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Cinema 月明かりの映画館

YOU ―君がすべて―

YOU

2018–2025ドラマ・シリーズアメリカ

465作品の星図のなかで見る

Moonlightの読みもの

Cinema『YOU ー君がすべてー』が怖いのは、「見てくれる人」と「見張る人」が似て見える瞬間があるからこの一篇を読む

ストーリー

結末まで書いています。

ストーカーのジョーが愛する女性たちへ語りかける。ナレーションが視聴者を共犯にする。

ニューヨークで書店を営むジョー・ゴールドバーグは、献身のように聞こえる声で、自分が愛すると決めた女性たちを追う日々を語る。シーズン1の相手は、店にやって来た作家志望の貧しい大学院生グィネヴィア・ベック。ジョーはネットと路上で彼女を追い、携帯を盗み、邪魔になる人間を殺していく。恋人のベンジー、親友のピーチ。証拠を見つけたベックを、彼は店の地下のガラスの檻に閉じ込める。彼女は彼を欺いて逃げようとして果たせず、殺される。ジョーは彼女の書いたものを使って、罪を彼女のセラピストになすりつける。シーズンは、ただ去っていったはずの元恋人キャンディスが店に現れて終わる。

シーズン2、名前を変えてロサンゼルスへ逃れたジョーは、キャンディスに追われながら、裕福な家の料理人ラブ・クインに惹かれていく。だがラブもまた人を殺す女だった。彼女はキャンディスを殺し、過去の殺人を打ち明け、ジョーの子を身ごもっていると告げる。ふたりは郊外へ移るが、ジョーはもう隣家の女性を見つめている。

シーズン3、結婚して息子ヘンリーを授かったジョーとラブは、郊外の町マドレ・リンダで殺人を重ね、ジョーは隣人に、次いで図書館司書のマリエンヌに執着する。ラブに殺されかけた彼は先に彼女を殺し、すべての死を彼女に着せる細工をして、ヘンリーを同僚に託し、また別の名でマリエンヌを追ってパリへ向かう。

シーズン4、ロンドンで講師ジョナサン・ムーアを名乗る彼は、裕福な仲間たちの輪に入るが、その仲間がひとりずつ殺されていく。犯人はジョー自身だった。自分に罪を着せようとしていると思えたリースは、彼の心がつくり出した幻であり、意識が途切れたあいだに彼はマリエンヌを監禁していた。彼女は死を装って逃げ延びる。ジョーは自ら命を絶とうとするが助けられ、彼をかばう資産家の娘ケイトとともにニューヨークへ戻る。

最終シーズン、マンハッタンで華やかに暮らすジョーとケイトの前に、ベックを知る若い劇作家ブロンテが現れ、彼の正体を暴こうとする。ケイトは、マリエンヌや、かつてジョーに罪を着せられた教え子ナディアと手を組んで彼に背き、自白を録音する。ブロンテは愛するふりをし、襲いかかる彼の手を逃れて警察を呼び、逃げようとする彼を食い止める。ジョーは終身刑を言い渡される。ブロンテはジョーが書き加えた部分を削ってベックの本を書き直し、ケイトはヘンリーの養育を助ける。獄中でファンレターを読むジョーは、なおも悪いのは自分ではないと信じている。

主な出演

  • ペン・バッジリージョー・ゴールドバーグ役

    魅力的な書店員で連続殺人者。執着を恋物語として語り、名前と街を変えながら同じことを繰り返す。

    ジョー・ゴールドバーグの物語

    ジョーは、すべての殺しを愛のためだと自分に言い聞かせる。ニューヨークではベックを追い、彼女の恋人と親友を殺し、隠し場所を見つけた彼女を地下の檻に閉じ込めて殺し、罪をセラピストに着せる。ロサンゼルスではラブに恋をし、彼女もまた人を殺すと知るが、子を身ごもったと聞いてとどまる。マドレ・リンダでは司書のマリエンヌに執着してその元夫を殺し、自分を殺そうとしたラブを先に殺して、息子を同僚に託しパリへ向かう。ロンドンでは、追っていた殺人者が自分自身だったと知り、自ら命を絶とうとして助けられ、ケイトとニューヨークへ戻る。ケイト、マリエンヌ、ナディア、ブロンテに正体を暴かれ、息子にも拒まれて終身刑となっても、悪いのは自分ではないと信じている。

  • エリザベス・ライルグィネヴィア・ベック役

    ニューヨークの貧しい大学院生で作家志望。ジョーがつきまとう最初の女性として描かれる。

    グィネヴィア・ベックの物語

    作家をめざす貧しい大学院生ベックは、ジョーの書店に立ち寄って彼と言葉を交わす。尾行され、携帯を盗まれ、浮気性の恋人ベンジーを、のちには親友ピーチまで彼に殺されていることを、彼女は知らない。ピーチの死を書いた物語で出版の話をつかむ。嫌がらせをする教授をやり込め、ジョーに恋をするが、嫉妬深くなった彼と別れ、セラピストと関係を持ったあと、また彼のもとに戻る。行方の知れない彼の元恋人のことを調べるうち、隠し場所でベンジーとピーチの携帯を見つけてしまう。地下のガラスの檻に閉じ込められた彼女は、書き、話を合わせ、隙をついて彼を檻に閉じ込めるが、逃げきれずに殺される。ジョーは彼女の書いたものを使って、罪をセラピストに着せる。

  • ヴィクトリア・ペドレッティラブ・クイン役

    ロサンゼルスの裕福な家の料理人。ジョーと結婚して息子を産み、彼と同じく人を殺せる女だとわかる。

    ラブ・クインの物語

    ロサンゼルスの裕福な家の料理人で夫を亡くしたラブは、偽名で働くジョーに惹かれる。不安定な双子の弟フォーティを守り、キャンディスにジョーの正体を告げられて一度は別れるが、よりを戻す。ジョーを閉じ込めたキャンディスを殺し、彼に愛されるよう過去を調べ尽くしたこと、以前にも人を殺したことを明かして、身ごもっていると告げる。マドレ・リンダで息子を育てながら、ジョーが盗んだ品々を見つけて隣人ナタリーを殺し、逆らう男たちを襲い、大学生セオと関係を持つ。マリエンヌに心を移したジョーに離婚を切り出されると、薬で彼の自由を奪い、マリエンヌまで殺そうとするが、その娘が現れて思いとどまる。そしてジョーを手にかけようとしたとき、先に殺されるのは彼女のほうだ。

  • タティ・ガブリエルマリエンヌ役

    依存症から立ち直ろうとする図書館司書でシングルマザー。ジョーにカリフォルニアからパリ、ロンドンまで追われる。

  • シャーロット・リッチーケイト役

    ロンドンのギャラリー責任者で資産家の娘。ジョーをかばって人生を共にし、最後には彼に背く。

  • マデリーン・ブルーワーブロンテ役

    ベックとのつながりを隠した若い劇作家。ジョーを破滅させるために彼に近づく。

この作品が問いかけるもの

このドラマは語りの仕掛けの上に成り立っている。ジョーはつきまとう相手の女性に語りかけ、聞く側にはそれが恋人の声に聞こえる。作品はつきまといも支配も殺人も献身的な恋のように響かせ、視聴者が自分の同情に気づいたところで、その同情が何でできているのかを問う。狙いは具体的だ。見知らぬ他人に誰かの暮らしのすべてを差し出してしまうソーシャルメディア。整った顔立ちで弁の立つ男が、あらゆる疑いについて大目に見られること。移り住むどの街でも彼を守る特権。最終シーズンは問いを外へ向ける。獄中でファンレターを読むジョーは、悪いのは自分ではなく、自分を称える社会のほうだと信じている。作品は彼に救いを与えない。こういう男になぜこれほどたやすく肩入れしてしまうのかという重い問いは、見てきた者の手に残される。