ロブスター
The Lobster
ストーリー
結末まで書いています。
独身者は45日以内に相手を見つけなければ動物に変えられる。日本の外で作られた最も鋭い婚活風刺。
独り身でいることが許されない世界。妻に去られたデヴィッドは、犬の姿になった兄ボブを連れて、あるホテルへ送られる。支配人の説明によれば、滞在者は45日以内に相手を見つけなければ、自分で選んだ動物に変えられる。デヴィッドが選ぶのはロブスターだ。自慰は禁じられ、メイドによる性的な刺激は決まりとして行われる。ダンスパーティーがあり、夫婦でいることの利点を説く催しがある。森に暮らす独身者をひとり捕まえるごとに、期限は一日延びる。相手選びの決め手は、足が悪い、滑舌が悪い、鼻血が出やすいといった、共通のささいな特徴だ。
デヴィッドは足の悪いジョンや、滑舌の悪いロバートと知り合う。ジョンは鼻血の出やすい女性の気を引くため、同じ体質を装う。デヴィッドは、ホテルでいちばん冷酷な女に近づくことにし、自ら命を絶とうとした滞在者の苦しみを楽しむふりをしてみせる。女は喉を詰まらせたふりをし、彼が助けようとしないのを見て、相性がいいと決める。ふたりはカップル用の部屋に移る。だがある朝、女はボブを殺す。涙を流すデヴィッドに、この関係は嘘だったと言い放ち、支配人のもとへ引きずっていこうとする。独身者たちと通じていたメイドの助けを借り、デヴィッドは女を眠らせて動物に変え、森へ逃げる。
森の独身者たちは恋愛を禁じ、破れば厳しく罰する。そこでデヴィッドは、近視の女と恋に落ちる。ふたりは身ぶりだけの秘密の言葉を作る。夫婦を装って町へ出る任務は、ふたりのひそかな楽しみになり、やがてふたりは逃げる計画を立てる。だが女の日記を読んだリーダーは、近視を治す手術と偽って彼女を町へ連れ出し、失明させてしまう。女はリーダーに襲いかかるが、盾にされたメイドが命を落とす。デヴィッドと女は、ほかに共通点を探すが見つからない。デヴィッドはリーダーを縛り上げて墓穴に置き去りにし、野犬に任せて、女と町へ逃れる。レストランで彼は洗面所へ向かい、彼女と同じになるために自分の目を見えなくしようとする。彼がそうするのかどうかを見せないまま、映画は終わる。
主な出演
コリン・ファレルデヴィッド役
妻に去られ、45日以内に相手を見つけなければロブスターになる運命でホテルに送られた男。
デヴィッドの物語
デヴィッドは犬になった兄ボブを連れてホテルに着き、なりたい動物にロブスターを選ぶ。いちばん冷酷な女の気を引くため、自ら命を絶とうとした滞在者の苦しみを楽しむふりをし、女が喉を詰まらせたふりをしても助けない。だが女はボブを殺し、涙を流した彼を罰に突き出そうとする。彼はメイドの助けで女を動物に変え、森へ逃げる。恋愛を禁じる独身者たちのなかで、近視の女と恋に落ちる。リーダーが彼女を失明させると、ふたりはほかの共通点を探すが見つからない。彼はリーダーを縛って墓穴に置き去りにし、野犬に任せて、女と町へ逃れる。レストランで、彼女と同じになるために洗面所へ向かい、自分の目を見えなくしようとする。映画はその結果を見せずに終わる。
レイチェル・ワイズ近視の女役
森に暮らす独身者で、物語の語り手。同じ近視であることから、デヴィッドと恋に落ちる。
近視の女の物語
近視の女は、デヴィッドの物語を語る声でもある。彼女は森の独身者たちとともに、恋愛を罰するリーダーのもとで暮らしている。ホテルから逃げてきたデヴィッドと恋に落ち、ふたりは人目を盗んで伝え合うための身ぶりの言葉を作る。夫婦を装って町へ出る任務はふたりの喜びになり、ふたりは逃げる計画を立て、彼女はそれを日記に書きとめる。日記を読んだリーダーは、近視の手術と偽って彼女を町へ連れ出し、失明させる。彼女はリーダーに襲いかかるが、盾にされたメイドが命を落とす。デヴィッドとほかの共通点を探しても、何も見つからない。彼に連れられて町へ出た彼女は、洗面所へ向かった彼が戻るのを、レストランの席で待ち続ける。
レア・セドゥ独身者たちのリーダー役
森の独身者たちを率いる冷徹な女。仲間の恋愛を容赦なく罰する。
オリヴィア・コールマンホテルのマネージャー役
ホテルの規則と儀式を取り仕切り、動物への変身を監督する支配人。
ベン・ウィショー足の悪い男(ジョン)役
足の悪い滞在者。相手を得るため、鼻血が出やすい体質を装う。
アンゲリキ・パプリア薄情な女役
独身者狩りでいちばん多くを捕らえた滞在者。自分と同じく冷酷に見えるデヴィッドを選ぶ。
この作品が問いかけるもの
『ロブスター』は、誰かとつがいになれという圧力を、文字どおりの制度にしてしまう。45日以内に相手を見つけられない独身者は、動物に変えられるのだ。ヨルゴス・ランティモスにとって初の英語作品で、2015年のカンヌ国際映画祭で審査員賞を受けた。この風刺は両方向に切りつける。ホテルは愛を、足が悪い、鼻血が出るといった、ひとつの共通点の照合に還元する。ホテルに背を向けた森の独身者たちもまた、同じ残酷さで孤独を強いる。どちらの側も、人がただ選ぶことを許さない。淡々とした語り口は笑いを誘い、結末は痛みを残す。ようやく愛を見つけた男は、それを守るために何を差し出すのか。残る問いは、合わせることの代償だ。ふたりでいるために、人は自分のどれだけを保つことを許され、どれだけを切り捨てるよう求められるのか。