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Cinema 月明かりの映画館

パターソン

Paterson

2016映画アメリカ

465作品の星図のなかで見る

ストーリー

結末まで書いています。

詩を書くバス運転手と、すべてを白黒に塗る妻。うまくいっている結婚の一週間。

ニュージャージー州パターソン。町と同じ名を持つパターソンは、路線バスの運転手だ。映画は、月曜日から次の月曜日までの彼の一週間を追う。6時過ぎに妻ローラの隣で目を覚まし、シリアルを食べ、車庫へ歩く。乗務の前や、パセーイク川の大滝を眺める昼休みに、肌身離さず持ち歩くノートに詩を書く。マッチ箱のこと、ローラのこと。バスの中では乗客の会話に耳を傾ける。夜はイングリッシュ・ブルドッグのマーヴィンを散歩させ、ドクの店でビールを一杯だけ飲む。

家じゅうを白黒の模様で埋め尽くすローラには、毎日のように新しい計画がある。ギターを注文してカントリー歌手を夢見たり、週末の市場で売るカップケーキを焼いたり。誰にも見せたことのない夫の詩を彼女は愛していて、コピーを取っておいてとせがむ。彼は週末にやると約束する。

一週間には、小さな出来事がいくつか起きる。ローラは双子を授かる夢を見る。バーでは常連のエヴェレットが、別れを告げたマリーにすがり続け、金曜の夜には自ら命を絶つと言い出す。パターソンは彼を取り押さえるが、手にしていたのはおもちゃだった。その日の昼には、電気系統の故障でバスが止まっていた。別の日には、道で家族を待つ少女が、秘密のノートに書いた自作の詩を聞かせてくれた。土曜日、ローラのカップケーキはよく売れ、ふたりは夕食と古い映画でお祝いをする。帰宅すると、ソファに置き忘れたノートをマーヴィンが粉々に引き裂いていた。詩はすべて失われた。

日曜日、パターソンはひとりで滝へ歩き、いつものベンチに座る。隣に腰を下ろした日本人の男は、ウィリアム・カーロス・ウィリアムズの詩集『パターソン』を読んでいて、詩について語りはじめる。あなたは詩人かと問われ、パターソンは違うと答える。男は贈り物だと言って白紙のノートを差し出し、白紙のページに可能性が広がることもある、と言い残して去る。パターソンはそのノートに新しい詩を書く。そして月曜日、また一週間が始まる。

主な出演

  • アダム・ドライバーパターソン役

    ニュージャージー州パターソンのバス運転手。秘密のノートに詩を書き、妻のほかには誰にも見せない。

    パターソンの物語

    パターソンの毎日はほとんど変わらない。6時過ぎに目を覚まし、ローラに口づけして車庫へ歩く。路線をたどり、滝のそばで昼食をとり、夜はマーヴィンを散歩させてドクの店でビールを一杯だけ飲む。乗務の前や昼休みには、マッチ箱や妻のことを詩に書く。乗客の会話に耳を傾け、自作の詩を聞かせてくれる少女に感じ入り、次々に変わるローラの計画を笑わずに受けとめる。詩のコピーは週末に取ると約束する。金曜日にはバスが故障し、バーでは思いつめたエヴェレットを取り押さえる。銃はおもちゃだった。土曜の夜、ノートはマーヴィンに引き裂かれている。日曜日、滝のベンチで、自分は詩人ではないと日本人の男に答え、贈られた白紙のノートに新しい詩を書く。

  • ゴルシフテ・ファラハニローラ役

    パターソンの妻。家を白黒の模様で彩り、カップケーキとカントリー歌手の夢を追う。

    ローラの物語

    ローラの毎日には、いつも新しい計画がある。月曜の朝には双子を授かる夢を語り、やがてカントリー歌手になりたいとギターを注文し、週末の市場で売るカップケーキを焼く。カーテンも壁も白黒の模様で塗り、服も自分で作る。自分で考えたパイを夫にふるまうが、それは彼の口に少し合わない。誰も読んだことのない夫の詩を愛していて、コピーを取っておいてと何度もせがむ。彼は週末にやると約束する。土曜日、カップケーキはよく売れ、ふたりはお祝いに食事と古いホラー映画に出かける。帰宅すると、夫のノートがマーヴィンに粉々に引き裂かれている。彼女の一週間は、カップケーキの成功と、愛した詩の喪失とともに終わる。

  • バリー・シャバカ・ヘンリードク役

    パターソンが犬の散歩の途中、毎晩ビールを一杯だけ飲みに寄るバーの店主。

  • ウィリアム・ジャクソン・ハーパーエヴェレット役

    バーの常連。去っていったマリーを取り戻そうと必死で、金曜の夜に思いつめる。

  • 永瀬正敏日本からやって来た詩人役

    滝のそばでウィリアム・カーロス・ウィリアムズを読む日本からの旅人。パターソンに白紙のノートを贈る。

この作品が問いかけるもの

『パターソン』が描くのは、うまくいっている結婚と、誰にも読まれない創作だ。ジム・ジャームッシュは、バス運転手の決まりきった毎日と彼の内面を並べ、そのあいだに対立を見ない。路線も、弁当箱も、夜の一杯のビールも、詩の生まれる場所なのだ。この結婚は、互いの違いへの寛さの上に成り立っている。ローラの計画は日ごとに変わり、パターソンはそれに加われないときでも、笑わずに受けとめる。犬がノートを引き裂いたとき、その喪失は本物で、映画はそれをごまかさない。慰めのかわりに差し出されるのは、見知らぬ人の白紙のページだ。2016年のカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品された。残る問いは穏やかで、同時に難しい。誰にも読まれない仕事にも意味はあるのか。相手を変えようとせずに愛するとは、どういうことか。