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Cinema 月明かりの映画館

愛の渦

Love's Whirlpool

2014映画日本

465作品の星図のなかで見る

ストーリー

結末まで書いています。

六本木の乱交パーティーに集まった8人と、遅れて来た一組の男女の一夜。気まずく、可笑しく、意外に優しい。

深夜、ひとりの若者がなけなしの2万円を引き出し、電話で案内された六本木のマンションへ向かう。そこは裏の風俗店だ。一晩、見ず知らずの男女がバスタオル一枚で居間に集まり、合意した相手と下の階へ降りていく。下にはベッドが四つ並ぶだけで、互いの姿は丸見えになる。事前に店長を訪ねた眼鏡の女子大生は、気に入らない相手は断れるのかと尋ね、断れるが、それなら何のために来たのかという話になると告げられていた。居間には八人。金髪のフリーター、妻のいるサラリーマン、太った工員、保育士、会社勤めの若い女、毎回やってくる常連の女、そしてニートの若者と女子大生だ。

ダイエットの話のような世間話のあと、最初の組が下へ降りていく。最後まで黙っていたニートと女子大生も、彼女がいきなり彼をソファに押し倒したことで動き出し、下の階で彼女は誰よりも無防備な姿をさらす。合間には仕事や身の上の話が交わされ、やがて互いの体や声への陰口になり、誰が魅力的で誰が場違いかをめぐって言い争いが起きる。遅れてカップルが加わる。女はニートを、男は女子大生を下へ誘うが、本気になるなと男が責め出してふたりは喧嘩になり、女は出ていってしまう。ニートは女子大生に謝り、ふたりはもう一度ベッドへ向かう。サラリーマンは妻に言い訳の電話をかけ、童貞だとばれた工員が常連の女とようやく結ばれると、皆が拍手を送る。

会が終わると、常連の女は店長と連れ立って帰っていく。ふたりは恋人同士だった。携帯電話をなくしたという女子大生のために、店員がニートの電話から彼女の番号にかけ、番号の交換は禁止のはずが、彼女は彼の番号を知る。後日、女子大生はニートを呼び出す。喜ぶ彼に、彼女は番号を消してほしいと言う。それだけを言いに来たのだ。あそこにいたのは私じゃない、と言う彼女に、ニートは、あそこにいたのが本当の自分だと思っている、と答える。彼女は去っていく。

主な出演

  • 池松壮亮ニート役

    働かずに暮らす青年。なけなしの2万円を握って乱交パーティーに参加し、女子大生に惹かれていく。

    ニートの物語

    ニートは居間で黙ってうつむいていたが、女子大生にいきなりソファへ押し倒され、下へ行きませんかと彼女を誘う。合間には、そう見えないかもしれないけれど楽しいと打ち明ける。フリーターが女子大生を下へ連れていこうとすると、立ち上がって止め、好きになってんじゃねえよと怒鳴られる。遅れて来たカップルと相手を入れ替えることになり、彼女がほかの男と寝るのを見つめる。カップルが喧嘩を始めると、彼は女子大生に謝り、ふたりはもう一度ベッドへ向かう。後日、呼び出されて喜ぶが、彼女は番号を消してほしいと言い、あそこにいたのは私じゃないと告げる。ニートは、あそこにいたのが本当の自分だと思っていると答え、彼女は去っていく。

  • 門脇麦女子大生役

    広告を見て申し込んだ眼鏡の女子大生。口数は少ないが、やがて誰よりも無防備になる。

    女子大生の物語

    女子大生は事前に、気に入らない相手は断れるのかと店長に尋ねていた。居間で突然ニートをソファに押し倒し、ふたりは下の階へ降りていく。合間には、自分でも変だと思うくらい今すごく楽しいと打ち明け、ほかの参加者からは声が大きいと陰口をたたかれる。遅れて来たカップルの男に誘われて下へ行くが、カップルが喧嘩を始めると、謝るニートともう一度ベッドへ向かう。明け方、なくした携帯電話を店員がニートの電話から鳴らし、彼女は彼の番号を知る。後日ニートを呼び出したのは、番号を消してほしいと言うためだった。あそこにいたのは私じゃないと言う彼女に、ニートは、あそこにいたのが本当の自分だと答える。彼女は去っていく。

  • 新井浩文フリーター役

    金髪のフリーター。真っ先に相手を見つけ、のちにほかの参加者を責め立てる。

  • 滝藤賢一サラリーマン役

    妻のいる会社員。合間には陰口をたたき、妻に言い訳の電話をかける。

  • 窪塚洋介店員役

    一晩じゅう部屋を見張り、店の決まりを守らせる店員。

  • 田中哲司店長役

    店を仕切り、新しい参加者と面接する店長。会の終わりに常連の女と帰っていく。

この作品が問いかけるもの

『愛の渦』は、壁のない部屋に欲望を置き、ただひとつの目的が最初から合意されているとき、人がどうふるまうかを見つめる。岸田國士戯曲賞を受けた自作の戯曲を、三浦大輔が自ら脚本にして監督した。描かれるのは性そのものより、数時間のうちにその周りに生まれる社会だ。駆け引き、品定め、体への陰口、嫉妬、そして一方が楽しみすぎたせいで壊れるカップル。金で買った一夜は後腐れのない性を約束するが、映画は、感情がどれほど早く染み戻ってくるかを見せる。池松壮亮はキネマ旬報ベスト・テンの助演男優賞を、門脇麦は新人女優賞を、この作品を含むその年の出演作で受けた。結末は問いを女子大生とニートに託す。あの部屋に現れた自分は、消してしまうべき気の迷いなのか。それとも、いちばん正直な自分なのか。