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Cinema 月明かりの映画館

ニンフォマニアック

Nymphomaniac

2013映画デンマーク

465作品の星図のなかで見る

ストーリー

結末まで書いています。

女が独身の男に自らの性遍歴を章立てで語る。4時間・2巻、ボディダブルと本番。

孤独な本の虫の独身男セリグマンは、アパートの裏の路地で殴られて倒れている女を見つけ、部屋へ運ぶ。女の名はジョー。彼女は自らの性の遍歴を、八つの章に分けて語りはじめる。セリグマンはそれに、フライフィッシングやバッハ、教会の話で応じる。自分は童貞で欲望を持たない、だからこそ聞き手にふさわしいのだと彼は言う。

ジョーは優しい父と冷たい母のもとで育つ。15歳のとき、近所のジェロームを相手に処女を失うが、彼はそのあと、さっさとバイクの修理に戻っていく。その後、まだ未成年のうちに、彼女は友人と、列車の男性客の何人と関係を持てるか競う。映画は遊びとして描くが、加わった男たちは未成年の少女ふたりを性的に虐待している。ジョーは、ふたりを拒んだ妻子ある男性に性的暴行を加えて勝つ。医学部をやめて秘書になると、上司はジェロームだった。自分の気持ちに気づいたときには、彼は別の女性と去っていた。ジョーは多くの男と関係を重ねる。父は病院でがんのために亡くなり、看取ったのはジョーだけだった。再会したジェロームと結ばれても、彼女はもう何も感じられなくなっていた。

ジェロームとのあいだに息子マルセルが生まれる。ジョーは、訪ねてくる女性を打ちすえる男のもとへ通い、痛みを求める。あるクリスマス、ひとり残されたマルセルが雪のバルコニーへ出て、ジェロームが救い出す。家族か自分かと迫られ、ジョーは自分を選ぶ。マルセルは里親に預けられる。何年もたって再び妊娠した彼女は、自分の手で妊娠を終わらせる。性依存症の自助グループは、自分を誇りに思うと言い放って去る。取り立て屋となった彼女に、雇い主の男は、犯罪者の両親を持つ15歳の少女を手なずけて相棒に育てろと言う。ジョーは嫌悪しながらも少女に近づき、少女が18歳になると、ふたりは恋人どうしになる。だが仕事でジェロームの家を訪ねたことから、成人した相棒は彼と関係を持つ。路地で待ち伏せたジョーはふたりを殺そうとするが、果たせない。ジェロームは彼女を殴り、目の前で相棒と体を重ねて去る。セリグマンが彼女を見つけたのは、そのあとだった。

語り終えたジョーは、ようやく友人を得たと安らぎ、眠りにつく。そこへセリグマンが忍び寄り、彼女に性的暴行を加えようとする。目を覚ましたジョーは彼を撃ち、部屋を出ていく。

主な出演

  • シャルロット・ゲンズブールジョー役

    路地で殴られて倒れていた女性。見知らぬ男に、その夜までの自らの性の遍歴を語る。

    ジョーの物語

    殴られて路地に倒れていたジョーは、セリグマンに人生を罪の告白として語る。最初の相手は、15歳のときの近所のジェローム。まだ未成年のうちに友人と列車で男の数を競い、加わった男たちは少女ふたりを性的に虐待している。ジョーは、拒んだ妻子ある男性に性的暴行を加えて勝つ。父をひとりで看取り、ようやくジェロームと結ばれたとき、何も感じなくなっている。彼の息子を産むが、やがて家族より自分を選ぶ。取り立て屋になると、相棒に育てるよう命じられた少女と、彼女が18歳になってから恋人どうしになるが、その相棒はジェロームと関係を持つ。ふたりを殺そうとして果たせず、殴られる。語り終えてセリグマンを友と呼び、眠るが、襲いかかる彼に目を覚まし、撃って出ていく。

  • ステイシー・マーティン若いジョー役

    十代から三十代初めまでのジョー。落ち着きなく無謀に、失ってはまた求める感覚を追い続ける。

  • ステラン・スカルスガルドセリグマン役

    ジョーを部屋に招き入れて話を聞く孤独な読書家の独身男。欲望のない自分こそ聞き手にふさわしいと言う。

    セリグマンの物語

    セリグマンは、アパートの裏の路地で殴られて倒れていたジョーを部屋に運び、夜通し話を聞く。彼女の人生の章ごとに、フライフィッシングやフィボナッチ数列、バッハ、教会の話を持ち出して寓話に変えていき、あなたには私の経験がわからないと彼女を苛立たせる。自分は童貞で欲望を持たない、だから聞き手にふさわしいのだと言う。彼女の恥の意識は女性が裁かれるやり方から来ていると論じ、最後には、ジェロームを撃てなかったのは人を殺せなかったからだと告げる。ようやく友人を得たと言って眠りについたジョーのもとへ、彼は暗がりの中で戻り、性的暴行を加えようとする。目を覚ましたジョーは銃に手を伸ばし、彼を撃つ。

  • シャイア・ラブーフジェローム・モリス役

    ジョーの人生に何度も現れる男。最初の相手であり、のちに上司となり、息子の父親にもなる。

    ジェローム・モリスの物語

    ジェロームは、15歳のジョーの最初の相手になる近所の青年で、そのあとはさっさとバイクの修理に戻る。数年後、印刷会社で彼女の上司になるが、ジョーは彼ではなく同僚たちと関係を持つ。彼女が思いを手紙に書いたときには、彼は秘書のリズと去っている。リズと別れた彼は公園でジョーと再会して結ばれるが、ジョーはもう何も感じない。息子マルセルが生まれ、彼はジョーがほかの男と会うことを認める。あるクリスマス、雪のバルコニーに出たマルセルを救い、家族か自分かとジョーに迫り、彼女は自分を選ぶ。年月が過ぎ、成人したジョーの相棒が彼と関係を持つ。路地で待ち伏せたジョーを、彼は殴り倒し、その目の前で相棒と体を重ねる。

  • クリスチャン・スレータージョーの父役

    ジョーを愛した父。病院でがんのために亡くなるとき、そばにいたのは娘だけだった。

この作品が問いかけるもの

『ニンフォマニアック』は女性の欲望を大作の中心に据え、それを病としても解放としても片づけない。ラース・フォン・トリアーはこの作品を二部作として発表した。国際版で計4時間、ディレクターズカットでは5時間半に及び、性行為の場面は代役の俳優とデジタル合成を使って撮られた。構造そのものが議論だ。ジョーは自分の人生を罪の告白として語り、聞き手のセリグマンはそれを釣りや音楽や神学の話に置き換えて、彼女の恥は女性の裁かれ方から来ていると論じる。映画はその議論を、性的暴行、置き去りにされる子ども、自らの手による中絶、手なずけられる少女によって厳しく試し、最後に聞き手の超然とした態度が見せかけだったと暴く。残るのは、女性の欲望の物語を誰が語るのか、欲望などないと言う男がそれを引き取ったとき何が起きるのか、という問いだ。