紅夢
Raise the Red Lantern
ストーリー
結末まで書いています。
四人の妻が“今夜の寝所”を示す赤い灯籠を奪い合う。中国では上映禁止、海外で絶賛。
1920年代の中国。19歳の女学生スンリェンは、父を亡くして実家が没落し、継母に迫られて富豪の陳家の主人の第四夫人として嫁ぐ。高い塀に囲まれた屋敷では、主人が毎晩、どの夫人のもとで夜を過ごすかを決める。選ばれた夫人の門前には赤い提灯が灯され、彼女は足のマッサージを受け、翌日の献立を選び、召使いたちの敬意を集める。主人の顔が、はっきり映ることはない。
第一夫人は年老いて頑なだ。第二夫人ヅォユンは親しげに絹を贈ってくれ、元京劇歌手の第三夫人メイサンは冷ややかだ。自分が夫人になるつもりでいた召使いのエンアルはスンリェンを恨んでいる。スンリェンは、エンアルの部屋に禁じられた提灯と、自分の名を書いた呪いの札が隠されているのを見つけ、その名を書いたのがヅォユンだと知る。メイサンは、ヅォユンがかつて自分に毒を盛ろうとしたこと、立場を守るには男子を産むしかないことを教える。
スンリェンは妊娠を装うが、ヅォユンとエンアルに見破られ、主人は彼女の提灯に黒い覆いをかけさせる。スンリェンは仕返しにエンアルの隠していた提灯を暴き、エンアルは雪の中でひと晩ひざまずかされて病に倒れ、死ぬ。20歳の誕生日、酔ったスンリェンは、メイサンが屋敷の医師と通じていることを口にしてしまう。ヅォユンがふたりの現場を押さえる。スンリェンは、かつて不義の女がふたり命を奪われたという屋上の小部屋へ、メイサンが引きずられていくのを目にする。メイサンはそこで殺される。人殺しと叫ぶスンリェンに、主人はお前は何も見なかったと言う。スンリェンが誰もいないメイサンの庭に提灯を灯し、彼女の歌声のレコードをかけると、召使いたちは幽霊が出たと騒ぐ。
翌年の夏、主人は第五夫人を迎える。正気を失ったスンリェンは、女学生のころの服を着て、屋敷の中庭をさまよっている。
主な出演
コン・リースンリェン(頌蓮)役
富豪の第四夫人として嫁がされた19歳の女学生。屋敷の掟を学び、やがてそれに打ち砕かれる。
スンリェン(頌蓮)の物語
スンリェンは19歳。父が破産して亡くなり、継母に迫られて陳家の第四夫人として嫁ぐ。提灯も足のマッサージも召使いたちの敬意も、主人がその夜選んだ夫人のものだと知る。召使いの部屋で自分を呪う札を見つけ、名を書いたのがヅォユンだと知ると、髪を切ってやりながら彼女の耳を切る。妊娠を装って見破られ、提灯に黒い覆いをかけられると、仕返しにエンアルの隠した提灯を暴き、雪の中でひと晩ひざまずかされたエンアルは死ぬ。20歳の誕生日に酔ってメイサンの密通を口にし、屋上の小部屋へ引きずられていく彼女を目にする。人殺しと叫ぶ彼女に、主人は何も見なかったと言う。翌年の夏、主人は第五夫人を迎え、正気を失ったスンリェンは女学生の服で中庭をさまよう。
ホー・ツァイフェイメイサン(梅珊)役
第三夫人で、元京劇歌手。誇り高く孤独で、屋敷の医師とひそかに通じている。
メイサン(梅珊)の物語
メイサンは京劇の歌い手だったが、陳家の第三夫人となった。もういちばん若くも、いちばんの寵愛を受けてもいない。はじめはスンリェンに冷たい。スンリェンがヅォユンの耳を切ったと聞くと、ヅォユンがかつて、ともに身ごもっていた自分に毒を盛ろうとしたこと、立場を守るには男子を産むしかないことを彼女に教える。屋敷の医師とひそかに通じていて、それを言い当てたスンリェンに口外するなと釘を刺し、その夜も彼に会いに行く。酔ったスンリェンがその秘密を漏らし、ヅォユンはホテルで医師と一緒のメイサンを押さえる。彼女は召使いたちに屋上の小部屋へ引きずられ、そこで殺される。やがて主のいない彼女の庭に提灯がともり、レコードから彼女の歌声が流れる。
ツァオ・ツイフェンヅォユン(卓雲)役
第二夫人。表向きはいちばん優しいが、屋敷の中の競争相手を次々に陥れる。
ヅォユン(卓雲)の物語
第二夫人ヅォユンは、若さと美しさをほめ、絹を贈ってスンリェンを迎え、メイサンには気をつけろと忠告する。だがエンアルの部屋に隠された呪いの札にスンリェンの名を書いたのは彼女であり、メイサンによれば、ともに身ごもっていたころメイサンに毒を盛ろうとしたこともある。髪を切らせたスンリェンに耳を切られたあと、エンアルからスンリェンの妊娠が偽りだという証拠を受け取ると、心配するふりをして主人に医師を呼ばせ、嘘を暴かせる。スンリェンが酔ってメイサンの密通を漏らすと、ホテルで医師と一緒のメイサンを押さえる。メイサンが引きずられていくとき、ヅォユンは、教えてくれてありがとうとスンリェンに礼を言う。
コン・リンエンアル(雁兒)役
スンリェン付きの若い召使い。自分が夫人になる夢を持ち、仕えるべき相手を恨んでいる。
マー・チンウーチェン・ズォチェン(陳佐千)役
屋敷の主人。顔ははっきり映らず、その選択が妻たちの暮らしのすべてを支配する。
この作品が問いかけるもの
『紅夢』は、ひとつの家を機械に変えてみせる。四人の女が、ひとりの男の夜ごとの寵愛を争う。それにともなう特権、提灯、マッサージ、献立が、彼女たちの暮らしの経済のすべてだ。主人の姿はほとんど映らない。この仕組みに、彼の顔は必要ないからだ。スー・トンの小説をチャン・イーモウが映画化し、山西省の喬家大院で撮影した。ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を受け、アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされたが、中国では前作『菊豆』に続いて上映禁止となった。ロジャー・イーバートは、富豪の屋敷の心地よさの下には奴隷制という罪がある、と書いた。この映画のさらに厳しい洞察は、女たちの争いこそがこの機械を動かしているということだ。彼女たちが互いに向ける残酷さのひとつひとつが、主人の手間を省いている。