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Cinema 月明かりの映画館

チャタレイ夫人の恋人

Lady Chatterley's Lover

2022映画イギリス、アメリカ

465作品の星図のなかで見る

ストーリー

結末まで書いています。

1950年代の日本で“チャタレイ裁判”を招いた小説を、コニーの側のベッドから撮る。

コンスタンス・リード、通称コニーは、准男爵クリフォード・チャタレイと結婚し、ロンドンから夫の領地ラグビーへ移り住む。姉のヒルダはこの結婚に反対だが、コニーは彼の進歩的なところを愛していると言う。ふたりが初めて結ばれた翌日、クリフォードは第一次世界大戦の前線へ戻っていく。数週間後、彼は下半身不随となり、性的な機能も失って帰ってくる。身のまわりの世話はコニーにしかさせず、彼女に歓びを与えうるほかの触れあいは拒む。

介護と孤独が、コニーを少しずつすり減らしていく。クリフォードは喪失の痛みを支配に変え、炭鉱の労働者にも使用人にも、そして外出さえ許そうとしない妻にも力をふるう。跡継ぎを望む彼は、妊娠のためだけに愛人をつくってはどうかと妻に持ちかける。疲れきった妹を見たヒルダは、看護人のボルトン夫人を雇い入れる。

キジのひなの様子を見に行かされたコニーは、森番のオリバー・メラーズと出会う。戦争から戻ると妻が出ていっていた、無口な男だ。ふたりは彼の小屋で恋人になり、コニーはその思いがけないやさしさに心を奪われる。妊娠に気づいた彼女は、夫の言う異国での情事で授かった子だと言えるよう、ヒルダとのヴェネツィア行きを提案する。利用されたと思うオリバーに、コニーは欲しいのはあなただけだと告げる。オリバーの妻と暮らす男が戦争年金の分け前を求めて小屋に現れ、コニーの痕跡を見つけて酒場で言いふらす。クリフォードは、コニーが旅立つ間際にオリバーを解雇する。オリバーを愛している、彼の子を宿している、と告げる妻に、夫はけっして離婚はしないと言い放つ。

ヴェネツィアでも噂はコニーを追ってくる。森番のためにすべてを捨てた貴婦人がいる、と。数か月後、イングランドに戻った彼女のもとにオリバーから手紙が届く。スコットランドで仕事と家を見つけた、来てほしい、と。コニーは車で北へ向かい、彼を見つけ、ふたりは抱きあう。原作の小説はふたりを離ればなれのまま待たせて終わるが、映画はふたりを再会させる。

主な出演

  • エマ・コリンコニー(チャタレイ夫人)役

    下半身不随で支配的な夫に縛られた若い妻。領地の森番とのあいだに、結婚が閉ざしてきたやさしさを見いだす。

    コニー(チャタレイ夫人)の物語

    コニーは、進歩的なところを愛していると言ってクリフォード・チャタレイと結婚する。翌日、夫は前線へ戻り、下半身不随となって帰ってくる。世話は妻にしかさせず、彼女に歓びを与えうるほかの触れあいは拒み、外出さえ許そうとしない。すり減った彼女は、キジのひなを見に行かされた先で、森番のオリバー・メラーズと思いがけないやさしさに出会う。身ごもると、夫が勧めた異国での情事の子だと言えるようヴェネツィア行きを計画するが、発つ前に夫に告げる。オリバーを愛している、彼の子を宿している、と。夫は離婚しないと言い放つ。数か月後、噂に疲れた彼女にオリバーの手紙が届き、彼女は車でスコットランドへ向かって、彼を見つける。

  • ジャック・オコンネルオリバー・メラーズ役

    ラグビーの森番。妻に去られた無口な復員兵で、コニーの恋人になる。

    オリバー・メラーズの物語

    オリバーは、ラグビーの森の小屋でひとりキジを育て、ほとんど口をきかない。ひなを見に来たチャタレイ夫人とのあいだに、たちまち何かが通いあい、ふたりは小屋で恋人になる。彼は彼女にやさしい。だが、身ごもった子を異国での情事の子に見せかけるためのヴェネツィア行きを打ち明けられると、跡継ぎのために利用されたのだと思いこむ。欲しいのはあなただけ、と彼女は言う。まだ離婚していない妻の新しい男が戦争年金の分け前を求めて小屋に現れ、コニーの痕跡を見つけて酒場で言いふらし、彼はクリフォードに解雇される。数か月後、スコットランドで仕事と家を見つけた彼は、来てほしいと手紙を書き、訪ねてきた彼女と抱きあう。

  • マシュー・ダケットクリフォード・チャタレイ役

    コニーの夫で、戦争で下半身不随になった准男爵。喪失を、周囲の人々への支配に変えていく。

    クリフォード・チャタレイの物語

    准男爵クリフォードは、その進歩的なところにコニーが惹かれて結婚した相手だ。初夜の翌日に前線へ戻った彼は、下半身不随となり、性的な機能も失って帰ってくる。世話はコニーにしかさせず、彼女の求めるほかの触れあいは拒む。喪失の痛みはやがて権力と富への執着に変わり、炭鉱の労働者にも使用人にも、外に出すまいとする妻にも、冷たく力をふるうようになる。跡継ぎを欲しがり、妊娠のためだけに愛人をつくってはどうかと妻に持ちかける。森番との噂が耳に入ると、ヴェネツィアへ発つ間際の妻の前でオリバーを解雇する。オリバーを愛している、彼の子を宿していると告げられ、けっして離婚はしないと言い放つ。

  • ジョエリー・リチャードソンボルトン夫人役

    クリフォードの世話のために雇われた看護人。のちに、コニーがオリバーを探していると伝え広めることを約束する。

  • フェイ・マーセイヒルダ役

    コニーの姉。はじめから結婚に懐疑的で、妹の負担を減らすため看護人を雇う。

この作品が問いかけるもの

ローレンスのこの小説は、二度にわたって猥褻の罪を問われた。日本では伊藤整による無修正の翻訳が1950年に摘発され、1957年に最高裁で有罪が確定した。イギリスでは1960年、陪審がペンギン・ブックスに無罪を言い渡した。法廷を脅かしたのは性の描写だけではなく、誰がその性を生きるのか、だった。貴婦人と使用人。階級と結婚の線を越えて、自分の歓びを選ぶ女。ロール・ドゥ・クレルモン=トネール監督の映画は、終始コニーの側に目をすえる。何も返してくれない夫を世話し続ける消耗。跡継ぎを産む器として求められることと、ひとりの人として求められることの隔たり。そして映画は、ローレンスが与えなかった再会をふたりに与える。その選択は、家を出る女に恋の物語が今なら何を約束してよいのかを物語っている。