EN
メニュー

Cinema 月明かりの映画館

アンモナイトの目覚め

Ammonite

2020映画イギリス

465作品の星図のなかで見る

ストーリー

結末まで書いています。

古生物学者メアリー・アニングと療養中の人妻、ドーセットの海岸。創作された恋愛をめぐり、アニングの遠い親戚ふたりの意見は分かれた。

1840年代、ドーセットの海辺の町ライム・リージス。メアリー・アニングは潮が引いた早朝の浜で化石を探し、たいていは小さなアンモナイトを、病身の母モリーと営む店で売っている。モリーは毎日、動物の置物を八つ磨く。亡くした子どもひとりにひとつずつ。

ある日、地質学者のロデリック・マーチソンが若い妻シャーロットを連れて店を訪れ、化石採集の手ほどきを頼んで金を払う。シャーロットはふさぎこんでいて、夜、求める妻を夫は、いまは次の子どもの時期ではないと拒む。ヨーロッパを巡るあいだ、療養させる妻の世話をメアリーに託して、ロデリックは町を去る。金の必要なメアリーは、しぶしぶ引き受ける。海水浴のあと高熱を出したシャーロットを、メアリーは看病する。回復したシャーロットは浜を一緒に歩き、家の仕事を手伝うようになる。町に新しく来た医師がメアリーを招いた音楽会の夜、同行したシャーロットは町の人々と打ちとけ、メアリーは雨のなか外に立って、窓越しに嫉妬のまなざしを向ける。

ふたりは大きな岩を店へ運びこむ。中から現れたのは魚竜の化石だった。メアリーが11歳で見つけ、大英博物館に送られたものと同じ種類だ。その夜、シャーロットがメアリーに口づけ、ふたりは恋人になる。だがロデリックの手紙が、シャーロットをロンドンへ呼び戻す。彼女が去ったあと、モリーは転倒して亡くなる。かつてメアリーと関係のあった友人エリザベス・フィルポットは、自分のときのようにシャーロットを手放してはいけない、と彼女を諭す。

ロンドンへ来てほしいという手紙が届く。マーチソン家を訪ねたメアリーが見たのは、ガラスの陳列棚に飾られた自分のアンモナイトと、自分のために整えられた寝室だった。金の鳥籠の飾りものにはならない、と言い残して、彼女は屋敷を出る。大英博物館で、メアリーはかつての魚竜の前に立つ。展示には彼女の名前がどこにもない。メアリーに似た服を着たシャーロットがやって来て、ふたりはガラスのケース越しに見つめあう。

主な出演

  • ケイト・ウィンスレットメアリー・アニング役

    ライム・リージスの労働者階級の化石採集者。人を寄せつけず、最大の発見は彼女の名前なしで博物館に並ぶ。

    メアリー・アニングの物語

    メアリーは潮の引いた浜で化石を探し、たいていは小さなアンモナイトを、病身の母モリーと営む店で売っている。ロデリック・マーチソンの金をしぶしぶ受け取り、ふさぎこんだ妻シャーロットの世話を引き受ける。高熱の彼女を看病し、町の人々に囲まれる彼女を雨の窓の外から見つめ、恋の詩を書く。魚竜を運びこんだ夜、シャーロットに口づけられて恋人になるが、夫の手紙が彼女をロンドンへ呼び戻す。母を亡くしたメアリーに、かつての恋人エリザベスは、自分のときのように手放してはいけないと言う。ロンドンで整えられた寝室を見て、金の鳥籠の飾りものにはならないと出ていく。大英博物館で、名もなく並ぶかつての魚竜の前、ふたりはガラス越しに見つめあう。

  • シアーシャ・ローナンシャーロット・マーチソン役

    夫に療養を命じられ、町に置いていかれた、ふさぎこんだ若い妻。メアリーとともに自分自身の時間を見いだす。

    シャーロット・マーチソンの物語

    宿の夜、シャーロットは夫ロデリックに、いまは次の子どもの時期ではないと拒まれる。夫は療養のために妻を町に残し、乗り気でない化石採集者に世話を託して旅立つ。浜へ出るメアリーについていき、海水浴のあと高熱を出して看病される。回復すると家の仕事を手伝い、モリーが磨く八つの置物が亡くした子どもたちだと知り、音楽会では町の人々と打ちとけ、メアリーはそれを窓の外から見ている。魚竜を運びこんだ夜、口づけるのは彼女のほうで、ふたりは恋人になるが、夫が彼女をロンドンへ呼び戻す。やがてメアリーを招き、整えた寝室を見せるが、メアリーは去る。大英博物館に、メアリーに似た服を着て現れ、ふたりはガラス越しに見つめあう。

  • フィオナ・ショウエリザベス・フィルポット役

    メアリーの年上の友人で、かつての恋人。二度と愛をあきらめてはいけないと彼女を諭す。

  • ジェマ・ジョーンズモリー・アニング役

    メアリーの病身の母。店を手伝い、亡くした八人の子どものための日々の儀式を欠かさない。

  • ジェームズ・マッカードルロデリック・マーチソン役

    シャーロットの夫で地質学者。メアリーの仕事に敬意を払い、旅のあいだ妻を彼女に預ける。

この作品が問いかけるもの

『アンモナイトの目覚め』は、私生活がほとんど知られていない実在の女性に、ひとつの恋を想像して与える。映画がもっとも痛みをこめて描くのは、最後の場面だ。大英博物館に展示された魚竜のどこにも、見つけたメアリーの名はない。アニングのセクシュアリティを示す証拠はなく、その描き方には疑問も出た。遠い親戚のふたりの意見が分かれたとも報じられた。監督のフランシス・リーは、クィアの歴史はいつも「異性愛に矯正」されてきたと応じ、異性愛を前提にするときには証拠を求めないのはなぜかと問い返した。その議論の下で映画が見つめ続けるのは、階級と所有の問題だ。女性がつくりだしたものを誰が手に入れるのか。化石であれ、部屋であれ、人生であれ。ふたりが別れるのは醜聞のせいではない。金の鳥籠として差し出される愛は、それでも鳥籠だからだ。