御法度
Taboo (Gohatto)
ストーリー
結末まで書いています。
美しい新入隊士が新選組を揺るがす。武士道の中の欲望。
1865年、京都。新選組が新たな隊士を募る。志願者の中でひときわ目を引いたのは、隊随一の剣の使い手・沖田総司をも手こずらせる美少年、加納惣三郎と、その加納と並ぶ腕を持つ田代彪蔵だった。裕福な家の息子で18歳だという加納は、入隊の理由を問われて、人を斬ってみたいからと答える。隊規に背いた隊士の介錯を命じられると見事に首を落とし、副長の土方歳三は、彼が人を斬ったのは初めてではないと見抜く。加納はひとりだけ元服前の前髪を落とさず、願を掛けているのだと言う。
田代は加納を衆道に誘う。はじめは小刀を突きつけて拒んだ加納も、やがて田代と深い仲だと噂されるようになり、ほかにも加納に言い寄る隊士が現れる。局長の近藤勇はむしろ加納をかわいがり、隊の規律を重んじる土方は頭を抱える。加納と関係を持ち、田代と別れろと迫っていた隊士の湯沢が、何者かに斬殺される。恋敵の仕業ではないかと疑う土方に、近藤は加納を始末しろと言い、殺せというのではない、遊郭で女を覚えさせろと続ける。土方は監察の山崎に命じて加納を島原へ連れて行かせるが、加納は太夫と遊ばず、山崎の名ばかり呼んで騒いでいた。その後、山崎が夜道で何者かに襲われる。現場に落ちていた小刀は、田代のものだった。
隊士を襲うことは御法度で、死に値する。近藤は加納に田代を討たせると決め、土方と沖田が夜の河原で見届ける。刀を抜いた田代は、お前が小刀を盗んで俺を嵌めたのだと叫ぶ。襲ったのは加納だったのだ。体勢を崩した加納は田代に何かをささやき、田代がひるんだ隙に彼を斬る。帰り道、沖田はやり残したことがあると言って引き返していく。その背中を見て土方は、沖田が加納に惹かれていたのではなく、加納が沖田に色をかけていたのだと気づく。沖田を呼ぶ加納の声は、斬りかかる沖田の声にかき消される。土方は、化け物め、と吐き捨て、早咲きの桜の木を斬りつける。
主な出演
ビートたけし土方歳三役
新選組の副長。隊の規律を何より重んじ、美しい新入隊士が男たちを乱していくさまを見つめる。
土方歳三の物語
副長の土方は、新選組は歯向かう者を斬る集団だと言って加納と田代を入隊させるが、やがて隊内に男色の噂が広まり、規律を重んじる彼は頭を抱える。近藤に訴えても、近藤はむしろ加納をかわいがり、沖田に尋ねれば、土方さんは狂人の親玉だと笑われる。湯沢が斬殺されると、恋敵の仕業ではないかと疑う。加納を始末しろと近藤に言われ、自腹を切って山崎に島原へ連れて行かせる。山崎を襲った者の小刀が田代のものとわかると、加納に田代を討たせることを渋々受け入れ、沖田とともに夜の河原で見届ける。引き返していく沖田の背中を見て、色をかけていたのは加納のほうだったと悟った土方は、化け物め、と吐き捨て、早咲きの桜の木を斬りつける。
松田龍平加納惣三郎役
裕福な家の出の、美しく腕の立つ新入隊士。人を斬りたいと入隊し、周りの男たちの欲望を引き寄せる。
加納惣三郎の物語
18歳だという加納は、ひとりだけ元服前の前髪を落とさず、願を掛けているのだと言う。介錯を命じられると見事に首を落とし、土方に、人を斬ったのは初めてではないと見抜かれる。夜中に言い寄ってきた田代には小刀を突きつけて拒むが、やがてふたりは深い仲だと噂され、ほかの隊士にも言い寄られる。加納と関係を持ち、田代と別れろと迫った湯沢は、何者かに斬殺される。島原に連れて行かれた夜は、太夫と遊ばずに山崎の名ばかり呼ぶ。その後、山崎が襲われ、残された小刀は田代のものだった。田代を討てと命じられた加納は、夜の河原で、お前が嵌めたのだと叫ぶ田代と斬り合い、何かをささやいて彼をひるませ、斬り捨てる。引き返してきた沖田の名を呼んだ加納は、その沖田に斬られる。
武田真治沖田総司役
隊随一の剣士。穏やかで勘が鋭く、隊内の男色騒ぎを嫌っていると口にする。
沖田総司の物語
沖田は子ども好きで、池田屋の一件から体調がすぐれない。入隊試験では加納に手こずらされる。土方に隊内の男色騒ぎをどう思うかと聞かれ、そういう風潮は嫌いだときっぱり答え、土方さんは狂人の親玉だと笑う。井上をかばって嘘をつき、井上が加納を連れて肥後訛りの男たちを討ちに出かけると、土方を起こして隊士を率い、男たちを斬る。河原で加納が田代を討つのを見届けながら、男同士の契りを描いた「菊花の契り」の話をし、それは土方さんと近藤さんのことではないかと言って土方を怒らせる。帰り道、やり残したことがあると言ってひとり河原へ引き返し、自分の名を呼ぶ加納を斬る。
浅野忠信田代彪蔵役
加納と同時に入隊した、加納と並ぶ腕の剣士。加納を衆道へと誘い込む。
崔洋一近藤勇役
新選組局長。なぜか加納を気に入り、やがて田代を討つよう命じる。
トミーズ雅山崎烝役
加納を島原へ連れて行く役目を負わされた監察。その後、夜道で何者かに襲われる。
この作品が問いかけるもの
『御法度』は、規律の上に成り立つ組織のなかで男同士の欲望を見つめ、命令では消せない感情をその組織がどう扱うのかを描く。大島渚の13年ぶりの監督作であり、遺作となった。原作は司馬遼太郎の短編で、近藤勇が1864年に書いた書簡には、隊内で男色が流行したと記されている。不穏なのは、加納を見る男たちの誰もが、彼の中に自分自身の欲望を見て、その責めを少年に負わせることだ。最後に土方が口にする言葉は、化け物、だった。これはまた、欲望の対象となることが一種の力だと早くに知り、その力で自分を最初に求めた男を罠にかける若者の物語でもある。映画は欲望そのものを裁くより、人斬りの集団が、ほとんど何でも許しながら、仲間同士の思いだけは許せないさまを見つめている。