イージー
Easy
ストーリー
結末まで書いています。
シカゴのカップルたちが即興で3P、別れ、元恋人を描いた漫画の倫理を演じる。
『イージー』は、シカゴを舞台にした三十分ほどの物語を集めたアンソロジーだ。多くは、恋と性、そしてその両方を生かし続けるために人が交わす取り決めについての話で、台詞は短い筋書きをもとに即興で演じられる。いくつかのカップルは三シーズンを通して何度も登場する。
結婚十五年、子ども二人のカイルとアンディは、すっかり静かになった性生活から物語を始める。家にいるのはカイルで、働くのはアンディだ。第2シーズン、カップルセラピーを経て、ふたりは結婚を開かれたものにする。第3シーズンには、カイルはエイミーという女性に本気になり、アンディが追いかけた昔なじみのライアンは自分の結婚を壊し、彼女を失望させる。ふたり最後の物語で、彼らはバーで顔を合わせる。アンディは寂しいと言い、カイルは一対一の関係にはもう戻れないと言う。それでもふたりは愛を確かめ合って店を出る。何ひとつ決まらないままに。
ジェフとマットの兄弟はガレージで違法なビール醸造を始める。成功と父親になることと、事業の拡大をめぐる口論がふたりを引き離す。最後には、再開発の進む近所から苦情が出て逮捕されたジェフが家で娘の世話をし、妻ノエルは自分の事業を始め、兄弟は父の死を機に和解する。もう誰にも必要とされていないと感じるグラフィックノベル作家ジェイコブ・マルコは、客のまばらなサイン会から若い女性との一夜へ流れ、世間の笑い者になる。最初の作品で裏切った元妻に歩み寄り、最後には、かつての教え子が自分との関係を容赦なく描いた作品を書いていると知る。若い女性同士のチェイスとジョーは、菜食をめぐって、次にはバーレスクとフェミニズムの芸術をめぐって言い争う。最終シーズン、まだ真剣な関係には踏み込めないと言ったチェイスは、ジョーが別の女性といるのを見て、結局また彼女の隣のソファに座る。親子向けの歌い手アニーは、出会い系アプリを試したことのない夫婦トムとルーシーに三人での夜へ誘われる。のちに彼女は三十日間、誘ってくる誰にでもイエスと答え、ある人に出会う。
最終話は、第1シーズンで恋人ドリューを置いてロサンゼルスでのテレビの仕事を選んだ女優ソフィーの物語に戻る。彼女の番組は打ち切られた。一晩だけシカゴに戻った彼女は、ドリューに電話をかける。酒とキスのあと、ソフィーは帰ってきて家庭を持ちたいと言う。ドリューは、君を忘れることなどできなかったと告げながらも、その言葉を信じず、立ち去る。彼女は追いかけるが間に合わず、泣き崩れる彼女の姿で物語は終わる。
主な出演
マイケル・チャーナスカイル役
結婚十五年、家で子育てをする父親。開かれた関係の中に、手放したくないものを見つけてしまう。
カイルの物語
カイルは家で二人の子を育て、稼ぐのは妻アンディだ。結婚十五年、性生活はすっかり静かになっている。カップルセラピーのあと、アンディが結婚を開こうと言い出すと、彼は妻のためにそれに乗る。稽古に通う劇場の同僚エイミーをまっすぐ誘う勇気は出ないが、最初の夜は彼女と過ごし、帰ってアンディと寄り添い、ふたりは愛していると言い合う。第3シーズン、外に相手がいるのはカイルだけで、彼はエイミーに本気になっている。アンディが既婚の旧友ライアンを追い始めると、彼は脅かされ、身代わりにされたと感じる。バーで、もう一対一の関係には戻れないと告げる。それでもふたりは愛を確かめ合って店を出て、彼は残りの夜を彼女のためだけに使うと約束する。
エリザベス・リーサーアンディ役
カイルの妻で一家の稼ぎ手。結婚を開くことを提案した彼女が、かえって孤独を深めていく。
アンディの物語
一家を支えるアンディは、十五年目の結婚の静けさを破ろうと、友人の説にならって昔ながらの男女の役柄の仮装を試す。カップルセラピーのあと、結婚を開こうと決めたのも彼女だ。最初の夜、約束の相手には落胆するが、その前にバーで出会った男とは楽しく過ごし、帰ってカイルと寄り添う。第3シーズン、夫はエイミーに本気になり、彼女には誰もいない。そこへ、子どもの頃に憧れた、今は結婚しているライアンと再会する。彼女は彼を追い、写真を送る。写真は彼の妻の目に触れ、ライアンは妻を捨てて彼女を選ぼうとするが、彼は思い描いていたような男ではなかった。バーで、愛されたい、寂しいとカイルに打ち明けた彼女は、愛を確かめ合って夫と店を出る。何ひとつ決まらないまま。
マーク・マロンジェイコブ・マルコ役
自分本位なグラフィックノベル作家。自らの不実と、人生で関わった女性たちを作品の材料にしてきた。
ジェイコブ・マルコの物語
自分の人生も不実もそのまま描いて名を上げたジェイコブ・マルコは、もう誰にも必要とされていないと感じている。客のまばらなサイン会のあと、大学院生アリソンと一夜を過ごし、眠る自分との写真を彼女が作品にしたと知って激怒し、ネットに広まる醜態をさらす。最初の作品の新版が出ると、その題材となった元妻カレンと再会し、よりを戻したそうなそぶりを見せながら、ふたりの姿が話題になると宣伝に使う。やがて、十五年前に関係を持ったかつての教え子ベスが、彼を描いた作品を出すと知る。長年の友アナベルと寝た翌日には彼女を顧みず、ベスに会って原稿を読み、謝る。アナベルとも仲直りし、ふたりは関係を始めようとしている。
デイヴ・フランコジェフ役
コーヒー店で働く青年。兄とガレージでビール醸造を始め、やがて家で子育てをする父親になる。
ググ・バサ=ローソフィー役
シカゴの女優。恋人を置いてロサンゼルスでの仕事を選び、それが崩れたとき戻ってくる。
カーシー・クレモンズチェイス役
若い女性。恋人ジョーとの関係は、互いの信じる生き方とのあいだで何度もぶつかる。
この作品が問いかけるもの
『イージー』が描くのは、最初の熱が過ぎたあとも恋と性を生かし続けるために人が交わす取り決めだ。開かれた結婚、アプリで見つけた三人の夜、兄弟の商売、菜食をめぐって結び直される関係。ジョー・スワンバーグは数ページの筋書きだけを用意して俳優に即興で演じさせ、性の場面にも口論にも、本物のぎこちなさを与えた。完成前に俳優たちに場面を見せ、映されたくないものは外せるようにしたとも語っている。合意の上の非一夫一婦制を、笑いの種にも戒めにもせず、手間のかかる具体的な営みとして描く。その背骨がカイルとアンディの物語で、開かれた結婚を提案した側が、いちばん孤独になっていく。スワンバーグは、結末をあえて閉じなかったと語る。仕事を選んだ女性がシカゴの路上で泣く最後の姿は、すべてを手に入れることの本当の代償を問いかける。