プリシラ
Priscilla
ストーリー
結末まで書いています。
エルヴィスと出会ったとき14歳。少女が部屋のように“設え”られていく過程を見つめる。
西ドイツのバート・ナウハイムで、アメリカ軍に勤める継父と暮らす14歳のプリシラ・ボーリューは、あるパーティーでエルヴィス・プレスリーに引き合わされる。人気の絶頂にあった24歳の彼は、兵役の終わりを2か月後に控え、彼女に目をとめる。両親は年の差と相手の名声を心配するが、ふたりは会うようになる。大人の男が少女を手なずけていく、グルーミングだ。兵役を終えたエルヴィスが帰国すると、便りはほとんど途絶える。
1962年、エルヴィスは彼女をグレイスランドに招き、ラスベガスへ連れていく。両親には、前もって書いておいた絵はがきを付き人に投函させた。翌年、彼はプリシラの両親を説き伏せ、メンフィスの自分の父と継母の家で暮らしながら、カトリックの女子校で最終学年を終えさせる。グレイスランドの暮らしは快適で、そして孤独だ。エルヴィスは映画の撮影で何か月もロサンゼルスに行ったきりで、新聞は共演女優との噂を書きたて、彼はそれを映画の宣伝だと言う。プリシラは彼の祖母や使用人たちと親しくなる。突然の激昂と、そのあとの後悔と言い訳を、彼女は何度も目にする。体を求めても、君はまだ若すぎると彼は拒む。
1966年に彼は求婚し、1967年にふたりはラスベガスで結婚する。彼女はすぐに身ごもる。ふたりだけの時間がもっと欲しかったのに。1968年、エルヴィスがテレビでの復活に向けて準備を進めるなか、娘リサ・マリーが生まれる。処方薬への依存、不在、浮気は続き、ふたりは別々の生活を送るようになる。1973年、公演後のホテルの部屋を訪ねたプリシラは、薬でぼんやりした彼に力ずくで迫られ、やめてと拒む。彼女は、出ていくと告げる。ほかに男がいるのかと問う彼に、自分の人生を生きたいのだと答える。祖母と家政婦たちに別れを告げると、プリシラは車でグレイスランドの門を出ていく。門の外では、ファンたちが待っている。
主な出演
ケイリー・スピーニープリシラ役
西ドイツで暮らすアメリカ人の少女。14歳でエルヴィスと出会い、グレイスランドの中で大人になっていく。
プリシラの物語
西ドイツのパーティーで、24歳のエルヴィスは14歳のプリシラに目をとめ、言い寄りはじめる。大人の男が少女を手なずけていく、グルーミングだ。両親は不安を抱きつつ許す。1963年、彼の求めでメンフィスへ移って学校を終えると、グレイスランドが彼女の世界のすべてになる。服も髪型も彼が決め、薬を与えられ、何か月も置き去りにされ、浮気の噂は宣伝だと言いくるめられる。激昂と後悔を何度も目にする。結婚までは、君はまだ若すぎると言って彼女と寝ようとしない。1967年に結婚し、すぐに身ごもる。薬物依存と不在と浮気は続き、ふたりの心は離れていく。1973年、力ずくで迫られた夜のあと、彼女は自分の人生を生きたいと告げ、門の外に群がるファンの前を車で去る。
ジェイコブ・エロルディエルヴィス役
世界一有名な歌手。プリシラより10歳年上で、彼女に求愛し、その人生を自分に合わせて形づくっていく。
エルヴィスの物語
エルヴィスは24歳、兵役の終わりを2か月後に控えていたとき、西ドイツのパーティーで14歳のプリシラに目をとめ、手なずけはじめる。1962年、彼女をグレイスランドとラスベガスへ呼び寄せ、翌年には両親を説き伏せて彼女をメンフィスに住まわせる。服も髪型も自分で選び、薬を与え、撮影で何か月も留守にし、浮気の噂は宣伝だと言う。激昂のあとには後悔が続く。君はまだ若すぎると言って彼女と寝ることを拒み、1967年に結婚する。薬物依存と不在と浮気は続く。1973年、薬でぼんやりした彼は力ずくで彼女に迫り、出ていくと告げられると、ほかに男がいるのかと問う。彼女は、自分の人生を生きたいと答える。
ダグマーラ・ドミンスクアン・ボーリュー役
プリシラの母。娘に言い寄るスターに不安を抱きながら、最後にはメンフィス行きを許す。
アリ・コーエンキャプテン・ボーリュー役
西ドイツに駐留する将校で、プリシラの継父。エルヴィスに説得され、娘をグレイスランドへ送り出す。
この作品が問いかけるもの
『プリシラ』は、長くおとぎ話として語られてきた物語、スターと結婚した女学生の話を、少女の内側から語り直す。ソフィア・コッポラはプリシラ本人の回想録をもとに、本人を製作総指揮に迎え、カメラを彼女の目の高さに置く。屋敷での長い待ち時間。同じ男から届くやさしさと激昂。彼の好みに少しずつ作り替えられていく日々。映画は、古い物語がならしてきた問題を差し出す。24歳の男が14歳の少女を追い求めたこと。献身の顔をした支配。自分自身としてではなく、誰かの伴侶として育てられる若い女性。生前のリサ・マリー・プレスリーは、脚本が父を捕食者のように描いていると抗議した。ケイリー・スピーニーはヴェネツィア国際映画祭で女優賞を受けた。残る問いは、思春期のすべてを他人に合わせて形づくられた少女が、どうやって自分を見つけるのか、ということだ。