マテリアリスト 結婚の条件
Materialists
ストーリー
結末まで書いています。
ニューヨークの仲人が、裕福な投資家と貧しい元恋人の間で揺れる。セリーヌ・ソン監督の2作目は、恋愛を経済として扱う。
物語は先史時代から始まる。ひとりの男が、花で作った指輪を女の指にはめる。そして現代のニューヨーク。元女優のルーシー・メイソンは結婚相談所の腕利きのマッチメーカーで、これまでに9組の結婚をまとめてきた。顧客たちの高すぎる条件にうんざりし、自分の恋には冷めきっている。9組目の結婚式で、泣き出した花嫁を説き伏せて式へ送り出した日、彼女はふたりの男に出会う。新郎の兄で裕福な投資家のハリー・カスティーリョは、背が高く独身で、彼女に好意を寄せる。ルーシーは、それなら顧客になってはどうかとかわす。披露宴で給仕をしていたのは元恋人のジョン・ピッツ。売れない舞台俳優の彼とは、お金のことで別れていた。
ハリーは高級レストランで彼女を口説き、ふたりは恋人になる。だが、ルーシーが長年担当してきた顧客ソフィーが、紹介した男マークにデートのあと性的暴行を受け、相談所を訴える。上司のヴァイオレットはルーシーに4週間の休みを命じ、ソフィーとの接触を禁じる。それでも謝りに行ったルーシーを、ソフィーは、厄介な客を誰にでも押しつけるポン引きだとなじる。
アイスランド旅行の荷造りの最中、ルーシーはハリーの荷物に婚約指輪を見つけ、彼が20万ドルをかけて脚を延ばす手術を受けていたことを知る。気持ちは変わらない。それこそが問題だった。ふたりは互いの条件を満たしているから選び合っただけで、愛し合ってはいない。ふたりは穏やかに別れる。部屋を又貸ししていたルーシーはジョンを訪ね、彼の芝居のギャラでニューヨーク州の北部へ小旅行に出る。まぎれこんだ結婚式で、彼女はジョンにキスをする。ずっと愛していたと言う彼に、ルーシーは、あのころは彼にお金がないことが愛より重く感じられたのだと打ち明ける。
マークが家の前にいるというソフィーの電話で、ふたりは街へ戻る。ルーシーは接近禁止命令の申し立てを手伝い、ソフィーと和解する。ヴァイオレットからはニューヨークの事務所を任せたいと告げられるが、ルーシーは辞めるつもりでいた。セントラル・パークでジョンは花を編んで指輪にし、結婚を申し込む。ルーシーはうなずく。エンドクレジットでは、市役所で婚姻許可証を受け取るカップルたちの中に、ふたりの姿もある。
主な出演
ダコタ・ジョンソンルーシー・メイソン役
女優から転身したニューヨークの売れっ子マッチメーカー。条件で人を結んできた信念を、自分の恋で試される。
ルーシー・メイソンの物語
ルーシーは結婚相談所で9組の結婚をまとめてきたが、自分の結婚は勘定に入れていない。泣き出した花嫁を式へ送り出した日、新郎の兄弟で裕福なハリーの誘いをかわし、お金のことで別れた元恋人ジョンに再会する。やがてハリーと付き合うが、マークに引き合わせた顧客ソフィーが性的暴行を受けて相談所を訴え、禁じられても謝りに行った彼女は、ポン引きとなじられる。ハリーが脚を延ばす手術を受けていたと知ったとき、ふたりは条件で選び合っただけだと気づき、穏やかに別れる。ジョンにはキスをし、あのころは彼の貧しさが愛より重かったと打ち明ける。ソフィーと和解し、辞めるつもりでいた事務所を任せたいと告げられ、セントラル・パークでジョンの花の指輪を受け入れる。
クリス・エヴァンスジョン・ピッツ役
ルーシーの元恋人。売れない舞台俳優で、ケータリングの給仕をしながら今も彼女を想っている。
ジョン・ピッツの物語
ジョンは、ルーシーが縁を結んだ結婚式の披露宴で給仕をしている。いまも舞台に立ち、いまもお金がない。彼女の望む暮らしを彼が支えられないことで、ふたりは別れていた。ハリーと別れ、部屋を又貸ししていたルーシーが訪ねてくると、彼は芝居のギャラで北部への小旅行に誘う。まぎれこんだ結婚式でキスをされると、ずっと愛していたと告げ、望む暮らしを与えられない引け目を抱えながらも、ふたりの未来を思い描いてみせる。ソフィーのもとへ駆けつけたあと、もう一度やり直したいと言い、君を愛していると毎日自分に言い聞かせる、ふたりのためにもっと頑張ると約束する。セントラル・パークで彼は花を編んで指輪にし、結婚を申し込む。ルーシーはうなずく。
ペドロ・パスカルハリー・カスティーリョ役
ルーシーが縁を結んだ新郎の兄で、裕福な投資家。顧客が望む条件をすべて備えた男として彼女に近づく。
ハリー・カスティーリョの物語
ハリーは兄弟の結婚式で、独身の招待客に売りこむルーシーの話を耳にし、彼女に好意を示す。顧客になってはどうかとかわされても、高級レストランで口説き続け、なぜ自分なのかと問う彼女に本気だと答えて、恋人になる。アイスランド旅行の荷造りの最中、ルーシーは彼の荷物に婚約指輪を見つけ、その夜、彼が20万ドルをかけて脚を延ばす手術を受けていたことを知る。彼は手術を弁護し、それで気持ちが変わるのかと尋ねる。変わらない。そこが問題だった。ふたりは互いの条件を満たしているだけで、愛し合ってはいない。ふたりは穏やかに別れる。最後に、ハリーが相談所の顧客になったことが、ヴァイオレットからルーシーへの電話で明かされる。
ゾーイ・ウィンターズソフィー役
ルーシーの長年の顧客。相談所が引き合わせた男に、デートのあと性的暴行を受ける。
マリン・アイアランドヴァイオレット役
結婚相談所でのルーシーの上司。ソフィーの訴えを受けて、ルーシーに休みを命じる。
この作品が問いかけるもの
『マテリアリスト 結婚の条件』は、婚活市場の言葉を文字どおりに受けとめる。顧客たちは身長と収入で相手を選び、映画はその計算が行き着く先までついていく。選ばれるために脚を延ばす手術を受ける男。見知らぬ男に引き合わされ、性的暴行を受ける女。守れなかった顧客にポン引きと呼ばれるマッチメーカー。『パスト ライブス/再会』に続くセリーヌ・ソンの長編第2作で、製作費2000万ドルに対し1億800万ドルの興行収入をあげた。評価は分かれた。資本主義のもとでの求愛を描いた映画と読む批評家もいれば、性的暴行をめぐる筋の扱いを批判する声もあった。残る問いはこうだ。お金より愛を選ぶことは、計算から抜け出すことなのか。それとも、もうひとつの計算にすぎないのか。