ハッピーエンド
Happy End
ストーリー
結末まで書いています。
失業中の夫、働く妻、その恋人。そして、嘘をつく題名。
ソ・ミンギは銀行員だったが、整理解雇された。いまは英語学院を経営する妻チェ・ボラが家計を支え、ミンギが家事と生後5か月の娘の世話を引き受けている。空いた時間は古本屋に通い、公園のベンチで恋愛小説を読み、家ではテレビのメロドラマを見て過ごす。ボラは、大学時代の恋人で、彼の入隊で別れたキム・イルボムと偶然に再会し、夫に隠れて逢瀬を重ねている。
ミンギは妻を疑い始める。車の走行距離を書き留め、高速料金の領収書を調べ、見慣れない鍵をたどってイルボムの部屋に行き着く。忍び込んだ部屋で、彼はボラの写真のアルバムを見つける。それでも妻を問い詰めはしない。君が娘のいい母親でいてくれればそれでいい、と言うだけだ。
家庭を壊すつもりのないボラは、関係を終わらせようとする。だがイルボムは離れようとしない。ミンギが家にいるときに電話をかけ、家の前にまで現れる。追いつめられたボラは30分だけ会う約束をし、睡眠薬を砕いて混ぜたミルクで娘を眠らせ、ひとり部屋に残して出かける。帰宅したミンギは、ひとりきりで熱を出している娘を見つけ、病院へ連れていく。戻った家で、彼は抱き合うボラとイルボムを目にする。
ミンギは周到に計画を立てる。恩師の葬儀に向かうと見せかけ、同じ建物に住む女友だちをアリバイにして列車に乗る。そして引き返し、ボラを殺す。イルボムの部屋の鍵を使い、犯人は彼だと見えるように仕組む。警察はそれを信じ、捜査はイルボムを犯人として幕を閉じる。
主な出演
チェ・ミンシクソ・ミンギ役
整理解雇された元銀行員。家事と育児をしながら恋愛小説を読み、妻の不倫にひそかに気づく。
ソ・ミンギの物語
ミンギは6年勤めた銀行を解雇された。朝は背広を着て出かけるが、日中は古本屋や公園のベンチで恋愛小説を読み、娘を迎えに行って夕食を作る。ボラには敗残兵のようだとなじられる。車の走行距離を書き留め、領収書をとっておき、見覚えのない鍵をたどってイルボムの部屋に入り、妻の写真のアルバムを見つけるが、何も言わない。その夜、眠る娘を見つめて涙を流し、それからは恋愛小説ではなく推理小説を読むようになる。家の前で抱き合う妻とイルボムを目にした彼は、同じ建物の知人の前で列車に乗り、途中で降りて引き返し、ボラを殺してイルボムに罪を着せる。アリバイに守られて疑いを免れると、妻の写真を握りしめて泣き、写真を燃やし、指輪を捨てて、娘のそばで眠る。
チョン・ドヨンチェ・ボラ役
ミンギの妻。英語学院を経営して家計を支え、大学時代の恋人と不倫している。
チェ・ボラの物語
ボラは英語学院を経営して一家を支えている。入隊で別れた大学時代の恋人イルボムと偶然再会し、夫に嘘をついて彼の部屋に通う。公園で小説を読んで過ごす夫には、苛立ちを隠さない。だがイルボムが合鍵を渡し、娘への贈り物を買い、家に電話をかけてくるようになると、関係を終わらせようとし、夫には、もう片づいたと告げる。やがて酔ったイルボムが家の前まで来る。娘を預ける先もなく、彼女は睡眠薬を砕いてミルクに混ぜ、30分だけと言って会いに出る。家まで背負われて帰り、玄関先で彼と抱き合う。ある晩、仕事から戻ると、隠したはずの自分の写真が鏡台に挿してある。列車に乗ったはずの夫が、彼女を殺す。
チュ・ジンモキム・イルボム役
ボラの大学時代の恋人。再会した彼女を、二度と手放そうとしない。
キム・イルボムの物語
イルボムは入隊でボラと別れたあとも、彼女の写真と手紙を捨てずに持ち、ふたりのペアリングを外したことがない。偶然再会した彼女の恋人となり、彼女の英語学院のホームページも手がけるが、情事だけでは満足できない。部屋の合鍵を渡し、彼女の娘に贈り物を買い、夫のいる時間に家へ電話をかけ、酔って家の前まで押しかける。彼女を背負って家まで送った夜、抱き合うふたりをミンギが見ている。やがてボラが殺されると、彼の部屋に残された証拠が彼を指し、警察は彼を犯人だと見なす。
この作品が問いかけるもの
『ハッピーエンド』は、当時の韓国のメロドラマが前提としていた役割を逆さにしてみせる。稼ぐのも不倫をするのも妻で、夫は家で赤ん坊の世話をし、恋愛小説を読み、メロドラマを見ている。チョン・ジウ監督の初監督作で、興行的にも成功し、公開当時は大胆な濡れ場が話題を集めた。映画はボラを悪女にも、ミンギを被害者にもしない。多くを手持ちのカメラで、仕事と居場所を失った男が、家で身につけた忍耐を計画に変えていくさまを見つめる。この映画が投げかける問いは古びていない。妻に養われるとき、男の自己像はどうなるのか。裏切られたのが子どもと家にいる側の親であるとき、不倫はどう見えるのか。そして男の暴力は、表に出るその瞬間まで、どれほど静かに見えるものなのか。題名は、この映画のいちばん苦い冗談だ。