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Cinema 月明かりの映画館

男らしさという名の仮面

The Mask You Live In

2015ドキュメンタリーアメリカ

465作品の星図のなかで見る

ストーリー

結末まで書いています。

アメリカの少年たちが「男らしくあれ」をどう学ぶか。『ミス・レプリゼンテーション』の姉妹編。

『男らしさという名の仮面』は、メディアにおける女性の描かれ方を扱った2011年の前作に続く、ジェニファー・シーベル・ニューサム監督の姉妹編だ。息子を身ごもったことをきっかけに企画され、製作費の一部はクラウドファンディングで集められた。冒頭に登場するのは、プロフットボールの守備の選手から高校のフットボール部の監督に転じたジョー・アーマン。幼いころ、父親に呼ばれて、感情を見せるのはやめて人を支配することを覚えろと言われた。「男になれ」という言葉ほどこの文化で破壊的な言葉はない、と彼は言う。

映画はまず、生物学的な性と社会的な性の違いを整理し、それから少年たちが柔らかな自分を埋めるよう教えこまれていく段階を順にたどる。泣けば「女々しい」と言われることを覚える幼い男の子たち。スポーツで自分を証明しようとし、あるいは酒や薬物で痛みを紛らわせる、ポルノに囲まれた十代。何がつらいのかを言葉にできなかった若者たち。いじめられた少年、自暴自棄になった少年がいて、周りから女っぽいと言われていた友人を遠ざけたことを悔やむ若者もいる。社会学者マイケル・キンメルや教育者ジャクソン・カッツらの専門家が、その育てられ方を、孤独や暴力、映画が「レイプ・カルチャー」と呼ぶものに結びつけ、少年は少女に比べて退学、過度の飲酒、暴力犯罪、そして自ら命を絶つことが多いという数字を示していく。

少年の共感する力は失われたのではなく埋もれているだけだ、というのが映画を貫く主張だ。終盤、映画は希望の側へ向きを変え、少年たちを違うやり方で育てようとしているコーチや指導者、父親たちを映す。次の世代が、もう仮面をかぶらずにすむように。

主な出演

  • ジョー・アーマン本人

    元プロフットボール選手で高校の監督。「男になれ」をこの文化で最も破壊的な言葉だと語る。

  • マイケル・キンメル本人

    社会学者。少年たちの話を、男らしさをめぐるより大きな文化に結びつける専門家のひとり。

  • ジャクソン・カッツ本人

    教育者・作家。男らしさの規範と女性への暴力との結びつきを語る論者のひとり。

この作品が問いかけるもの

この映画が名指すのは、見えやすいのに変えにくいものだ。感情は弱さであり、支配することが務めだと、少年たちが教えこまれていく過程である。映画は男らしさを、父親やコーチ、仲間、画面の向こうから受け継がれる規則の束として描き、その規則を現実の代償につなげていく。孤独、飲酒、他人への暴力、そして自分自身への暴力。その代償は少年たち本人にも、その周りの人々にも降りかかる。評価は分かれた。社会の病を少年時代の育て方に帰しすぎる、最後の答えが安易だという批判があり、どの教室でも見せるべきだという声もあった。いちばん力を持つのは、いちばん飾らない場面だ。少年や大人の男たちが、口にすることを許されなかった言葉をカメラの前で語る。残る問いは重い。仮面を外したあと、少年は何になればいいのか。そして、誰がそれを示すのか。