チューインガム
Chewing Gum
ストーリー
結末まで書いています。
ペンテコステ派の家庭で育ったロンドン団地の24歳が、初体験を目指して失敗し続ける。
トレイシー・ゴードンは24歳。ロンドンの公営団地の小さな商店で働き、まだ男性経験がない。信心深い母ジョイのもとで、さらに信心深い妹シンシアと育ち、同じ信仰を持つ婚約者ロナルドとは六年の付き合いになるが、彼は彼女に触れようともしない。親友キャンディスの手でビヨンセ風に変身し、ロナルドを誘惑しようとするが、彼女の目をとらえたのは団地の路上詩人コナーだった。トレイシーはついにロナルドと別れる。彼が彼女に関心を示さなかったのには理由があった。彼は同性愛者だったのだ。コナーとは、初めての不器用な触れ合いのあとの妊娠騒ぎから、三人でのセックスの計画まで、何をしても失敗に終わる。母に家を追い出されたトレイシーは、キャンディスと祖母エスターの家に転がり込む。コナーは一緒に暮らしたいと願っている。第1シーズンの最後は、シンシアとロナルドの結婚式の日だ。妹にひどい過ちを犯させまいとトレイシーは動き出すが、その必要はなかった。祭壇の前で、ロナルド自身が同性愛者だと宣言し、結婚式は取りやめになる。
第2シーズンはその三か月後。ホームレスの保護施設にもいたトレイシーが団地に戻ると、キャンディスは怒っていて、母は家に入れてくれず、コナーには新しい恋人がいる。彼女は人気ラッパーと付き合っているふりをする。家に戻るための母の試練を受け、パーティーの流れでセックスクラブに行き着き、近所の犬と仲良くなり、キャンディスの恋人の父親にのぼせ上がる。そのあいだにシンシアは自分の性に目覚め、姉より先に初体験を済ませてしまう。
最終回、トレイシーは新しい恋人がいるままのコナーとひととき心を通わせたあと、「少年ではなく大人の男」に出会おうと読書会に入り、そこで出会った魅力的なレミを追いかける。彼と関係を持ったあとで、彼女はレミが16歳だと知る。うろたえたトレイシーは警察に自首しようとし、16歳なら犯罪にはあたらないと告げられる。物語はここで終わり、第3シーズンは作られなかった。
主な出演
ミカエラ・コールトレイシー・ゴードン役
厳格な信仰の家で育った24歳の店員。初体験を果たし、世の中を知ろうと心に決める。
トレイシー・ゴードンの物語
トレイシーはビヨンセ風に変身して、手も触れようとしない婚約者ロナルドを誘惑するが、驚かせただけだった。入院した彼が男性看護師に夢中なのを見て別れ、詩人志望のコナーのもとへ走る。だがコナーとは何もかもうまくいかない。不器用な触れ合いのあとの妊娠騒ぎ、打開を狙った三人での夜、彼が失敗に終わる詩の朗読会。母に家を追い出され、一緒に暮らそうというコナーの誘いは断る。妹シンシアの結婚式では、ロナルド自身が祭壇で同性愛者だと告げる。三か月後に戻ると、コナーには新しい恋人がいる。妹に先を越されたあと、コナーと唇を重ね、読書会で出会ったレミと関係を持ってから、彼が16歳だと知る。自首しようとした彼女は、犯罪にはあたらないと告げられる。
ロバート・ロンズデールコナー・ジョーンズ役
団地の路上詩人。トレイシーと恋に落ちるが、ふたりのことは何ひとつ思い通りに進まない。
コナー・ジョーンズの物語
団地で詩を書くコナーの母マンディは、息子の過去の恋愛話でトレイシーをひるませる。トレイシーはロナルドと別れて彼を選ぶが、ふたりのあいだでは何もかもが裏目に出る。ぎこちない最初の触れ合い、三人での夜で解決しようとした寝室の悩み、彼女が勝手に申し込んだ詩の朗読会での失敗。彼の訪問がもとで、トレイシーは母に家を追い出される。一緒に暮らせるように仕事を見つけるが、彼女は断り、それでも妹の結婚式の日にはふたりなりに仲直りする。三か月後に彼女が戻ると、彼にはエマという新しい恋人がいる。人気ラッパーが彼女の恋人だとしばらく信じ込み、何がいけなかったのかを聞き出そうと自分も嘘をつく。最後の回、エマと付き合ったまま、彼はトレイシーと唇を重ねる。
スーザン・ウォーコマシンシア役
世間知らずで神を恐れるトレイシーの妹。ロナルドとの結婚を控え、やがて自分なりに性を知っていく。
シンシアの物語
シンシアは姉のトレイシー以上に信心深い。姉が面接に出かけた日に店番を任され、散々に終わったその一日を悪魔払いで締めくくる。借りた姉のパソコンでは、そこに残された性的な画像に心を乱される。やがて姉の元婚約者ロナルドとの婚約を打ち明けるが、式の当日、祭壇の前でロナルドは自分が同性愛者だと告げ、結婚は取りやめになる。のちに彼女は彼に謝罪を求める。第2シーズン、彼女は自分なりに性に目覚め、姉より先に初体験を済ませて、姉を複雑な気持ちにさせる。最後の回では、その一夜の相手と再び顔を合わせる。
ショラ・アデューウシージョイ役
トレイシーとシンシアの信心深い母。トレイシーを家から追い出し、戻るための試練を課す。
ジョン・マクミランロナルド役
六年来のトレイシーの信心深い婚約者。彼女と関係を持とうとせず、同性愛者であることを隠している。
この作品が問いかけるもの
『チューインガム』は、自分の身体は危ういものだと教えられてきた女性が、24歳にして自分の目で確かめようと決める物語だ。ミカエラ・コールは自作の戯曲をもとにこの作品を書き、主演女優賞と新人脚本家としての賞、ふたつの英国アカデミー賞を受けた。欲望が解決すべき問題ではなく笑いの原動力になる、若い黒人の労働者階級の女性を、イギリスのテレビにもたらした。信仰を外から嘲りもしない。ジョイとシンシアは滑稽で、そして愛されている。団地は犯罪の舞台ではなく、ひとつの共同体として描かれる。最終回は大きな危険を冒す。待ちわびた初体験の相手は16歳の少年で、ドラマはトレイシーに警察へ打ち明けに行かせ、それを笑いの落ちではなく、向き合うべき過ちとして扱う。成長を許されなかった人が一度に大人になるとはどういうことか。その問いが残る。