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Cinema 月明かりの映画館

不適切にもほどがある!

Extremely Inappropriate!

2024ドラマ・シリーズ日本

465作品の星図のなかで見る

ストーリー

結末まで書いています。

1986年の体育教師が2024年へ。コンプライアンス社会と衝突するミュージカル・コメディ。

1986年。小川市郎は葛飾区の中学校の体育教師で、野球部の顧問だ。たばこを吸い、怒鳴り、生徒に手を上げ、思ったことを口にする。「地獄のオガワ」と呼ばれる男やもめで、長いスカートのスケバン、17歳の娘・純子と暮らしている。ある日、帰りに乗ったバスが彼を2024年へ運んでしまう。行きつけだった喫茶店で、テレビ局のアシスタントプロデューサーでシングルマザーの犬島渚と出会った市郎は、店のトイレの壁に開いた穴から昭和へ戻る。

バスはタイムマシンだった。市郎は二つの時代を行き来する。令和では、純子が想いを寄せる地元の先輩・ムッチの息子で、アプリ開発者の秋津真彦の部屋に転がり込み、テレビ局のカウンセラーになる。失言を恐れて口を開けない社員たちの悩みを、市郎の遠慮のない言葉が切り開いていく。回ごとに、その論争は歌になる。一方、2024年から来たフェミニストの社会学者・向坂サカエと中学生の息子キヨシは昭和で暮らしている。キヨシは純子に恋をし、学校に来なくなった同級生を教室へ連れ戻す。

やがて渚の父・ゆずるが、市郎を「お父さん」と呼ぶ。渚は純子の娘、市郎の孫だった。そして令和に、市郎も純子もいない。1995年1月16日、市郎はそれまで認めなかった娘婿と和解するために神戸を訪れ、終電を逃して泊まった翌朝、純子とともに阪神・淡路大震災で亡くなっていた。バスを作ったのは、市郎の教え子でサカエの元夫、井上昌和だった。打ちのめされながらも、市郎は事実を受け止める。純子を令和に連れて行き、大人になった娘に会わせる。昭和に戻った純子はスケバンをやめ、猛勉強の末に大学に合格する。

タイムマシンの予算は打ち切られ、燃料は最後の一往復分だけ。パワハラで訴えられ謹慎中の渚は市郎とともに昭和へ行き、口の周りのケチャップを拭いてくれる母・純子に名前を呼ばれる。渚はキヨシと令和へ帰り、誰もが自分の時代に戻る。令和では、かつてキヨシが学校へ連れ戻した同級生がゲーム会社で成功し、井上の研究を支援する。渚と真彦は、市郎がこっそり設定したマッチングアプリがきっかけで付き合い始める。昭和の市郎は、かつての自分の流儀がばかばかしく思えて生徒に手を上げるのをやめ、未来のことを語る。ある夜、喫茶店のトイレの壁にまた穴が開き、2054年から老いた井上が現れる。どの時代へも行けるトンネルだという。市郎はその穴に入っていく。

主な出演

  • 阿部サダヲ小川市郎役

    1986年の中学の体育教師で、「地獄のオガワ」と呼ばれる男やもめ。昭和の流儀のまま令和に迷い込む。

    小川市郎の物語

    市郎は生徒に手を上げ、どこでもたばこを吸い、思ったことをそのまま口にする。バスで2024年に運ばれた彼は、その物言いでテレビ局のカウンセラーになり、疲れ切ったシングルマザーの渚が職場の改善を勝ち取るのを後押しする。渚に惹かれるが、口づけの寸前に電流が走り、渚の父に「お父さん」と呼ばれる。渚は孫で、自分と娘の純子は1995年の阪神・淡路大震災で死ぬのだと知る。純子を令和に連れて行き、大人になった娘の渚に会わせ、最後の燃料は渚を母に会わせるために使い、渚のマッチングアプリをこっそり設定する。昭和に戻った市郎は生徒に手を上げるのをやめ、未来の話をして聞かせる。やがて2054年から来た井上を追い、時のトンネルに入っていく。

  • 仲里依紗犬島渚役

    2024年を生きるシングルマザーで、テレビ局のアシスタントプロデューサー。市郎の孫だった。

    犬島渚の物語

    渚は、昭和から来た見知らぬ男にビールを飲まれ、あんたにしてほしいことが俺にできることだと言われて、その手を借りる。職場の改善を訴えて仕事を続け、息子の親権も守る。市郎に惹かれるが、口づけの寸前に電流が走り、父のゆずるが市郎を「お父さん」と呼ぶ。母の純子は、幼い渚を残して、市郎とともに震災で亡くなっていたのだ。令和に来た17歳の母と、ナポリタンを食べる。後輩へのパワハラを認定されて休職処分を受け、昭和へ渡ると、純子に口の周りのケチャップを拭かれ、「渚」と名前を呼ばれる。令和で仕事に戻った渚は、後輩と笑顔で言葉を交わし、真彦と付き合い始める。

  • 河合優実小川純子役

    市郎の17歳の一人娘。長いスカートのスケバンで、令和で自分の未来を垣間見る。

    小川純子の物語

    純子がたばこも酒もやる不良になったのは、母の病死のあと抜け殻のようになった父の気を紛らわすためだった。地元の先輩ムッチに想いを寄せ、令和から来たキヨシには一目惚れされる。父に好きな人がいると見抜いて、未来へ行く背中を押す。令和に連れて行かれると、まだ産んでいない娘と出会い、ナポリタンを食べながら子どもが大好きだと話す。父を笑いものにする番組の収録を止め、無銭飲食で店員にかみついて留置場に入る。昭和に戻るとムッチを振り、スケバンをやめて猛勉強し、大学に合格する。渚が訪ねてくると、その口の周りのケチャップを拭いて名前を呼ぶ。父が知った未来では、1995年1月、神戸で父とともに震災に遭い、幼い渚を残して亡くなる。

  • 吉田羊向坂サカエ役

    2024年から来たフェミニストの社会学者。息子と昭和で暮らし、その女性蔑視に怒りをぶつける。

  • 磯村勇斗秋津睦実/秋津真彦役

    二役。純子が想いを寄せる昭和の先輩と、令和で市郎を居候させるその息子のアプリ開発者。

  • 坂元愛登向坂キヨシ役

    サカエの息子の中学生。昭和で純子に恋をし、不登校の同級生を学校へ連れ戻す。

この作品が問いかけるもの

『不適切にもほどがある!』は、ハラスメントを両方の側の言葉で語る喜劇だ。宮藤官九郎は、生徒に平気で手を上げる昭和の教師と、人を傷つけることを恐れるあまり口も開けない令和の職場を並べ、それぞれの時代に互いを照らさせる。毎回何度も挿入された「不適切な表現」への注意テロップはそれ自体が名物になり、最終話の最後には、2024年当時の表現をあえて使用したという一文が、未来から振り返るように添えられた。略称の「ふてほど」は2024年の新語・流行語大賞の年間大賞に選ばれ、現実の企業の不祥事にも使われた。風刺の下には、もっと静かなものがある。自分と娘の死ぬ日を知った男が、怒り狂うのではなく、目の前の子どもたちへの接し方を変えるために帰っていくのだ。