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Cinema 月明かりの映画館

腐女子、うっかりゲイに告る。

Fujoshi, Ukkari Gei ni Kokuru

2019ドラマ・シリーズ日本

465作品の星図のなかで見る

ストーリー

結末まで書いています。

ゲイであることを隠す高校生と、告白した腐女子。優しさと残酷さ。

安藤純は十八歳、東京の高校三年生だ。同性愛者であることを、女手ひとつで育ててくれた母・陽子にも、幼なじみの亮平にも隠している。純には、妻子を持ち世間には異性愛者として生きる男性・マコトという秘密の恋人がいる。ネット上には、同じゲイでクイーンを愛する「ミスター・ファーレンハイト」という友人もいる。書店でボーイズラブの漫画を買うクラスメイトの三浦紗枝を見かけた純は、みんなには黙っていてと頼まれる。紗枝は純をイベントや水族館に誘い、やがて恋をして告白する。周りが当然と思う「普通」の人生を望む純は、紗枝と付き合い始め、マコトには会うのをやめたいと告げる。

紗枝との温泉旅行で、純はマコトと鉢合わせする。そこへファーレンハイトから遺書が届く。年上の恋人がエイズで亡くなり、自分も命を絶つという。そして彼は亡くなる。打ちのめされた純はマコトにすがり、ふたりが口づけするところを紗枝に見られてしまう。紗枝はひどい言葉を投げつけて走り去り、クラスには噂が広まり、同級生の小野は純を責める。小野と激しくぶつかったあと、純は学校で自ら命を絶とうとする。命は助かったが、大けがを負う。病室で母は、男の人が好きなんだってね、と語りかけ、純は抱えてきた思いをようやく打ち明ける。

紗枝は美術のコンクールで入賞し、終業式で表彰される。壇上に立った紗枝は、自分はボーイズラブが大好きだと宣言し、その理由を語り始める。止めようとする教師たちを、亮平と友人たちが押しとどめる。小野がマイクを奪って純をなじり、壇上に呼びつけると、純は紗枝のもとへ行き、ありがとうと伝える。そのあと純と紗枝は、海辺の町のファーレンハイトの家を訪ね、遺影を見て、彼が十五歳の中学生だったと知る。恋人を名乗っていた年上の男は大人で、それは子どもへの虐待だった。浜辺で純は、逃げるのではなく自分を試すために大阪へ行くと告げ、紗枝は先に別れを切り出す。純は亮平に、大好きだけれど付き合いたいと思ったことは一度もないと伝える。妻と純が溺れていたら妻を助けると、マコトは答える。旅立つ前、純は紗枝の描いた絵を見に行く。そこには、水族館でペンギンに手を伸ばす自分が描かれていた。四月、大阪の大学の教室で、純は自己紹介に立つ。その先を彼が何と言ったのかは描かれない。

主な出演

  • 金子大地安藤純役

    同性愛者であることを隠している高校三年生。クイーンを愛し、既婚の男性とひそかに付き合っている。

    安藤純の物語

    純が心を許すのは、マコトと、ネットでしか知らないファーレンハイトだけだ。「普通」の人生を望んで紗枝と付き合い始め、マコトには会うのをやめたいと告げる。紗枝との温泉旅行の日、ファーレンハイトから、自ら命を絶つという知らせが届き、彼は本当に亡くなる。打ちのめされてマコトにすがる姿を紗枝に見られ、クラスでは責められる。小野と激しくぶつかったあと、純は学校で自ら命を絶とうとする。命は助かり、病室で母に本当のことを話す。終業式で紗枝が全校生徒の前で自分のことを語ると、壇上に上がって礼を言う。紗枝の別れの言葉を受け入れ、妻を助けると答えたマコトと別れて、大阪へ旅立つ。四月、大学の教室で自己紹介に立つ。その先は描かれない。

  • 藤野涼子三浦紗枝役

    純のクラスメイト。ボーイズラブを愛する腐女子で、純がゲイと知らずに告白する。

    三浦紗枝の物語

    紗枝は小学生のころからボーイズラブを愛し、それを誰にも隠している。書店で純に見られ、黙っていてと頼んだことから、ふたりは親しくなる。イベントや水族館に誘ううちに恋をして告白し、付き合い始める。温泉旅行の先で、純がマコトと口づけするのを見てひどい言葉を投げつけ、走り去る。純が自ら命を絶とうとしたあと、終業式の壇上で全校生徒に向かってボーイズラブが大好きだと宣言し、透明な壁の向こうでみんなを守ってきた純のことを語り始める。純は壇上に来てありがとうと言う。浜辺で、大阪へ行くと告げた純に、振ったのは私だからね、と先に別れを切り出す。賞を受けた彼女の絵には、水族館でペンギンに手を伸ばす純が描かれていた。

  • 谷原章介佐々木誠役

    純のパートナー。妻子があり、ゲイであることを隠して生きる自分を「卑怯なコウモリ」と呼ぶ。

  • 小越勇輝高岡亮平役

    純の幼なじみでクラスメイト。純の秘密が明るみに出ても、そばに立ち続ける。

  • 安藤玉恵安藤陽子役

    純を育ててきたシングルマザー。親友のような存在で、純は母を悲しませまいと秘密を抱える。

  • 小野賢章ファーレンハイト(声)役

    チャットだけでつながる純の友人。同じく同性愛者で、クイーンを愛する。

この作品が問いかけるもの

『腐女子、うっかりゲイに告る。』は、何かのせいで好かれることと、その人として好かれることの違いをめぐる青春ドラマだ。紗枝は物語のなかの男同士の恋を愛しているが、現実のゲイの少年と向き合うことになる。純は、周りが当然だと思っている「普通」の人生を望み、それを装うことの代償を知る。自身もゲイであることを公表している原作者の浅原ナオトは、同性愛者をばかにする人がこの本を手に取り、マイノリティについて考えてくれることを期待したと語っている。ドラマはアウティング、親を悲しませることへの恐れ、ゲイの十代の孤独を真ん中に置き、自殺からも目をそらさない。ギャラクシー賞や、コンフィデンスアワード・ドラマ賞の脚本賞などを受けた。残るのは、最後の場面で見知らぬ人たちを前にした純に託された問いだ。自分のことを、どこまで口にするのか。