THE IDOL/ジ・アイドル
The Idol
ストーリー
結末まで書いています。
ポップスターとカルト指導者。カンヌでの初上映で酷評を浴び、1シーズンで打ち切られたドラマ。
ロサンゼルスのポップスター、ジョスリンは母の死から立ち直れず、心身の崩壊で中止になったツアーからの復帰を目指している。マネージャーのハイムとデスティニー、レーベル幹部のニッキー、親友で付き人のレイア、クリエイティブ・ディレクターのザンダーらが、流出した私的な自撮り写真や雑誌の特集取材への対応に追われるなか、彼女はナイトクラブでオーナーのテドロスと出会う。自己啓発の導師を名乗る男だ。その夜のうちに彼を家に招いたジョスリンは、性の面でも音楽の面でも、彼の指図に身をゆだねはじめる。
テドロスはやがて若い歌手クロエやアイザックら信奉者を連れて彼女の屋敷に住みつき、アルバムを捨てて音楽プロデューサーのマイク・ディーンと作り直すよう説き伏せる。夕食の席では、母親にヘアブラシでたたかれていたことを皆の前で語らせ、のちにその記憶を、ふたりの性の行為に持ち込む。デスティニーは、彼の本名がマウリシオ・コステロ・ジャクソンで、家庭内暴力の訴えを重ねてきた男だと突き止める。ジョスリンの母に音楽の道を断つ契約を結ばされたと明かしたザンダーを、テドロスは痛めつけ、発言を撤回させる。ジョスリンは、自分をクラブへ誘ったダンサーのダイアンがテドロスの一味で、自分のレーベルから契約を持ちかけられていたと知る。仕返しに、テドロスに聞こえるところで元恋人ロブと関係を持つと、テドロスの側は写真を仕組み、ロブは強姦の容疑をかけられる。
最終話、ジョスリンは皆の前でテドロスを詐欺師と呼び、彼の歌手たちを自分のツアーの前座に迎える。ハイムが差し出した50万ドルをテドロスは拒むが、屋敷から追い出され、雑誌の暴露記事で売春斡旋の常習者と書かれ、税務当局の調査を受ける身になる。六週間後、ツアー初日のスタジアムに、彼は本名宛ての招待パスでやって来る。ジョスリンは、あなたがいなければ名声にも意味がないと言う。楽屋でヘアブラシを手に取ったテドロスは、それが新品であることに気づき、ずっと操られていたのは自分のほうだったと悟る。ジョスリンは彼をステージに呼び上げ、生涯の恋人だと紹介してキスをする。
主な出演
リリー=ローズ・デップジョスリン役
母を亡くし、復帰を目指す若いポップスター。出会ったばかりの男に、暮らしも作品もゆだねていく。
ジョスリンの物語
ジョスリンは心身の不調からの復帰を目指しつつ、自分をたたいていた母の死をまだ悼んでいる。私的な自撮り写真が流出した夜、ナイトクラブでテドロスと出会い、家に連れて帰る。シングルを、アルバムを、やがて屋敷まで彼にゆだねる。促されるまま、母にヘアブラシでたたかれたことを皆の前で語り、彼はその記憶をふたりの性に持ち込む。ダンサーのダイアンが彼の一味で、自分のレーベルから契約を持ちかけられていたと知る。テドロスに聞こえるところで元恋人ロブと寝て、彼を詐欺師と呼んで屋敷から追い出す。六週間後のツアー初日、あなたがいなければ名声も色あせると告げる。楽屋のヘアブラシは新品だった。彼女は彼をステージに呼び上げ、生涯の恋人だと紹介してキスをする。
エイベル・テスファイテドロス役
ナイトクラブのオーナーで自己啓発の導師。歌手志望の若者たちのカルトめいた集団を率い、ジョスリンの懐に入り込む。
テドロスの物語
テドロスはジョスリンの自撮り写真が流出した夜に彼女と出会い、家に入り込み、性でも音楽でも彼女を指図しはじめる。信奉者を連れて屋敷に住みつき、アルバムを捨てさせ、母親のヘアブラシの記憶をふたりの性に持ち込む。マネージャーのデスティニーは、彼の本名がマウリシオ・コステロ・ジャクソンで、家庭内暴力の訴えを重ねてきた男だと突き止める。ジョスリンの母を悪く言ったザンダーを痛めつけて撤回させ、ジョスリンがロブと寝ると、写真を仕組ませてロブに強姦の容疑を着せる。立ち退き料を拒んで屋敷を追われ、売春斡旋の常習者と暴かれる。六週間後、ツアー初日に現れ、楽屋のヘアブラシが新品なのを見て、操られていたのは自分だと悟る。ステージで彼女は彼にキスをする。
トロイ・シヴァンザンダー役
ジョスリンの幼なじみでクリエイティブ・ディレクター。かつて自分の音楽の道を断たれ、やがてテドロスに従う。
スザンナ・ソンクロエ役
テドロスに忠実な若い歌手でピアニスト。彼とともにジョスリンの屋敷に移り住む。
ジェニーダイアン役
ジョスリンの友人のバックダンサー。ひそかにテドロスの一味で、彼女の座を狙っている。
レイチェル・セノットレイア役
ジョスリンの親友で付き人。最初にテドロスを疑う人物。
この作品が問いかけるもの
このドラマは、音楽業界が若い女性を消費するさまを風刺しようとして、多くの批評家の目には、自らが暴くはずだったものの見本になってしまった作品だ。最初の監督エイミー・サイメッツは撮影の八割ほどを終えた段階で降板し、ローリング・ストーン誌は、業界の捕食者から主体性を取り戻す若いスターの物語という彼女の構想が書き直しで捨てられたと報じた。スタッフは新版を性的拷問ポルノと評したという。残った作品は、支配、カルト指導者による手なずけ、商品化されたスターの性を長々と映し、最後にはジョスリンがずっと主導権を握っていたとほのめかす。そのどんでん返しが彼女の主体性を取り戻すのか、それまでのすべてを正当化するだけなのか。その問いが残る。酷評を浴び、ガーディアン紙には史上最悪の番組のひとつとまで書かれ、1シーズンで打ち切られた。