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Cinema 月明かりの映画館

ナラタージュ

Narratage

2017映画日本

465作品の星図のなかで見る

ストーリー

結末まで書いています。

教え子と教師。始まってはいけなかった恋の倫理。

激しい雨の夜、工藤泉は映画会社で残業をしている。ずぶ濡れで戻ってきた後輩の宮沢にタオルを渡し、泉は止まったままの懐中時計を取り出す。葉山貴司から贈られたその時計と雨が、壊れるほどの恋を思い出させる。

高校三年の泉は、学校に居場所がなかった。社会科の教師・葉山は、自分が顧問をする演劇部に彼女を誘う。泉は葉山に恋をし、葉山もまた泉に寄りかかるようになる。卒業式の日、まだ教え子だった泉と教師の葉山は口づけを交わすが、その先は何もなかった。二年後、大学生になった泉に葉山から電話が来る。部員が三人しかいない演劇部の卒業公演を手伝ってほしいという。泉は高校の同級生だった志緒と黒川、黒川の友人の小野怜二とともに加わり、週に一度の稽古のなかで、ふたりはふたたび近づいていく。ある雨の夜、酔いつぶれた葉山から電話があり、家まで送った泉は、彼が隠していたことを知る。葉山は離婚していなかった。妻の美雪は心を病み、両親のもとで別に暮らしていて、葉山は籍を抜かずに彼女の帰りを待っていたのだ。

傷ついた泉は、田舎の実家に招いて思いを告げた小野を受け入れる。だが小野は葉山への嫉妬を抑えきれず、泉が葉山に宛てた手紙を読み、彼女を縛ろうとするようになる。やがて、見知らぬ男にレイプされ、悩みを抱えていた演劇部の柚子が自ら命を絶つ。病院で動揺する葉山を見た泉は、小野に詫びて別れを告げ、葉山のもとへ走り、ふたりは抱き合う。葉山は、転勤して妻のもとへ戻ると決めたと告げる。泉はそれを受け入れたうえで愛していると言い、葉山も泉を愛していると答える。ふたりは最後の夜を過ごし、朝、葉山は泉に懐中時計を贈る。先に家を出る泉を、葉山は外まで見送りに出る。

現在。泉は会社で夜を明かした。雨はやみ、空が白み始めている。

主な出演

  • 松本潤葉山貴司役

    泉の高校の社会科教師で、演劇部の顧問。別居中の妻と籍を残したまま、泉に寄りかかっていく。

    葉山貴司の物語

    葉山は社会科の教師。いじめられて孤立する泉を、自分が顧問を務める演劇部に誘い、やがて自分も彼女に寄りかかるようになる。妻とは別れたと泉に話し、卒業式の日に口づけをして、ごめんと言って去る。二年後、公演の手伝いを頼んで泉を呼び戻す。義父から妻に会ってほしいと言われた雨の夜、酔って泉を呼び、離婚していなかったことを知られる。彼女を抱きしめても、その先へは進まない。小野と付き合う泉に電話をかけ、もう連絡はしないと謝る。柚子が自ら命を絶つと、何もできなかったと自分を責め、戻ってきた泉に、彼女に寄りかかっていたことを打ち明けて、妻のもとへ戻ると告げる。最後の一夜のあと、父が残していった懐中時計を泉に贈り、彼女の乗った電車を見送る。

  • 有村架純工藤泉役

    居場所のなかった高校時代に教師に救われた女性。その恋を、大学時代もその先も抱え続ける。

    工藤泉の物語

    高校三年の泉は、いじめに遭い、死にたいと思うほど追いつめられていた。そんな彼女を演劇部に誘ったのが教師の葉山で、泉は彼に恋をする。卒業式の日、葉山は口づけをして、ごめんと言って去る。二年後、公演の手伝いで母校に戻った泉は、雨の夜、酔った葉山を家まで送り、彼が離婚していなかったことを知る。傷ついて小野と付き合い始めるが、その嫉妬は束縛に変わる。見知らぬ男にレイプされた演劇部の柚子が自ら命を絶つと、泉は小野に別れを告げ、裸足で葉山のもとへ走る。妻のもとへ戻るという葉山に愛していると伝えて一夜を過ごし、父が残していった懐中時計を贈られる。現在の泉は、時計に彫られたポルトガル語が「幸せであるように」という意味だと同僚に教えられる。

  • 坂口健太郎小野怜二役

    公演を手伝う大学生。泉に惹かれ、彼女が葉山を想っていると知りながら、嫉妬と束縛を強めていく。

    小野怜二の物語

    小野は黒川の大学の友人で、演劇の経験を買われて公演の手伝いに加わり、泉に惹かれる。自分で作った靴を彼女に履かせて想いを告げるが、泉は靴を脱いで帰ってしまう。公演のあと、田舎の実家に泉を連れていき、もう一度告白して受け入れられる。彼女が葉山を想っていると知りながらのことだった。やがて嫉妬を抑えられなくなり、泉が葉山に宛てた手紙を盗み読み、誰かにつけられていると怯えて電話をかけてきた彼女に、困ったときだけ頼るなと言い放つ。葉山のもとへ戻りたいと言われると、手をついて謝れと迫り、離さないと抱きしめたあと、その靴を脱いでいけと告げる。泉は裸足で出ていく。

  • 市川実日子葉山美雪役

    葉山の妻。心を病んで夫と離れて暮らしており、葉山は最後に彼女のもとへ戻ると決める。

  • 瀬戸康史宮沢慶太役

    現在の泉が働く映画会社の後輩。物語の始まる雨の夜、彼女と一緒に会社にいる。

この作品が問いかけるもの

ナラタージュとは、語り手の声を重ねて過去を回想する映画の手法を指す。この映画が語るのは、恋愛映画がふつうは片づけてしまう恋だ。教師と元教え子。彼女が生徒だった頃に芽生え、大学生になって再燃し、しかも男は妻と別れていない。問われるのは、大人とかつての教え子のあいだの力と依存、半分だけの真実で続く恋、そしてそれが周りにもたらす傷だ。束縛に走る恋人、誰にも絶望に気づいてもらえなかった生徒。行定勲監督は、きらきらしていない現実の恋を描き、いい意味で若い人たちを傷つけたかったと語っている。海外の評価は分かれ、バラエティ誌が本物の感情に寄り添った作品と評した一方、サウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙は倫理の一線を越えすぎたと評した。止まった懐中時計が問う。初恋は人生から何を奪うのか。それは本当に恋だったのか。