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Cinema 月明かりの映画館

牝猫たち

Dawn of the Felines

2016映画日本

465作品の星図のなかで見る

ストーリー

結末まで書いています。

池袋のデリヘル嬢3人。仕事の代償を敬意をもって撮る。

池袋のデリヘル「極楽若奥様」は、今日も電話をかけてきた男たちのもとへ女性たちを送り出す。そこで働く三人は仲がいい。雅子には家がなく、ネットカフェで寝泊まりしている。常連客の高田はビルのオーナーだが、十年も部屋から出ず、ネットの掲示板ばかり見ている。シングルマザーの結依は幼い息子に手を上げ、何でも屋の青年・三上に預けて働く。三上は少年が虐待されていることに気づいて彼女を責め、少年をかわいがるようになる。結依は客の売れないお笑い芸人・谷口に惹かれていくが、谷口は彼女をぞんざいに扱う。結婚していて子どもができない里枝には、妻を亡くしたばかりの老人・金田という穏やかな常連がいる。金田は時間を買っても、彼女に指一本触れない。一方、若い運転手の堀切は女性たちを盗撮して、ネットに上げている。店長の野中は彼を殴りつける。

高田は雅子を自分の部屋に泊める。雅子は彼に惹かれて身体を求めるが、高田は店を通すと言い張り、ふたりは言い争いになり、最後には結ばれる。金田は多めのお金を払って、ふだんの日にも里枝に会いたいと頼むようになり、恋心を募らせて彼女の家までついていく。そこで見たのは、夫と楽しそうに歩く里枝の姿だった。やがて金田は里枝を殺そうとする。里枝は助かり、金田は、それなら自分を殺してくれと懇願する。里枝はその願いどおりにし、警察に逮捕される。本番行為をさせていたことも発覚して、店は摘発され、つぶれる。結依は三上から息子を引き取り、谷口と暮らし始める。谷口はいまのところ、少年とうまくやっているように見える。ある深夜、雅子は誰もいない事務所に現れ、なぜこの仕事を始めたのかを初めて野中に打ち明け、野中は彼女を買う。しばらくして雅子は、盗撮がネットで騒ぎになった堀切とばったり出会う。自分で新しい商売を始めるという堀切の話に乗って、雅子は彼の車に乗り込む。生きていかなきゃいけないじゃないっすか。堀切のそんな言葉で、映画は終わる。

主な出演

  • 井端珠里雅子役

    家がなく、ネットカフェで寝泊まりしながら働く女性。部屋から出ない常連客に惹かれていく。

    雅子の物語

    雅子は大学を出ても定職に就けず、家もなく、ネットカフェで寝泊まりしながら働いている。十年も建物から出ていない常連客の高田とのあいだには、ぎこちない恋が芽生え、ビルの屋上で彼女は胸の内をぶつける。運転手の堀切が、客への悪態をつく彼女の姿を盗撮して動画サイトに上げると、高田はネットで堀切を炎上させ、雅子への指名が殺到する。店が閉じられようとするころ、深夜の無人の事務所に現れた雅子は、なぜこの仕事を始めたのかを初めて野中に打ち明け、野中は彼女を買う。しばらくして、新しい商売を始めるという堀切とばったり会い、雅子は彼の車に乗り込む。生きていかなきゃいけないじゃないっすか、と堀切は言う。

  • 真上さつき結依役

    幼い息子に手を上げるシングルマザー。息子を預けて働き、冷たい客に惹かれていく。

    結依の物語

    シングルマザーの結依は、幼い息子のケンタに手を上げ、お金を払って三上に預けて働いている。三上は少年が虐待されていることに気づく。指名がつかないと野中に愚痴をこぼせば、客は本気で惚れられたように感じたいのだと説教される。客の売れないお笑い芸人に惹かれて一夜を過ごしたあと、ケンタにおもちゃを買い与えた三上を叱りつける。店に警察の手入れが入った日、迎えに行かずにいたケンタと再会し、三上はその様子を見つめる。結依は息子を連れて帰っていく。

  • 美知枝里枝役

    子どもができず、ひそかに働く人妻。穏やかな老人の常連客に、危ういほど深く想われてしまう。

    里枝の物語

    里枝は結婚しているが子どもができず、夫には若い愛人がいる。彼女は誰にも言わずに店で働いている。妻を亡くしたばかりの金田は、何度も彼女を指名しながら、身体を求めることはなく、ただ一緒に過ごすだけだ。ある日、金田は大金を見せ、店とは関係なく会ってほしいと懇願する。お金をもらった以上はサービスしたいと里枝は言い、自分から彼を導いていく。たださみしいから一緒にいたいのだと金田は言う。その思いはやがて深まり、最後に里枝は金田を殺す。

  • 郭智博高田役

    十年も部屋にこもるビルのオーナー。雅子を泊めるうちに、愛について考え始める。

  • 吉澤健金田役

    妻を亡くしたばかりの老人。里枝を指名しても触れずにいたが、孤独はやがて執着に変わる。

  • 音尾琢真野中役

    池袋の店の店長。女性たちを働かせ、店の若い者には荒っぽく当たる。

この作品が問いかけるもの

『牝猫たち』は、日活の「ロマンポルノ・リブート」の一本として白石和彌監督が撮った作品で、新宿のトルコ風呂で働く女性たちを描いた田中登監督の『牝猫たちの夜』へのオマージュとして、舞台を現在の池袋のデリヘルに移している。家がないこと、ひとりで子を育てること、子のできない結婚。ほかの扉が閉ざされたなかで身体を売る三人の女性を追い、その仕事を教訓としてではなく、決まりごとも小さな優しさも危うさもある仕事として描く。問われるのは、若い女性の貧困、お金を払う男たちの孤独、子どもへの虐待、そして女性を盗み撮りして見せ物にする行為だ。ロッテルダム国際映画祭に正式招待され、旧ロマンポルノ第1作の主演女優・白川和子もカメオ出演している。救いも破滅も差し出さず、あるのは次の予約だけ。それは生き延びることなのか、ただ耐えることなのか。