。公園で鍵谷と話す倫子を見た早坂は、同棲をやめようと告げる。1か月後、同僚の結婚式で、倫子は鍵谷に、早坂さんとは別れた、あんたが好きだと言う。鍵谷は、俺も好きかもって言ったらどうする、考えといて、と返す。
榮倉奈々山川香役
倫子の高校時代からの親友でネイリスト。人気ギタリストになった元恋人と、対等でない関係に戻ってしまう。
山川香の物語
香は元恋人の涼と一夜を過ごし、ギタリストになった彼が、モデルの恋人と同棲していると知る。それでも手をつないで帰り、恋人が帰ってくるからと部屋を追い出される日まで、都合のいい関係を続ける。二番目の女を卒業しようと、結婚相談所に入る。やがて妊娠したかもしれないとわかる。涼は責任を取ると言うが、妊娠していなかったと伝えると、まだ父親になる覚悟はなかったとほっとする。マンションの入口で鍵谷に、行くな、このまま帰れ、振り返るなと言われ、香は泣きながら帰っていく。相談所で紹介された相手には、背が高すぎると断られる。恋人と別れたからちゃんと付き合ってほしいと言いに来た涼に、涼ちゃんは一生変わらないと言いながら、考えとく、と答える。
大島優子鳥居小雪役
倫子の高校時代からの親友。父の居酒屋の看板娘で、妻のある男性との恋に落ちる。
鳥居小雪の物語
小雪は、自転車から落としたジャガイモを拾ってくれた丸井に、好きになってもいいですかと聞かれる。結婚しているが妻とは別居中で、嘘をつくつもりも隠すつもりもない、と。バレンタインにチョコを渡し、商店街の抽選で当てた温泉旅行は丸井の家族の急用で流れ、妻が妊娠中で実家に帰っているだけだと知る。それでも別れられず、父にも関係を知られる。最初で最後だからと家に誘われて一夜を過ごすが、翌朝、妻が緊急の帝王切開になったと知らせが入り、小雪は彼の部屋にひとり残される。煩悩も嫉妬も寂しさももう要らない、仙人になりたいと親友たちにこぼし、喫茶店で二人目の子の誕生を語る丸井と別れる。のちに子どもを連れた丸井と偶然出会い、言えなかったお礼を言う。
坂口健太郎鍵谷春樹(ケイ)役
三人を辛辣な言葉で叱る若いモデル。亡き妻への思いを胸の奥に抱えている。
鈴木亮平早坂哲朗役
誠実で生真面目なドラマプロデューサー。かつて倫子に振られ、やがて恋人になる。
平岡祐太鮫島涼役
香の元恋人で人気バンドのギタリスト。別の恋人がいながら、香をそばに置き続ける。
この作品が問いかけるもの
『東京タラレバ娘』は、女性の人生に押しつけられる計算をめぐる喜劇だ。何歳までに結婚しているべきか。どの男性に「はい」と言っておくべきだったか。ひとりでは見たくない東京オリンピック。原作者の東村アキコは、東京開催が決まったときに独身の友人たちが口にした言葉から、この漫画を着想した。ドラマ版は主人公たちを33歳から30歳に引き下げた。テレビの中では時計が早く回るかのように。とげがあるのは、いちばん辛辣な声が、30歳の三人を口ばかりだと叱る25歳の男のもので、作品もなかば彼に同意している点だ。それでも、いちばんいいところは友情だ。男たちがどうであれ三人は同じ店に集まり続け、最後の約束も結婚ではなく三人だけの約束になる。「たられば」のどこまでが後悔で、どこからが間違った時刻表で測られた人生なのか。その問いが残る。