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実践 · 第六の棚

欲望を話す ― 空想、開かれた関係、そして嫉妬

  • 研究
  • 体験

長く続く関係でいちばん難しいのは、セックスそのものより、セックスについて話すことかもしれません。空想を打ち明けること。「ほかの人ともしたい」と言われること。開かれた関係を考えること。嫉妬を感じること。この手引きは、そうした会話を、壊さずに、正直に進めるための道具です。

要点

  • 空想、願い、計画、すでに起きたこと。打ち明けるものの種類で、話し方は変わる。
  • 開かれた関係には前提条件がある。急がず、日本の法律も含めて確かめる。
  • 嫉妬は、きっかけ、感情、恐れ、頼みごとに分けると扱える。

この手引きは、公開されている研究や資料にもとづく一般的な情報であり、医療上の助言ではありません。医師による監修はまだ受けていません。ご自身のからだ、健康、薬、妊娠や避妊については、医師や薬剤師に相談してください。

話しはじめる

  1. 時と場所を選ぶ:ベッドの中や、けんかの最中は避けて。散歩中や車の中のように並んで座る場所は、向かい合うより話しやすいものです。
  2. 感謝から入る:「あなたとのセックスが好き。だから、もっと知りたい」。
  3. 質問で開く:「今までで一番よかった夜は?」「言ったことはないけれど、してみたいことは?」
  4. 空想は贈り物として:「これは頼みごとじゃなくて、私の頭の中の話」と前置きすると、相手は身構えずに聞けます。
  5. 相手の番も同じだけ大切に:笑わない、裁かない、すぐに結論を出さない。

「ほかの人ともしたい」と言われたら

聞いた瞬間に、答えを出す必要はありません。まず、打ち明けてくれたこと自体を受け止めてください。隠すほうが、ずっと簡単だったはずです。そして、それが何なのかを確かめます。

  1. 空想:頭の中の話で、実行は望んでいない。
  2. 願望:いつかしてみたいが、あなたの気持ちを大切にしたい。
  3. 計画:具体的な相手や時期がある。
  4. すでに起きたこと:その場合、これは開かれた関係の話ではなく、裏切りと信頼の修復の話です。

次に、その下にある必要を聞きます。新しさ、求められたい気持ち、失われた何か、あるいは自分の性のあり方への気づき。あなたの痛み、怒り、怖さは、どれも正当です。少なくとも一晩、できれば数日置いてから、話し合いを続けましょう。そして覚えておいてください。あなたの「いいえ」は、それだけで完結した答えです。

「ほかの人ともしたい」"I want to be with other people" 空想a fantasy寝室で分かち合えるshare it as bedroom talk 願望a wish時間をかけて話すtake time; no rush 計画a plan条件を確かめるcheck the conditions すでに起きたalready happened裏切りと修復の話betrayal and repair どの場合も、あなたの「いいえ」はそれだけで答えになる。 In every case, your "no" is a complete answer.
何を言われたのかで、次の一歩が決まる。

開かれた関係を話し合う前に

合意のうえで複数の関係を持つあり方(合意に基づく非一夫一妻)は、珍しいものではありません。アメリカの独身成人を対象にした全国調査では、約5人に1人が、人生のどこかで経験していました。そうした関係にある人の幸福感や関係への満足度は、一夫一妻の人と大きく変わらないという研究もあります。ただしそれは、条件がそろっているときの話です。確かめたいこと:

  1. 土台が安定している:開くことで壊れかけた関係が直ることは、まずありません。問題はむしろ大きくなります。
  2. ふたりとも自分の意思で望んでいる:どちらかが「失うよりはまし」と我慢しているなら、それは合意ではありません。
  3. これまでに、正直さの実績がある。
  4. 対立を話して乗り越えられる。
  5. 決まりごとを具体的に:避妊と性感染症の検査、どこまで話すか(すべて話すのか、聞かないのか)、誰となら、どこでなら、気持ちが動いたらどうするか。
  6. 定期的に見直す日を決める。
  7. 止める方法:どちらかが「いったん閉じたい」と言えば止まる、という約束。
  8. 日本の法律:婚姻中の不貞行為は、離婚や慰謝料請求の理由になりえます。口約束では守られないこともあるので、必要なら弁護士に相談を。子どもや家族への影響も、話し合いに含めてください。

開くことだけが、関係を救うのか

正直に言えば、「開くことだけが関係を救う」というサインは、ほとんどありません。あるのは、合うかもしれないサインと、傷を深めるサインです。

合うかもしれないとき:ふたりがそれぞれ、以前から興味を持っていた。関係は安定していて、差があるのは主に欲望だけ(たとえば一方が、体調や体質で性行為を望まず、それでもふたりとも一緒にいたい)。遠距離など、事情がはっきりしている。

傷を深めるとき:別れを避けるための最後の手段として。一方が押し切られて。裏切りの修復が終わらないまま。相手への仕返しとして。

嫉妬とつきあう

嫉妬は、大切な関係が脅かされていると感じたときに起こる感情です。愛の証明でも、未熟さの証拠でもありません。多くの場合、その下には、もっと具体的な恐れがあります。失うこと、比べられること、外されること、満たされていない何か。

  1. 名前をつける:「今、嫉妬している」と、まず自分に言う。
  2. 下にある恐れを探す:何を失うのが怖いのか。
  3. 具体的に頼む:「帰ってきたら、まず抱きしめて」のように。監視や詮索ではなく、安心をもらう方法を。
  4. 相手を縛る道具にしない:嫉妬を理由に相手を管理しはじめたら、それは愛ではなく支配です。

パートナーがほかの誰かと幸せそうにしているのを見て、喜びを感じる人もいます(コンパージョン)。それは嫉妬と同時に起こることもあります。

嫉妬のない愛は、ありうるのか。ほとんど感じない人はいます。けれど、より現実的な目標は、嫉妬のない愛ではなく、嫉妬を感じ、言葉にし、それで相手を縛らない愛です。

きっかけtrigger相手の外出、名前、沈黙a night out, a name, a silence 嫉妬the feeling「今、嫉妬している」"I am jealous right now" 下にある恐れthe fear beneath失う・比べられる・外されるlosing, comparison, exclusion 頼みごとa request「帰ったら、まず抱きしめて」"hold me first"
嫉妬の地図。感情の下にある恐れを見つけ、具体的な頼みごとに変える。

心配の少ない関係

まったくストレスのない関係は、たぶん存在しません。関係研究者のジョン・ゴットマンは、カップルの対立の多くが、性格や価値観の違いから来る「解決しない問題」だと述べています。大切なのは、なくすことではなく、扱い方です。

  1. 修復:言い過ぎたら、早く戻る。「さっきはごめん、もう一度話したい」。
  2. 小さな呼びかけに応える:相手の何気ない話しかけに、顔を向ける。
  3. 対立の最中も、否定より肯定を多く:安定したカップルでは、言い争いの最中でも、肯定的なやりとりが否定的なものの約5倍あると観察されています。
  4. それぞれの時間:ふたりの時間と同じくらい、ひとりの時間を守る。
  5. 安全基地:何があっても、まずここで話せると思えること。心配を減らすのは、完璧さではなく、この感覚です。

話し合いのきっかけ

  1. 私といて、いちばん安心できるのはどんなとき?
  2. まだ言っていない、してみたいことはある?
  3. 空想の中で、くり返し出てくるテーマは?
  4. 「一夫一妻」は、私たちにとって具体的にどういう意味?
  5. どんなときに嫉妬を感じる? そのとき、何をしてほしい?
  6. ほかの人に惹かれたら、話してほしい? 話したい?
  7. 私たちの性生活で、ひとつ変えるとしたら?
  8. 5年後、私たちの関係はどんな形だといいと思う?
  9. けんかのあと、どうされるといちばん仲直りしやすい?
  10. ここでは、何を言っても大丈夫だと思える?

出典と、この手引きの性格

  • 研究 臨床や実験の研究に裏づけられ、出典を末尾に示しています。
  • 体験 合う人と合わない人がいるもの。約束ではなく、試してみる提案として。
  1. Haupert, M. L., Gesselman, A. N., Moors, A. C., Fisher, H. E. & Garcia, J. R. (2017). Prevalence of experiences with consensual nonmonogamous relationships: findings from two national samples of single Americans. Journal of Sex & Marital Therapy, 43(5), 424–440.
  2. Rubel, A. N. & Bogaert, A. F. (2015). Consensual nonmonogamy: psychological well-being and relationship quality correlates. Journal of Sex Research, 52(9), 961–982.
  3. Gottman, J. M. (1994). What Predicts Divorce? The Relationship Between Marital Processes and Marital Outcomes. Lawrence Erlbaum.
  4. Gottman, J. M. & Silver, N. (1999). The Seven Principles for Making Marriage Work. Crown.
  5. 民法 第770条(裁判上の離婚)。

この手引きは、私たちが参照できた情報にもとづく一般的な内容です。医療上の助言ではなく、医師の監修を受けていません。ご自身のからだ、健康、薬については、医師に相談してください。

この手引きの言葉

同意コンパージョン

この書架のつくりかた用語集

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